第六十七話
「なっ!? だってすごいビクビクしてるし顔真っ赤だしどう考えても……」
「してないっ!! 陸くんだってエロい顔してるもん!!」
「そりゃ和佐のことだろ、俺は自分でも認めたくないけど世界に誇るキュートフェイスなんだぞ!!」
途中から意味不明な会話になってる二人は下がベットだと言うことを完璧に忘れている。
バタバタと陽菜が暴れるせいで陸のバランスが崩された。
「ちょ、やめ……」
そして陸は見事に陽菜を押し倒す形で倒れた。
鼻と鼻がぶつかる。
唇が……後数ミリでついてしまいそうだった。
熱い、熱い吐息が顔にかかる。
「う……」
陸はなんとかこの状況をどうにかしようと慌てて起き上がろうとして……気づいた。
上体を起こそうと手をついたとき……
ふにゅ……っ
ひかえめながらも男の性欲をめちゃくちゃにかき混ぜるくらいの破壊力のある柔らかい感覚が手に伝わった。
(あ……れ?)
陸は今の状況を理解するべく手の位置を確かめ……
今度こそ陸の思考は停止した。
手の在処は、陽菜の胸。
しかも暴れたせいで捲り上げられた服の下、つまり自分の手を陽菜の胸を挟んでいるものは無い。
簡単に言うと自分は陽菜の胸を生で、かつ今気づいたがみなぎる性欲に負けてやわやわと揉んでしまってる状態だった。
ほとんど鷲掴みである。
「ぁ……」
「ん……んっ……だ……だめぇ……っ」
正気に戻った陸は慌てて手を離す。
槍の様な鋭い視線を陽菜の方から感じてみて見ると……
パチンっ
見事に平手打ちされた。
「……っ!?」
陽菜は本気で叩いたのだろうが、陸にしてみればあんまり痛くない。
涙目で眉を吊り上げてる陽菜が視界に入る。
「ご……ごめん……」
だから謝った。
陽菜は服を押さえて複雑そうな顔をする。
いつものように『いいよ』とはさすがに言ってくれなさそうだ。
陸は黙って部屋を出て行く。
最後まで、陽菜は止めようとはしなかった。
陸は部屋を出た自己嫌悪になった。
自分の馬鹿さ加減に頭が痛い。
ふと、直接頭の中に響く"声"がした。
『お前、本当にアホだな』
陸はつい喧嘩を売るような口調で言い返す。
「うっさい。なんだよ、最近ぜんぜん出てこなくてせいせいしてたのに」
"声"は怒る様子も無く淡々と言う。
『出てこないんじゃなくて出て来れないんだ』
気になる発言をされたので聞き返す。
「あん? どういう意味だよ」
『だから、あの娘の前じゃなんか知らないけど出て来れないんだ』
"声"は言い切る。
この"声"は陸の体内に埋め込まれた”戦闘兵器"の声。
"兵器"と言ってもちゃんと意識はある。
かつて自分の世界で一番嫌いな奴に無理矢理埋め込まれたモノ。
ただ姫の物とはだいぶ異なり、コントロール可能な陸の相棒だった。
一緒に奴と倒そうと誓った仲だった。
「はぁ?」
『あの娘……普通の人間……なのか?』
「あたりまえだろ、ごく普通の女の子だ」
『そう……か』
そう言い残すと"声"の気配が消えた。
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