第七十二話
「で、なんだよ。こんな所にまで連れ出して」
陸たち三人はケーキ屋に居た。
和佐は顔に似合わない特大パフェを頼み口にクリームが付いた状態で言う。
「だからー、あの後何かあったんですか?」
「……別に何かあったってお前には関係ないだろ」
陸は無愛想に言う。
和佐はため息をつく。
隣に座っているいまいち状況のわからない姫はとりあえず励ます。
「元気だして、ちゃんと話せば仲直りできるよ」
それを聞いて陸は少し頭を上げる。
「少し……話せば……ね、口聞いてくれるかもわかんない」
マイナス思考に突っ走る陸に和佐は問いかける。
「どうしてそんな状態になったんです? 陽菜さんそんな起こりっぽい方じゃないじゃないですか」
もう説明する気すら失せた陸は重々しく返す。
「いろいろ……あったんだよ……」
姫は届いたモンブランを見て目をキラキラさせフォークで一切れすくい、陸に言う。
「これ分けてあげるから元気出して。ほら、あーん」
素直に口を開ける陸に姫は微笑み返す。
そしてそのフォークでそのまま食べようとする姫に和佐は悲鳴を上げる。
「ああああああっ!! 待って!! 姫との間接キス権は僕限定だけですよ!?」
空気を読まない和佐は姫からフォークを奪い、口の中に入れる。
「これでいいです、満足です♪」
「…………かず……さくん、貴方って人は……」
頬をほんのり赤らめうつむく姫。
(それにしても陽菜って誰なんだろう?)
今は聞けないので心の中にしまっておく。
ピリリリリ……
そんな中陸の携帯が鳴った。
「あ?」
「お、来たじゃないですか」
半興奮ぎみに言う和佐。
それに少し赤くなって反応し、陸はとりあえず通話ボタンを押してみる。
「もしもし?」
期待して空気が緊張する。
なにやら話してるみたいだが二人にはよく聞こえない。
姫は心の中で思う。
(陽菜……って女の子の名前だよね? そんなここの辺に居たっけ?)
前の和佐同様能力者だと勝手に決めつけている姫。
まぁあながち間違っている訳ではないのだが。
話していた陸の方に目を向けると……
目を見開き深刻そうになっていた。
(…………?)
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