第二十一話
「あと四分で着くから」
「え?」
陽菜は驚き、焦った。
今二人が歩いている所は陽菜も知っている近所だった。
少なくてもこの辺は陽菜にとっておなじみの場所だったからか、ここから四分で進む距離で行けるとこはたかが知れている。
陸が口を開く。
「門に着いた」
着いた所と言えば、神社の鳥居の前である。
どう考えても淡紅の街とはイメージが離れすぎている。
「えっと、ここが……淡紅? 陸くん神社に住んでるの?」
「違うよ。 行っただろ? 門だって」
平然と答える陸。
そして、陸は陽菜の手を放し、陽菜を抱く。
「ふぇ!?」
いきなりの展開に驚く陽菜。
「目、瞑ってろよ?」
「え?」
陽菜が聞いたその時、突風が吹いた。
必死に陸にしがみつく陽菜。
そんな陽菜に陸は言う。
「ようこそ、淡紅へ」
やっと風が止まった。
陽菜は目を開け、絶句した。
さっきまで神社に居たはずなのに。
視界一面が外国の様なものに変わっていた。
足下にはレンガが、道にはおしゃれな街灯が。
どれもこれも日本のものとは思えない、どっちかいうとヨーロッパの様な風景が広がっていた。
(ここが……淡紅……奇麗な、所)
陽菜は、真っ先にこの場所が気に入った。
無意識のうちに目が輝いてしまってたのかもしれない。
陸は言う。
「やっぱお前、変わってるよ」
「え?」
陽菜は予想もしていなかった事を言われて戸惑う。
陸は続ける。
「普通のヤツは、気持ち悪いとか怖いとか……言うから」
「ここ、なんとなくだけど気に入った……かも」
陽菜は微笑む。
「なんだか、温かい気がするの」
そして、陸を見上げる。
「陽菜……」
陽菜の頭を撫でる。
と、その時。
「陸ちゃぁあああああんっ♪」
とんでもなく大きい気配が猛スピードで接近してきていた。
「げ!? この気配は……十夜か!? 逃げるぞ陽菜っ!!」
「ふぇ、あ!? はいっ」
陸は陽菜の手を取り、走った。
それから十分後。
「もう、追ってこないよな……」
二人ともいきなりのマラソンだったので、疲れてしまった。
「あの子……誰?」
「腹黒幼なじみ」
陸はキッパリと言う。
「っていうかお前、大丈夫か?」
「な……なんとか……」
陽菜はあまり運動は得意な方じゃないので座り込んでしまう。
「家まで二分ちょっとってところだな。ほら」
「え?」
陽菜は 最初なにを促されたのかわからなかった。
が、次の一言でわかった。
「おぶってやるから」
少し照れているらしい陸に陽菜は言う。
「失礼……します」
そして、背中におぶられる。
「うわっ!! 軽っ!! お前ちゃんと食べてるか?」
照れ隠しにそんなことを言ってみる。
もちろん陽菜は照れ隠しとは全く気づいてないのだが。
「ひゃ!? た、食べてるよ」
あまりの高さに戸惑ってしまう陽菜。
「じゃ、もう少しだから我慢してくれよ?」
「うん」
そうして二人は歩き出した。
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