第十九話
和佐がシャワーを浴びている頃、姫は一人で百面相していた。
(和佐くん……なんで、そんな)
和佐とは一緒に住んでいるのでああいうこともしょっちゅうある。
にも関わらず姫は戸惑い、焦り、混乱する。
(姫は……和佐くんのこと、好きなの?)
わからない。
好きか嫌いか、と聞かれたら間違いなく好きだ。
だがそれが恋愛うんぬんだとかは全くわからないのだ。
そんな自分が嫌いになってくる。
(中途半端にしたら、和佐くん傷ついちゃうのに……)
だから、このたぐいの事が苦手な仲間だった陸は唯一の相談相手だった。
だがついにその陸まで好きな人ができてしまった。
和佐や陸はうまく誤摩化せたと思ってるみたいだが、姫は気づいていた。
あの袋から、どう考えても女の子のものにしか思えない香水の香りがしていた。
(馬鹿……正直に言ってくれれば、こんなこと考えなくてよかったのに)
とうとう一人になってしまった。
カチャ
和佐が入って来た。
「うん。空いてるよ」
姫は迷わず答えた。
「明日、一緒にどこかへいきませんか?」
誘う和佐。
姫は少し間を置き、言う。
「うん、姫久しぶりにお買い物行きたいな」
ほんのり微笑む。
(喜んでくれている、みたいですね。よかった)
それが顔に出てしまったのか、
「じゃ、地下街のお洋服店とか見に行きましょう」
無邪気に満面の笑みがこぼれてしまう和佐。
少し大人びた美少年がまるで子供の様に喜ぶので何か変な感じだが、姫はそんな和佐が好きだった。
自分を元気づけてくれる光だった。
そんな和佐に姫はそっと耳元で囁く。
「姫、和佐くんのそういうとこ……好きだよ」
「え!?」
そして、頬に軽くキスをした。
とろけるようなやわらかい感触が頬を刺激する。
「えへへっ、おやすみ」
少し照れながら言い、姫はベットに入る。
数秒経って和佐は自分の置かれた状況が解り、うれしさがどことなく泉のように湧き、溢れ出す。
和佐は姫のいるベットに入り、迷わず抱きしめる。
「大好きです。おやすみなさい」
姫はそんな和佐にそっと寄り添い、やさしく抱きしめられる温かい感覚に幸せを感じていた。
和佐はこの愛しくてたまらない存在を絶対放したくなかった。
(ずっと、僕のそばに居て下さいね)
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