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第三十話
「え!?」
「なっ!?」
和佐のあまりの発言に二人とも動揺する。

「す、するわけないだろっ!? お前じゃあるまいし……」

陸はどんどん顔が紅潮していく。
そんな彼をおもしろがり、調子に乗って和佐はさらにいじる。
「そうですかー? 僕だったらこんなかわいい子即襲いますけどー」

「お、襲うって……っ!!お前と一緒にすんなぁああああああっ!!!」

「あれー? 顔が真っ赤ですよー? どんな嫌らしいこと考えてたんですかー?」
「うっ、うっせーよ!! いい加減黙れ!!」
平坦と虐める和佐と真っ赤になり涙目で否定する陸。
そんな二人のやりとりを見て陽菜は自然と笑みがこぼれた。

「ん?」
「あ?」

二人は陽菜に注目する。
視線を浴びた陽菜はやはり緊張してしまって少し焦る。

「あ、ごめんなさいっ。なんだか、こういうの……にぎやかでいいな、って思って……」

思った事が上手く言葉に表せない。

最後の方はほとんど聞き取れないほどになっていた。
だが、二人はそんな陽菜の言いたい事が理解できたようで、微笑む。

「いちいち謝らなくっていいよ。遠慮すんな」

「そうですよー。こんな口の悪いデリカシーの欠片もないヤツに気を使ってたら精神持てませんしー」

和佐もいつもの調子で返す。
そんな彼に陸は釘を刺す。
「ちょっとまて。人がせっかくいいこと言ってるのに!! それと下品で悪かったな」
ふてくされた様に言う陸。
もちろん本気で喧嘩を売っていないことぐらい誰でもわかる口調え。
コントっみたいな二人のやりとりや、励ましに照れ、感謝すう。

「……うん。ありがとう」

ピリリリリリ……

「ん? あ、俺のだ」
陸は携帯に表示されている名前を見る。
『理事長』。
「あー……どんまいです、陸」
さも同情してます的な口調で和佐が励ます。
もちろん陸は華麗に無視して思った事を吐き出した。
「あんのクソジジイ……この後に及んでこのタイミングかよ……マジブチ殺してぇ、今すぐにでも」
癒そうに陸は携帯を睨みつける。
「理事長さん?」
一人だけ状況が飲み込めない陽菜が聞く。
答えたのは和佐だった。

「陸は一応うちの学校の生徒会長なんですよ。だからしょっちゅうあの超自己中変態ロリコン理事長に呼びつけられるんです。これも一種の使命的なものですかね」

(生徒……会長? え!? 陸くんが!?)
陽菜はまじまじと陸を見つめる。
明るい栗色の髪にジャラジャラしたネックレス、何個あけてるのか聞きたいくらい空けまくってるピアス、おまけに指輪もしているこの少年が生徒会長だなんて誰でも到底思えないだろう。
「なんだよ、そんなに俺が生徒会長に見えないって? だいたい生徒会長=眼鏡の似合うまじめな生徒って偏見だよなー」

そして陸は諦めかけたように、
「しょうがないな……。二十分以内にここに戻るから。あ、和佐、俺が居ないからと言って陽菜に手ぇ出したら死刑だからな」
そう言い残すと家を出て行った。

ガチャン……

ドアの閉まる音がした。
「……」
「……」
気まずい空気が室内を占める。
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