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第六章 風邪……?
第二百六十五話
 陸達が着いた頃にはもう一時間目が終わっており、二時間目が始まる直前だった。

「あっはははははっ、それ超傑作!!」

 学校についた陽菜は一番の親友のつかさに今朝のハプニングを報告した。
 ここは中等部校舎……二時間目が体育のため弓道場に向かっている途中だった。
 陽菜は笑いながら言った。

「本当、陸くんといると絶対退屈しないんだよね……ぷくく……それにしても、は、裸ネクタイはツボったかもっ」

 そう、寝坊してまだ半分夢の中に居た状態だった陸は、着替えようとした時なぜかパンツもシャツも着ないでネクタイを結んでいたのだった。
 そのあまりの衝撃に陽菜はまだ笑いがこみ上げてきていた。

「でも陸さんが寝坊なんて珍しいね。もしかして今回初めてかも……!?」

 何かに気づきとっさに表情を変えるつかさ。
 それに対して陽菜も真面目な顔になる。

「あのさ、ひーちゃん、聞きたい事があるんだけど……」

「奇遇だね、私もあるんだけど」

 陽菜の口調はなぜか陸のものが移っていた。
 つかさが挑戦的に笑うと同時にチャイムが鳴った。
 彼女の余裕ぶった笑顔が瞬時に青ざめる。

「ヤバっ、今日の弓道の講師お兄ちゃんだから遅刻したらぶっ殺されちゃう!!」

「え? 鏡さんなの? それはちょっとヤバいかもっ」

 二人は早足で弓道場へ向かった。



「げっ、陸ちゃんその格好どうしたの!? 中学生みたい」

「わっ、本当だ。ってか陸あんた素顔そんなに幼かったっけ?」

「化粧とアクセサリーの力って凄いですよね」

 教室に入って即座に話しかけて来たのは中沢、姫、和佐の三人。
 なんて薄情な友人達なんだろうと起きたばかりの格好できた陸は思った。
 自分が幼いのは承知している。
 だから彼は薄く化粧をしたり髪の毛をワックスで立たせ気味にしたり、アクセサリーをじゃらじゃら付けたり香水をかけたりと日々彼なりに地道な努力を積み上げていた。
 それが今日のイレギュラーなハプニングのせいで陸はそのまま家を出なくてはならなくなり……つまりコギャルがすっぴんで家を飛び出したのと同じ状況になってしまった。
 彼はぷいとそっぽを向いて席に着く。

「…………寝坊した。つか精神年齢幼児の中沢に言われたくねーし、それ以前にお前その髪どーしだんだよ」

 いつもよりテンションが低い陸の突っ込みに明るく反応する中沢弘樹十七歳。

「似合うっしょ?? 前からやろうと思ってたんだよね、ツートーン♪」

 陸から見て左がカッパーオレンジブラウン、右がゴールドアッシュだった。
(似合うって言われれば似合うんだけど……ツートーンってこうなるのか、初めて見た……)
 陸が反応に困っていると残りの二人が言い合う。

「似合うって言うかチョコバナナみたい」

「色の組み合わせが微妙ですね」

 この二人は仲直りしたのだろうか。
 半分自分のせいというのもあって気になる陸。
 そんな彼の複雑そうな顔から察したのか姫は陸の髪をくしゃくしゃと撫でた。

「陸ったら、寝癖ついてるよ」

 されるがままの陸はぼーっと姫を見つめた。
 それに気がついた彼女はそっと耳元で言う。

「大丈夫、陸のせいじゃないよ」

 その一言で目の奥がじゃわぁっと熱くなる。
 陸は泣きそうになるのを必死に堪えた。
 そんな中別の声が割り込んでくる。

「あれ? ヨリ戻したんじゃないの?」

 中沢だった。
 言いづらそうにしている姫に、

「いいえ、別れましたよ。そして振られました」

 しかし和佐はすっきりと答えた。
 その台詞にはさすがに陸も目を見張る。

「え!? えぇっ!?」

 和佐はニコニコしたまま告げる。

「それに、僕にもちょっと気になる女の子が出来ましたし……ね」

 意味ありげなその表情は明らかに陸に向けられていた。

「え、嘘、まさか……!!」

「ぼやぼやしてると取られちゃいますよ」

 陸はその言葉を聞いて魂が抜かれたように真っ白になっていた。
みてみんでみりんの描いたリリィの閲覧PVがすごいことになってましたw

見てくれたみんなありがとう*

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