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第六章 風邪……?
第三百二話
 やがて時間は過ぎて、時刻は午後三時を指す。
 丁度その頃ミザリーは学祭を満喫しすぎて、外の空気を吸っていた所だった。

「ん〜、こんな楽ちんな仕事でお金がっぽりなんて最高〜」

 そう、本名種族共に未だに謎な"教授"に忠誠を誓っているユリウスや、その部下であるアルドー他数十名以外の二人……つまり甲斐とミザリーはほとんどバイト感覚でこの非公式な部に参加しているのである。
 二人は『教授の存在について口外しない』『この部の活動に関して口を出さない』と言う約束をし、それなりの報酬をもらっている。
 甲斐はどうだかしらないが、ミザリーにとっては新人のくせにいきなり幹部クラスまで上がった甲斐の観察や、報酬で服が買える等の理由で居座っているのであった。

「まぁ、あのキモい人形はないけどね」

 あの地球上の物とは到底考えたくもない物体を思い出して、若干吐き気を催す。
 それを振り切る様にして、携帯の電話帳を見て、またにんまりと笑った。
 そこにはずらりとさっき交換した男の子の名前が並んでいる。
(みんなレディーに優しくて、若くてかっこいい人ばっかり……ミザも本気で淡紅に転校しよっかなぁ……)
 淡紅はほぼ全員戦闘職務だから女子生徒は極めて少ない。
 そのため、女子に飢えている彼らはこの学祭等を通してアタックすると言う訳だ。
 ちなみにユニークな人が多い事でも有名である。
 特にトップは性別不明の未確認生物、女装天才児、吸血鬼の末裔、元鬼教官の金髪ドクター等と目立たない方がおかしいラインナップである。
(けど常に日本語とかヤダし、やっぱ今のままでいいや)
 カナダ生まれのミザリーにとっては厳しい壁だった。
 そう諦め、一面まっさらな空を見上げた。
(?)
 ミザリーの居る地点から校舎の屋上にある空中庭園が見える。
 その真っ正面に見た事が無い黒髪の少年が居た。
 遠目で見て解るほど、独特の空気を持った人物だった。
(何、あの人……)
 ドクン、と心臓が疼きだす。

 その少年に彼女は完璧に魅了されていた。


 学園祭……いつもなら気分も上がるはずなのに、和佐には今年は酷く味気ないものに見えてしまっていた。
 姫と別れた、それだけでここまで世界が変わるとは思っていなかった。
 最近は表の仕事にまで支障をきたしている。
 情けないと思いつつも、この重い気持ちを吹き飛ばす様な新鮮な空気を求め、足を進める。
 あのあと休憩が入ったので彼は陸と別れ、外の空気を吸いに屋上へ向かっていた。
(それにしても今年はいつもにまして賑やかな気が……)
 何かやっているのか窓の外から笑い声混じりの悲鳴の様な声まで聞こえてくる。
 ふと、進行方向に人の気配を感じた。
(あれ? 先客かな?)
 屋上への階段を上っていく途中誰かとすれ違った。
 なんとなく、違和感を感じて振り返る。
 そこには和佐とそう年が変わらないくらいの少年が垣間見えた。
 その少年の、人間離れした肌の白さと漆黒の髪や服との異様なコントラストが、一瞬経って改めて和佐に不気味さを感じさせる。
 上には屋上の庭園しかない。
 今年は一般開放はしていないので、関係者(淡紅)以外は立ち入り禁止のはずである。
 ということは当然あの少年も淡紅のはず、なのだが……。

(あんな人、居たっけ……?)

 和佐は一人、ゾクリと震えた。
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