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第三十八話
「和佐さん……一つお願いがあるの……」

陽菜が小さな和佐に聞く。

「なんですか? 話を聞いてくれたお礼になんでもいいですよ?」

「じゃぁ……」

きゅぅ……

陽菜は和佐を思いっきり抱きしめた。
和佐が突然のイベントに驚き、もがく。

「わっ!? ひ、陽菜さん!?」

「ひゃーっ!! やっぱりかわいいよぅ、和佐さん」

和佐(五歳児バージョン)はかなりモテる。
あの姫でさえ十七歳の時キスしたらぶん殴られるのに、この姿だと許してもらえるほどに。
でもそれはちゃんと男の子として見てもらえないと言う事で……。

ふにゅ……

「!?」

和佐の頬らへんになにかとてつもなく柔らかいものが触れた。
陽菜の、胸だった。
(ちょ、陸ごめんなさい。許して、恨まないでください!!)
絶対陸に言ったら半殺し確定のこの状況をなんとかするために……。

和佐は十七歳の姿に戻った。

「ひゃ!?」

さっきまで小さかった和佐が元の姿に戻った事で陽菜は驚く。
否、自分が今までしてたことに羞恥を覚えた。
(こ、この状態は……!?)
簡単に説明すると自分より年上のそれも身長の高いイケメン高校生の頭を自分の胸に押し込んでて、かつ手をまわしてて……。
とにかくかなりアレな状態である。

「僕が健全な男子高校生だってこと、忘れないで下さいね?」

「……っ」

陽菜はあまりの恥ずかしさに陸のベットに頭を潜らせる。
そんな姿を見て和佐は笑う。

「ご……ごめんなさい……」

「いや、謝んなくてもいいですよ!? 結構大っきくてしかも柔らかくて気持ちよか……っと、なんでもないです」

そんな和佐の変態発言に陽菜はもう顔を上げる気力さえ残ってなかった。
和佐はこんな状況でもまたとんでもないことを言う。

「陽菜さん陽菜さん。それでは本題に入りましょうか。今まで陸と何かしましたかー?(もちろん性的な意味で)」

「してない……っ!! っていうかつきあってないもんっ」

和佐の意地悪に陽菜は少々うるさそうに返す。
これは陽菜にとって生まれて初めての経験だった。
そんな彼女をよそに和佐は驚く。

「えっ!? つきあってないんですか!? 僕てっきりもういろんなことしちゃってる仲だと……」

「ち、ちがうのっ!! だって陸くん私なんかと……」

やっと陽菜は顔を出し、自信なさそうに表情を落とす。
和佐はそっと、傷つけないように言う。

「陽菜さん、陸が女の子を自分の部屋に招待したの初めてだって知ってますか?」

「え……?」

予想外のことだった。
でもそれは和佐だけが知っている事実だった。
(もはや女の子扱いされてない約二名を除く)

「これ以上は言えません。僕が言うとあまりにも陸がかわいそうです。最後に一つだけ……お願いしていいですか?」

「う、うん」

「陸のこと、よろしくお願いします」

陽菜は解った。
この言葉の仲に親友を大切に思う気持ちが込められていることに。
だから陽菜はやさしく微笑んで答える。

「わかりました」

バン……っ

「たっだいまーっ」

ドアが乱暴に開く音と共に陸が帰ってきた。
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