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第三十四話
「例えば……そうですね。人間同士でも戦争がありますよね? もしそれが魔法、超能力、核兵器等に左右されるとしたら?」

答えは明白だった。

「酷くなっちゃう……」

「ご名答です。人間はある程度決まりやルールを作って過ごしているからある一定以上はなかなかいきません。ですがこちらの場合同じ悪魔でも僕の様な悪魔から神、妖精、死神、天使、魔法使い、超能力者までいるわけですから大変です。個人個人で言語や物事の基準が違う訳です」

陽菜は驚いた。
陽菜の知っているメルヘンはみんなが幸せに暮らしている世界だ。
戦争がしょっちゅう起こる血みどろの世界だとは予想もしてなかった。

「すごく、怖いところなんだね……」

陽菜は悲しそうに言う。
(これが……現実なんだ)
和佐はそんな陽菜に安心してもらう為に言う。

「いや、別にそこまで怖くはありませんよ? 僕は半人前の悪魔ですが死神のお友達もいますし……。例えばこの街はほとんど悪魔と超能力者で占めています。他は誰であっても踏み込む事はできません」

「じゃぁ……私は……?」

「貴女は陸に招待されたのでしょう? だったらなんの問題もありません」

微笑み、言う和佐。

「この街のリーダーは陸なんですよ。簡単に説明すると陸が許可すればここに踏み込む事ができて、それ意外は踏み込めない訳です。一種の結界みたいなものでしょうか、詳しくは知りませんけど」

和佐は簡潔に答える。
そして、新たなチョコクッキーの箱を開ける。
陽菜はやっとここのシステムが解った。

「じゃあこの街の人はみんな陸くんの知り合いってこと?」

「そうですよー」
つまり危険人物、不審者はいないということです、と和佐は補足する。
チョコクッキーを食べながら陽菜はふと聞いてみる。

「あのね、さっきからずっと気になってた事あるんだけど聞いていい?」

いきなり真面目な顔になる陽菜。
それに一瞬戸惑い、答える和佐。

「な、なんですか?」

和佐は若干緊張する。

「あっ、あの!! よ、妖精さんって本当にいるんですか?」

「は?」

つい間抜けな声が出てしまった。
まったく予想のしてなかったことを聞かれたからだ。

「あの、えっと……ほら、よく絵本とかにでてくる妖精さんってどんな感じの人かなーって思って……小さくてかわいいし……」

陽菜は少し赤くなって言う。
和佐はこんなけなげな子に現実を打つけてしまうのはあまりにもかわいそうだと思った。
彼も絵本で出てくる妖精は知っている。
小さくてかわいい手のひらにのるサイズのか弱い少女。
彼も本当に妖精に会うまでは妖精の想像図はそんなものだった。

しかし、現実はそんなに甘くなかった。

和佐はしょうがなく遠回しに感想を述べてみる。

「かわいいというよりは……怖いですね、僕はあの人たちとはうまくやっていける自信がありません……」

和佐にとって妖精の第一印象は怖かった。
まだ幼かった和佐の空想を完膚なきまでに壊した、そんな生物だった。

「ぇ……?」

目をそらして口だけで笑っている和佐に陽菜は聞いてみる。
なんというか……陽菜でも何となくは雰囲気でわかった。
たぶん自分の想像をはるかに超える人たちだったんだろう。

「というかサイズがぜんぜんかわいくないです。確かに僕ら人間型よりは小さいですが一メートルくらいありますよ」

悲しすぎる事実を告げる和佐。
陽菜はそれにすごい驚いた。
もう、陽菜のかわいい妖精想像図は崩れ始めてる。

「い、一メートル!? でっ、でも肌とか奇麗でかわいい人たちなんじゃ……」

陽菜はめげず、微かな希望を抱く。
和佐はそんな少女の希望を粉々にしてしまうのはあまりにも残酷だと思った。

「ご、ごめんなさい。僕には貴女のピュアな心を崩してしまうのは無理です。後で陸に聞いてみて下さい」

「かっ、和佐さん!? どうしてそんな悲しそうな目してるんですか!?」

陽菜は慌ててつい敬語になってしまった。
(ぁあ……こんなにけなげでいい子をどうしてがっくりさせなきゃいけないんですか……)
和佐は妖精を心の中で少し憎んだ。
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