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第七話
何人もの黒い服を着た人々が陸を迎える。
少年、少女、青年、大人までさまざまな年齢の人がいる。

「ん、ただいま」

陸はそっけなくあいさつをする。
いつものことだった。
「隊長!!」
振り向くと陸の方に歩いてくる少年が目に入る。
陸よりは断然若く、中学生くらいの風貌の少年だ。
不機嫌そうなその表情は人付き合いが苦手な彼の性格を正直に感じさせていた。
「海斗か、どうした?」
この少年は橘海斗。
「神城と……エロ……じゃない、月見里が隊長を部屋でまってるとのこと」
海斗はさらに不機嫌そうに言った。
「あー……姫と和佐か……わかった」
陸はそう言いながらロビーを突き進み、エレベーターのボタンを押した。
エレベーターはガラス張りで外の景色がよく見える。
もう、真っ暗になっていた。

(まだ夏は遠いな)

そんなことを考えてるうちにエレベーターが止まり、開く。
一七階。
そこはただ遠くに一つの扉があって、右はガラス張り、床は大理石。
陸は特別な感情も抱かず、扉を開ける。

「ただいま――……!?」

どたどたと騒がしい足音が聞こえたと思ったらいきなり何か飛び込んできた。

「おかえり、なんだよ〜♪」

その声の主はそう言うなり陸に思いっきり抱きついた。
陸はその反動で座り込み、その拍子に頭をぶつけた。

「ーっ……姫……お前ってやつは……」

小さくて、思わずチワワを連想させてしまいそうな女の子が陸の視界に入っていた。

「小さい、は余計だよ」

少々怒った様な顔になってとりあえず比喩に文句をつける。
この少女は神城姫。
145cmという小さな体躯のわりに……なんというか……高校生の平均をはるかに超えている胸、大きくて丸い瞳、長いまつげ、透き通るような白い肌、マシュマロみたいなやわらかい体。
そのすべてが男の理想的なまでに完璧にそろっている。
ついでに説明しとくと、このマンションのとなりにある洋風マンションに住んでいる。
陸にとっての幼なじみと言うか、腐れ縁みたいなものだ。
昔彼女に虐められてたという闇の記憶は今は呼び起こさない様にしておこう。

「姫、そのいきなり抱きつく癖やめろ!! 頭ぶつけた俺の気持ちを考えてくれよ……」

怒った、と言うより飽きれた感じで陸は言った。

「うー……わかったよ」

小さな幼なじみはしぶしぶ抱きつくのをやめた。

「で、今日はなんだ? 部屋にゴキブリでも出たか?」

輸入でもしない限りそんな生物が侵入してくる訳がないことを知って聞く陸。

「ちがうよー。姫も和佐くんもっ昼からなんにも食べないの。料理しようとしても体が動かないし……」

(要するにおやつ食ってないから作ってと言う意味か)
陸はようやく姫の言いたい事がわかった。

「わかった。作ってやるよ」

「わー、陸今日機嫌いいね。何か、あったの? 今日も帰ってくるのいつもより遅かったし」

教えて、と言う風な口調で話しかける姫。
陸はあえてこう答える事にした。

「さあな」
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