第二十四話
彼は、ゲームセンターだという騒がしい空間に居る。
先ほど陸に完膚なきまでに無視されてしまったので今度はしくじらないように、注意する。
確か[僕の愛する部下003号]の情報が正しければあの二人はここに居るはずだ。
(しかし……ここでよかった、と言うべきなのでしょうか?)
彼は心中苦笑する。
彼の纏っている黒いマントの様な服と大きな帽子では普通の街を歩いていたら間違いなく目立つ格好である。
だが、このデパートは異能者、異能関係者により作られた人外、超能力者などの人々専用の建築物である。
経営時間も通常のデパートと違い、午前六時から午後十二時までと長い。
しかも、彼に取って一番のメリットは目立たないと言う所である。
周りの人の格好もさまざまで、制服、式服などとバラエティに富んでいる。
その小さな視界の傍らに。
(見つけた……っ)
彼は見つけた。
小さな女の子と、背の高い男の子。
彼は迷わず駆け寄る。
そして、声をかける。
「ただいま、です」
約束だった。
帰ってきた時のあいさつ。
会ったときから今でも憧れている先輩に向かって。
声をかけられた小さい女の子・姫は十年ぶりの懐かしさに驚き、また懐かしさに微笑む。
「おかえり、十夜くん」
(さっきの気配……まさか、な)
パスタをゆでながらさっきの気配を思い出す。
十夜の気配らしかったがなにせ十年も会っていないので自信がない。
陸は料理が好きだ。
最初はただ、食べる為だけに作っていたが最近は作る事に興味を持っていた。
なにより自分のアレンジを加えたり、作った事の無いレシピに挑戦するのが楽しかった。
だが、今日はそれだけではない。
自分の作る料理を食べてくれる人が、いる。
それも正直言ってやはり人生初めて気になった女の子が。
陸は唐辛子を輪切りにする。
今日は得意のペペロンチーノを作るからだ。
(おいしい、って絶対言わせてやるからな)
陸は挑戦的な笑みを浮かばせた。
それから十分後。
「できたよ」
少々目を赤くし、涙目になった陸がキッチンから出て来た。
(くそう……ニンニクペーストでも反応しちまうのか俺の体は……っ!!)
自分の体質に少々、いやかなり苛つく陸。
陸は悪魔なのでやはりニンニクは苦手だ。
別に味は嫌いではないのだが。
このくらいの量なら大丈夫だと思っていたのが甘かった。
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