(な、なんなんだこの気配!?)
いきなり現れた見知らぬ巨大な気配に陸は驚き焦り、気配の源である陽菜たちの居る神社に向かって走っていた。
冷汗で全身がびしょぬれになるほど嫌な予感がした。
(さっきまで、なかったのに)
まず問題は敵がどこから侵入したのかだった。
いきなり神社付近に出現したのだ。
テレポートを使うか、気配を完全に消していたかしかあり得なかった。
しかし後者はわざわざ今になって気配を隠すのを辞める理由は全く理解できないためほとんどの確率で前者である。
簡単に言えば、隔離されたここ(淡紅の街)の結界をいとも簡単に打ち破り、しかも気づかれずに侵入して来たそうとうの力のある能力者だということだった。
『この間といい……もしかしたら知り合いかもしれない』
「あぁ!? どーゆー意味だよ? てめぇの知り合いだったら俺の知り合いだろ? 俺はこんな気配初めてだっての、っていうかこの間?」
陸はポケットからうさみみを取り出し再び装着する。
ただの雑魚ならともかく強力な能力者なら悪魔の欠点である聴力の弱さは命取りだった。
『ほら、お前が陽菜嬢とプリクラ撮った時。あんとき変な気配したろ!!』
「そんなんいちいち覚えてねぇよ、ってか知り合いって……うぁっ」
後ろから何物かが飛んでくる気配がしたので陸は慌てて仰け反る。
先ほど陸の居た所には槍の様なものが三本突き刺さっていた。
しかも心臓のあたりを中心に交差して。
陸は真っ青になって叫ぶ。
「……っぶねぇ、誰だよ!?」
『お前馬鹿過ぎ。侵入犯の一味に決まっているだろ』
(あ、そっか、不法侵入者は一人じゃないんだ……)
陸はすぐに向き直り体勢をとる。
そこには白いスーツに身を包んだ男が居た。
(……?)
変な違和感に気づく。
(なんでこんな派手な格好してんのに……あ……っ?!)
違和感の正体が分か陸は目を見開く。
男には、気配と呼ばれるものが全く存在しなかった。
陸はこの男の記憶がなかった。
しかしなぜか言葉にできない悪寒がする。
それは今でも自分を虐待する"淡紅の街"の所属する総合組織"天空革命邸"、別名"空の支配者"の幹部ランクの……陸の先輩にあたる世界に名高い神たちと同じ感覚だった。
「全く変わってないな新モデル……主に従わぬガラクタよ」
陸の自宅は今荒れていた。
クローゼット付近はぐちゃぐちゃで、まるでさっきまで誰かが漁ってた様だった。
そしてそこに小さな髪飾りが落ちていた。
うさぎマスコットのついた……姫の物と色違いの物が。
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