第五十四話
バチバチッ
陸を中心に電気の火花が鋭い音を立てて散る。
鏡の方も負けずに冷気を出す。
鏡から少し離れた場所にいる陽菜でもスーパーの野菜売り場の様な空気を味わうほどなのでそうとうなものだ。
そして、そんな異常現象が目の前で起きているのに平然としている自分に陸は驚く。
「お前結構のみこみ早いな、っと」
鏡が発生し飛ばした氷の固まりをよけながら言う。
陽菜は杖のようなものを振り回して先の鋭い氷の固まりを作り出している鏡をちらりと見る。
鏡はそれに気がついたのか陽菜の方に駆け寄る。
それを見て陸は攻撃を止めた。
陽菜に当たったら大変だからだ。
照れる陽菜に鏡は言う。
「あんな下品な奴放っておいてこれから俺とデートしないか!?」
「ふぇ!?」
「なぁっ!?」
二人同時にまぬけな声を出してしまった。
”デート”と言う単語に更に赤くなって返す陽菜。
「ぁ……でも私約束してるから……」
「そうか、残念だ。じゃ、また今度」
そう言うと陽菜の額に軽くキスをした。
やわらかい、初めての感触に陽菜の脳は完璧にぐちゃぐちゃになってしまった。
そんな彼女を見て鏡は王子的な笑みを浮かべ、去った。
陽菜は何が起こったのかよくわからないまま助けを求める様に陸の方を見ると、彼は口をあんぐりと開けて固まっていた。
ただ一つ頭の中に浮かんだのは……
(今日ってキス運高い日なのかな……)
と言う、うれしいようなうれしくないようなそんな予感だけだった。
「うーん……」
少し頭が痛いような気がするが姫は体を起こす。
(あれ? 私寝てたんだっけ……?)
寝起きのもやもやした頭でがんばって記憶を振り返る。
(確か……和佐くんが喧嘩して泣いてて、で、なぜかそれに陸が関わってて、そして……あ、そうだ、私が泣いちゃって、和佐くんにちゅーしてもらって、それから……)
最後にいくにつれて記憶があやふやになっていく。
(えーと……あれは……夢、だよね)
夢じゃなかったら恥ずかしくて耐えられないので夢だということにしておく。
うん、その方が相手にとっても幸せだろう。
そんなことを思いながらベットから立ち上がったその瞬間、
「う……!?」
凄まじい痛みが姫の頭を襲った。
脳内をめちゃくちゃに抉られるような、そんな痛み。
姫はほどんど無意識に首にかけている西洋風のアナログの懐中時計を見る。
正午を三十分過ぎた時間を示していた。
彼女は必死にポケットからガムのボトルの様なものを出す。
そしてその中からラムネに似た薬を出し口の中へ放り込む。
瞬間、さっきまでの痛みが嘘の様に消える。
「はぁー……っ」
重い息が終わりを告げる様に出る。
(危な……かった)
あと十秒も遅れれば記憶がそのままフラッシュバックし脳の中が、心が死んでいたかもしれない。
そう思うとゾクッとしてあり得ないほどの冷や汗が吹き出す。
ドッドッ
気味が悪いほどに鼓動する心臓を姫はがんばって落ち着かす。
これが姫の背負ってるものの正体である。
陸よりはマシだと言っても薬がなければ一日も持たない、そんな体と心。
情けない、と姫は思う。
しかも彼女は自分の周りの大切な人でさえ容易にたやすく傷つけることのできるモノを自分は持っている。
その名も"戦闘兵器"。
キャラクターファイル6
xx神崎まりも(かんざき まりも)xx
身長:148cm
体重:38kg
年齢:13(中一)
ミディアムヘアーです。
もう一人の副隊長。
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