第六十五話
「……っ」
ズキズキとした痛みが陽菜を襲う。
さっき男に腹を蹴られた少し気持ち悪くなってきた。
陽菜は苦しくなり陸にもたれかかる。
陽菜の体力ではもう限界だった。
陸は倒れ込む陽菜を支えて言う。
「部屋、どこ?」
たぶん陽菜の部屋のことだろう。
「二階の上がったらすぐのとこ……」
「ん、わかった」
陸は陽菜を背負うと陽菜の部屋に向かった。
さて理事長室の二人はというと。
「今日ここ泊まっていいですかー」
「いいよ、好きに使いたまえ」
上気機嫌のリシャールは答える。
十夜が本当の小学生の様な明るい声で言う。
「いやー、でもさっきのドラゴンフルーツは吹きました。月見里くんの顔おもしろすぎです」
先ほど泣きじゃくった和佐が何を思ったのか学校に来ていて、それに気づいたリシャールが理事長室に招いたのだった。
そして友人から貰ったドラゴンフルーツを食べさせてみると……
『なんか口の中が変です、かゆいですっ』
と十七歳の姿で涙目で言うので二人は爆笑した。
そして和佐が帰った後ドラゴンフルーツ食べた時こっそり隠し撮りした写真を見せ合いっこして楽しんだのだった。
十夜なんて携帯の待ち受けにまでしている。
リシャールにも進めたが、『僕は陸ちゃん一筋だからね』と断られた。
「あー、そうそう理事長に残念なニュースがありますー」
不思議そうにリシャールはトマトジュースを飲みながら聞く。
「なんだい?」
「陸に彼女ができたっぽいです」
空気が凍った。
次の瞬間リシャールが含んでいたトマトジュースで咽せる。
「う、嘘だ……っ」
「なにげにひ○らしの鳴く頃にの名言で逃げないでくださいよ、本当ですってば」
絶句するリシャール。
「僕の……僕だけの陸ちゃんが……そんな……汚されてしまうなんて!!」
「いや、相手大人しそうな女の子でしたよ? どっちか言うと受け系の」
他人に聞かれてたら誤解されそうな言い方をする十夜。
リシャールは少し落ち着く。
が、重大なことに気づいてしまう。
「ちょっとまってよ。っていうことはその子が……じゃなくて陸ちゃんの方が……?」
こくんと十夜は頷いた。
「陽菜……どこ痛い?」
部屋のベットに陽菜を寝かせた陸は聞く。
「おなか……あと背中も……」
疲れてだらんとしている陽菜は返事にも元気が無い。
あたりまえだ、普通あんなことがあって平気な人はいないだろう。
それに今日陽菜には初めての経験が多かったはずだ。
陸は自分を責めて、陽菜に謝る。
「本当、ごめんな……」
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