姫は悲しそうな笑みを浮かべて首を横に振る。
「ちがうよ、私が悪いの……付き合ってたのに、他の人のこと好きになっちゃって……」
陸は複雑な顔になり、言った。
「そっか……そりゃしょうがないよな。でもそのまま放置して中途半端に引きずるよりは自分も相手にもそれ以上傷つかないからお前の取った選択は悪くないと思う。俺だってそんな立場になったら同じ行動取るよ、だからそんなに追いつめなくていいんだ」
そう言って陸は姫を手をそっと握る。
(ごめん、陽菜。やっぱ他の女の子に触っちゃ駄目っての、無理かも)
姫は陸にとって大事な友達であって、また妹の様な存在だった。
姉のリアみたいに『お兄ちゃん』と呼んでくれたりはしないが、前から和佐も交えてご飯を食べたり放課後ゲーセンに行ったりして和佐同様家族みたいな存在だった。
陽菜は、こういうことを許してくれるだろうか。
姫は堪えきれなくなった涙を零す。
「……っ」
ぼろぼろと情けない嗚咽とともに滴り落ちた。
それから、一体何分くらい経ったのだろう。
姫にはすごい長い時間に思えた。
陸はそのまま自分の傍に居てくれた。
まるで長い罪悪感から解放された様なすっきりした気持ちだった。
「ねぇ、姫がひーちゃんみたいな子だったら、もっとみんなに好かれるかなぁ?」
自分で聞いてて最悪だと思う物のつい言ってしまう。
陸は特に気にする様子もなく言う。
「んー……俺的には別に無理して人格変えなくてもいいと思うけどな……どした? みんな陽菜にちやほやしすぎだから?」
「ううん、そうじゃなくて……わがままばっかり言って人にさんざん甘えてた自分が嫌になっただけ」
陸はうーんと唸る。
「でも陽菜だって結構甘えん坊だし……」
「ぇっ?! 嘘!? あの子どっちか言うと大人しくて、ピュアでべったりしそうにないんだけど?!」
「うん、でも家ん中だったら結構甘えてくるし、キスしてとかぎゅってしてとか言われるし……まぁそこがかわいいんだけど」
姫は口をあんぐりと開ける。
(ひひひひひ、ひーちゃんがっ、あのピュアで押しの弱そうなひーちゃんがっ、そんな、そんなことおねだりするなんてっ)
「ああ見えても結構束縛っ子だったり、結婚したいとか言ってくれたり……ああ、本当マジ可愛い」
出ました、陸のノロケモード。
姫は嫉妬を忘れ脳を砕かれたよりも強い衝撃を受ける。
(け、けけけ結婚?! 十三歳で?! ヤバい、姫よりも甘えん坊かもっ)
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