第四十三話
「んあ? よくわからない?」
陸が内容が読めなかったので陽菜はさきほどの出来事をできるだけわかりやすく説明した。
そして、キッパリ言う。
「そりゃ和佐が悪いだろ。完璧セクハラだぞ、それ」
こちらは普通に常識のある人だったらしい。
陽菜は安心する。
「でも……」
「大丈夫だって。あいつ泣いて泣いて泣きつかれて寝るともうなんにも覚えてないようなヤツだから」
マイナス思考の陽菜を安心させるため、陸は必死になる。
そして、自分がまたいつもの癖で陽菜の頭を撫でようとしてたことに気づく。
(そうだ、嫌なんだよな)
陸は慌てて手を戻した。
(あ……)
陽菜はなにげに自分が期待していたことに気づく。
そして心が針のようなモノで刺さったような痛みを覚える。
(嫌、じゃなかったのに……)
それはどんどん陽菜の心を襲う。
陸は陽菜がどんどん悲しそうな表情になっていってることに気づいた。
「ん? どうした?」
陽菜は堪えきれず、言葉を洩らす。
「……じゃ……い」
聞き取りずらい、か細い声で。
「え……?」
「嫌じゃない……よ」
今度ははっきりと言い切った。
陸がぽかんとしているのでもう一度、今度は少し赤くなって言う。
「私、さっきの……嫌だったんじゃなくて……ちょっとくすぐったかっただけで……その……」
涙目で訴える陽菜。
(つまり……別に嫌がってた訳じゃなかった、ってことか?)
陸はようやく陽菜の行ってる事が理解できた。
なので確認してみる。
「えっと……じゃぁ……普通に撫でたりして、いいのか?」
陽菜はこくんと頷く。
陸はさっきからあった心の中の何かやもやしてたものが一気に吹き飛ばされた感覚がした。
安心して思いっきり陽菜を抱き寄せる。
「あー、安心した!! 俺もう嫌われたのかとか思ってた」
抱き寄せられたことに恥ずかしくて、でもうれしながら陽菜は答える。
「嫌いになんてなってないよ」
今度は陽菜の方もそっと、腕をまわす。
それがうれしかったのか陸の腕にさらに力がこもった。
陽菜は陸が自分を大切に思ってくれていることがはっきりと伝わってきた。
(ずっと……このままでいたいな……)
決して叶う事の無い思いを心の中で強く願った。
強く、強く……。
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