第十七話
「何……? これ?」
姫の表情は不安そうになる。
「えっと、それはその、だな」
史上最強の危機に陥った陸に神(陸にはそう見えた)が助言を与えてくれた。
「あ、それ鏡くんからもらったやつじゃないですか?」
神こと和佐は言う。
「ふぇ?」
姫は拍子抜けする。
「あ、ああ。あいつに前貸してたハンカチ返されたんだよ」
陸は和佐に合わせる。
「鏡くん、王子だもんね。にしてもこの趣味はありえないよ。確かにかわいいけど男がこれはねー」
姫は安心する。
(鏡、あとで謝るからな!!)
陸は密かに謝った。
「陸、ちょっと話しがあります」
和佐はめったにない真面目な顔で言った。
「わかった」
それから五分後。
姫は和佐より一足早く自分の家に帰った。
残された二人は陸の自室にいる。
「で、話しってなんだ?」
薄々わかってながらも陸は聞く。
「今日と昨日、どこへ行ってたんですか?」
いきなり核心をついた。
「誰と会ってたんですか?」
「……」
問い詰める和佐に陸は無言。
「僕は姫みたいにその、えっちな本とかは思いませんでしたけど、今日の君、なんか変でした。ケーキ屋に行くのも断ってましたし……」
「約束が、あったんだ。女の子との」
陸は自分の親友までに嘘をつく必要はないと思い、言う。
「!?」
対して和佐は不覚だったのかかなり驚いた。
「え!? 本当に女の子と!?」
「ああ、明日うちに来る予定だ」
和佐はいきなりの展開にとまどった。
「陸は、その女の子のこと、好きなんですか?」
「……わかんない。俺、なんていうか恋愛とかそうゆうのよくわかんないから。でも、一緒に居ると楽しいんだ」
陸は少し照れながら言った。
「そうですか、なら別にいいんですけど。ここで友達とか言ったらぶん殴るつもりでした」
和佐は淡々と言う。
「ちょ、待て。ぶん殴るって!!」
「だって苛つくじゃないですか。自分の親友が女の子を中途半端に扱って苦しめてるなんて」
陸は意味がわからなかった。
が、思い返すとだんだんわかってきた。
「わかったよ。確かに友達とはちょっと違うような気がするんだ」
和佐は美形な顔でにやりと笑い、
「それで!! どんな女の子なんですか? 陸が好きになるような女の子なんて想像できませんっ!!」
こんなことを聞いてきた。
明らかに興味本位である。
「あのなぁ……想像できないってどういう意味だよ?」
「だってだって!! あの姫にも惚れなかった男が好きなった女の子ですよ? 気になるじゃないですか。あ、もちろん姫は渡しませんよ?」
そんな和佐に陸は、
「……かわいい、子」
頬を朱に染め、言う。
「今度写真見せてくださいね!!」
「撮る機会があったらな」
こんな雰囲気で陸の一日は幕を閉じた。
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