第二章 異変 (第七十一話)
(今日あったら陸くんに謝ろう……)
陽菜は授業内容も頭に入らずただ教室でぼーっとしていた。
昨日陸が帰った後トイレに行く途中おにぎりに気づいて陽菜は悪い事をしてしまったと心を痛めた。
だから今日もし会えたら絶対謝ろうと決心する。
友達も居ない学校は楽しいはずも無く苦痛でしかなかった。
この教室で陽菜の存在はそのへんに置いてある空き缶と同じ。
邪魔なだけのいらない存在。
それは今日も、同じだった。
「なんであんた学校に来てる訳? 邪魔だから帰ってよ」
「……っ」
クラスで自分の知っている限り自分を一番気に入らないらしい関崎さんだった。
陽菜にとって一番苦痛な存在。
「何? 何か言いたい訳? ブスのくせに生意気」
机を蹴られる。
陽菜は黙る事しかできない。
もし陸だったらキレて本気で殴りかかりそうだが。
「無視すんなっ」
パチンっ
今度は頬を叩かれた。
クラスの人はといえば……何事も無かった様子である。
先生も見て見ぬ振りをする。
存在を認められない陽菜はいつもとは違う感情を胸に秘める。
昨日、学んだことだった。
「……んで……」
「あん?」
様子がいつもと違うので関崎は聞き返す。
陽菜の中で我慢していた物が爆発した。
「なんで貴女なんかの相手を私がしなきゃなんないの!? 貴女が出て行ってよ!!」
大粒の涙を目にして陽菜は叫んだ。
(やったよ……陸くん……っ)
昨日泣きながら食べたおにぎりの皿にくっついていたメモを入れたポケットを握りしめる。
関崎を初めとするクラス全員が絶句した。
やがて我に返った関崎が怒鳴る。
「ゴミ以下の価値のくせにあたしに喧嘩売る気? ふざけるな!!」
頭をつかまれて床に向かって思いっきり押し付ける。
ガッ……っ
割れる様な痛みが頭を襲う。
涙が出て来た。
さすがにこれには先生も止めにかかるがなかなか止められない。
聞いたことがあった。
関崎はこの地区で有名な不良軍団の一味だと。
そしてキリキリと首を絞め始める。
「死ね!! お前なんか生きてる価値もねぇんだよドブス!! ゴミ!!」
先生を突き飛ばして言う関崎。
ぼやける思考でポケットから昨日陸にもらったスタンガンを出して……
バチバチっ
関崎の首元を殴った。
その場に倒れ込むのをいい事に椅子で頭を殴る。
ゴスッ
嫌な音がした。
「や、やめなさいっ」
先生が手を伸ばしてくるので陽菜は慌てて振り払うと鞄を持って窓から逃げ出した。
陽菜のクラスは一階だった。
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