第三十六話
「ははは、もし流れたら学園中の陸さんファンクラブ(ほとんどが男)の涙の叫びが聞こえそうだね」
それはそれでおもしろいかも、とつかさは笑いながら言う。
一方陸の方は少々飽きれ気味である。
「学園に新たな武勇伝が生まれそうだな」
陸はお菓子の棚に目をやる。
飴、チョコ、グミ等がすっきり並べられていた。
甘党の和佐から見たとすればまさに地上にある天国である。
(そういえば女の子ってどんな菓子好きなんだ?)
重要なことに気づいた。
陸の周りには女の子は三人しかいない。
無論、三人とは姫、まりも、つかさである。
姫はもはや女の子と言っていいのかわからないくらいの感性の持ち主(トカゲの干物をバリバリ食べてたりする)だし、まりもはまりもで菓子食べてるとこ見た事がない。
すると……。
陸は頼みのまなざしでつかさを見る。
「ん? 何?」
「なぁ、つかさ……普通の女の子ってどんな菓子好きなんだ?」
つかさだったら淡紅外の女の子の友達とか居そうである。
「それなら……」
つかさは菓子コーナーから陸を乳製品コーナに案内した。
そしてその中から一つ、陸でもかわいらしいと思うお菓子を取り出す。
「これならどう? いま女の子に大人気のいちごプリン!! カロリーオフにもなってるんだよ♪」
「いちご……プリン……っ!!」
陸は思わず見入った。
ぷるぷるの表面、かわいらしいいちご色の肌、その全てが完璧だった。
(こ、これなら喜んでくれるかも……い、いや決して俺が死ぬほど食べたい訳じゃないんだからな!!)
自分に言い訳をつけて言う。
「これ三つくれ」
「み、三つ!? あと一つは陸さんの子供の分かい!? まさかできちゃった婚!?」
……うん、なんでこんな勘違いするかな、この子は。
陸は若干呆れつつ答える。
「アホ、和佐の分だ」
「ちぇー、つまんないのー」
冗談だったのか、と陸は安心した。
つかさはレジ袋にいちごプリンを三ついれる。
「三つで三百十五円になりまーす」
「ほい」
陸は三百十五円を差し出した。
そんな姿を見てつかさはまた笑う。
「なんだよ」
「いや、だって陸さん金払わないようなイメージが……いや、なんでもないですごめんなさい。はい」
陸にいちごプリンの入った袋を渡す。
(そんなに俺の格好が不良に見えるのかよ)
確かに自覚はしてるが面と向かって言われると落ち込んでしまう。
陸の落ち込みオーラに気づいたのか、つかさは焦る。
「ご、ごめんね。冗談のつもりだったんだけど、あ、早く行かないと彼女待たせちゃうよ? ほらほら、行った行った!! レディを待たせる男なんてもっと最低だよ!!」
つかさは強引に陸をコンビニの外に出す。
「あ、ああ。じゃあな」
「ありがとーございましたっ!!」
後ろの方で元気な声が聞こえた陸だった。
ザシュッ
ぎゃぁああっ
さて、アイスを食べ終わった二人は何をしてるのかと言うと。
彼らの言う”狩り”をしている真っ最中だった。
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