ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
第十六話
「……なぁ……どうなったらこんな状況になるんだ?」

淡紅の街の一角にある例のマンション[黒紅館]の一階ロビー。
陸はただいま人生六回目くらいの悲惨な状況にある。
どんな状況かと言うと。
同じ黒服を着た集団(全員陸の部下)が一斉にこちらに目を向けている。
しかもその目つき、どう見てもマイナスの視線だ。
その中の十二、十三歳くらいのミディアムヘアー女の子が陸に近づいてくる。

「うわああああんっ!!!! ピュアで健全な隊長もついに男の道へ進んじゃったんですねーっ」

少女はいきなり叫び、泣きついてくる。
「はぁ!?」
意味がわからない、という顔をする陸。
「だって、だって、聞きましたよ!! 隊長がその……教育にあまり良くない本とか、DVDとか、そっち系の道に進んじゃってるって!!」
陸は全く覚えがない。
なので聞いてみる。
「あの、マジで意味がわかんないんだけど!! まりも、お前そんな話し誰から聞いたんだ?」
少女、神崎かんざきまりもが答える。
「姫さんです。あれ? 間違ってたんですか?」
「間違えるもなんも、俺はそんなもんに手を出した覚えは全くない!! っつーか姫!! 何考えてんだあいつは!!」
まりもはほっとしたような顔をして言う。
「よかったですー。私は信じてましたよ、隊長はそんな人じゃないって!! 姫さんなら隊長の部屋に居ますよ、和佐さんと一緒に」
「和佐も居たのかよ。ったくなんで、俺あいつのこと結構信じてたのに……」
陸は少し落ち込む。
「落ち込まないでください隊長!! 私はいつでも隊長の味方ですよ!!」
そんな後輩に陸は笑いかけ、言う。
「ん、さんきゅ」

陸がエレベーターに乗った頃誰にも聞こえないようにそっと呟く。

「いつか、今じゃなくていいから、私を恋愛対象として見てくれますか? 隊長」


[黒紅館]は陸を主将とする淡紅特攻部隊[黒狩人]のアジトである。

この部隊は陸が隊長、副隊長の海斗とまりも、残りの十八人で構成される。
姫は独立攻撃部隊隊長。
和佐は副隊長である。


陸は自室の部屋を開けた。
瞬間、とんでもない殺気が降りかかってくる。
が、陸は慣れていたので動じない。

「陸ちゃん……」

殺気の源、姫が言う。
「どうして、あんなことまりもに言ったんだ?」
陸は姫を見据える。
「だって、だって、陸ちゃんが悪いんだよ? 姫を無視するんだもん。何も言ってくれないんだもん。それに……本当でしょ?」
「本当じゃねーって」
殺気が僅かに薄れる。
「え……えっちな本とか買いに行ってたんじゃないの?」
「どうやったらそんな展開になるんだよ」
陸は呆れた。
殺気が、嘘のように消え去った。
「本当……?」
「本当」
「じゃあ……バックの中身、見せて」
姫は陸のバックを奪うと中身を漁り始めた。
「入ってねぇから安心し……」
途中で言葉がとぎれる。
姫は固まっていた。
エロ本などではなく、いろんな意味で誤解をまねかねないものを発見してしまったからである。
(やば……)

それはさっき陽菜によって渡されたかわいい袋の中に入っているハンカチだった。
cont_access.php?citi_cont_id=238008549&size=135 毎日ワンクリック 長編小説ランキング †ラブファンタジー† 祝50万PV突破画外伝投票 みりんイラスト館