第二話
ガスッ
不良の一人の頭にアイス棒が食い込んだ。
「たかがアイスの棒でも、一定の早さ以上に投げると結構なもんだぞ?」
さらに陸は歩き続ける。
のけぞる不良たちをすり抜けて、予定の位置で止まり、しゃがむ。
それは先ほどのアイス棒によって倒された不良、ではなくて陽菜のすぐそばだった。
「立てるか?」
「え……?」
陽菜は不良に投げつけられた時足にけがをしていた。
「ま、動かさない方がいいのは確かだな」
そういって陸は陽菜をお姫様だっこ……ではなく片腕にかついだ。
「ふぇ?」
陽菜は驚きじたばたもがくが左手でしっかり支えられていてうごけない。
「む、無視すんじゃねぇ!! なにを少女漫画みたいな台詞を……」
不良の一人が致命的な発言をした。
「んー?無視されたくなかったと?」
陸は笑顔のまんま、しかし明らかに敵意を感じる視線を不良に向ける。
「普段なら、俺のささやかな睡眠を妨害したやつは問答無用で死刑だけどさすがに若い女の子にトラウマ植え付けてまではしたくねぇんだよ、見逃してやる」
そうして陸は陽菜を担いでベンチへ足を急がせた。
そのころにはもう周りにたくさんの野次馬が集まっていてくずれおち、魂がどこかへ飛んでいってしまった様な不良たちを囲んでいた。
陸に運ばれて行く中、陽菜はいろいろなことが起きたせいか頭の中がグチャグチャだった。
痛い足。
しかしそれよりも担がれていることが一番混乱の元だった。
今まで、陽菜は一度もなんというか……異性にこんなに接近したことはなかった。
陽菜は極度の人見知りで家族以外の人間ともあまり話した事がない。
親友も、友達ですら未だに作れない、それを自己嫌悪としてためる。
そんな少女だった。
それにもう一つ、その異性がよりにもよって陸だからでもあった。
陽菜は何度か陸を駅前で見た事があった。
私立中学校に通っている陽菜は電車通学で下校の時よく一緒になるのだった。
いつも、いつ見てもたくさんの友達に囲まれてる陸。
駅前のベンチで歌っていて、見ず知らずの人でも気さくに話しかけられる陸。
陽菜はいつのまにか陸にあこがれていたのだ。
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