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第六話
家へ向かう足もいつもと違う、軽いような気がする。
陽菜は何年ぶりか、自然と顔に笑みが出る。
いつのまにか陽菜は自宅に着いていた。

ガチャ……

いつものようにドアを開ける。
室内の空気が、重い。
しかし陽菜は別に驚きもしなかった。
理由は簡単だ。
これがいつも通りだったからだ。

「ただいま……」

もちろん、返事は無い。
陽菜には父親の記憶がない。
陽菜が幼いころに亡くなったと言うことだけ聞いていた。
母親は、居た。
が、母親は人見知りの激しい、友達も作らない陽菜にあきれ、あきらめられ、それっきりである。
陽菜はいつものように自室のドアを開けた。

カチャ……

「!?」

部屋は見事に荒れていた。
否、荒らされていた。

驚いたのは一瞬だけだった。
確か……一月ほど前、同じことがあった。

(お母さん…)

少しだけ悲しくなった。
陽菜の母親は、父親が亡くなってから豹変したらしい。
「らしい」というのは豹変する前の母親の姿を覚えていないからだ。
簡潔に言うと陽菜のことをあまり好んではいない。
はっきり言うと嫌っている、様だ。
陽菜は荒れ狂った部屋を一通り整理すると、ベットに寝転がりポケットからハンカチを出し、胸に抱きしめる。
(また、会えるかな)
はじめてできた、友達。
やさしくて、暖かかった。
(陸くん……)
そして、不意につぶやいてみる。

「明日、駅前行かなきゃ」


淡紅の一角。
無駄に大きいマンションが二つ並んでいる。
一つはガラス張りのマンション。
もう一つは洋風のマンション。
どちらもマンションというよりホテルといった方が正しいといった外観である。
陽菜と分かれた後陸は自宅へ足を運んでいた。
入るのはガラス張りの方。
自動ドアが開く。

「お疲れ様です、隊長」
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