「り、陸くん!?」
陽菜が驚いて声を上げたのは陸が立ち去って数秒経った後だった。
一瞬驚いて声が出なくなったのだ。
(どうしたんだろう……)
立ち去る瞬間見た陸は泣いていた様な気がした。
陽菜は眉を下げる。
(髪の色……やっぱり私には似合わなかったのかな……)
さっき鏡を見て自分なりに『結構いいんじゃない?』とか思ってた自分が恥ずかしくなり、また虚しくなる。
(そうだよね、陸くんたちだってお世辞言うもんね)
陽菜は自分の顔が嫌いだった。
お母さん似の、この顔が。
関崎たちにもさんざんブスと言われ、クラスの男子数人に(肌が白くて)お化けみたいと言われた。
それから自分の顔が嫌いになった。
しかし、最近はそうでもなくなっていた。
陸に会って、姫たちと話して、みんなに『かわいい』と言ってもらった。
自分も今まで異常に笑う様になって少しは可愛くなれたと思っていた。
(馬鹿みたい……)
顔なんて生まれ持ったまんまで整形手術とかしない限り変わる分けないのに。
(やっぱり私じゃ陸くんに似合わないよね……)
海斗だって自分みたいなのではなく姫の様な強くて可愛い女の子だったら喧嘩しなくても良かったのかもしれない。
手に持ったタオルをぎゅっとつかむことしかできなかった。
(泣いちゃ、駄目)
自分に暗示をかける。
しかしそれと反対に目からぽろぽろと溢れてくる。
「う……ぅっ」
陽菜は歯を食いしばる。
「ぁ……っ」
ガンっ
足がガクガクしてバランスを崩し、頭を思いっきり壁にぶつけた。
そのあまりの情けないことに陽菜は絶望する。
陽菜はこれから数分間泣き続けた。
ぼやける視界の中、一人の女の子が俺を抱きしめて泣いていた。
なんで、俺なんかに手を伸ばすんだ?
絶対死なないって、言ったじゃないか。
顔に生暖かい透明な粒がかかる。
背中の辺りがズキズキと熱くなり、痛みが走る。
そう、俺はこの時戦闘で重傷を負っていた。
『なんで、陸くんが、こんな目に遭わなきゃいけないの?』
泣きながら女の子は訴える。
そういえばそんなこと、考えた事も無かった気がする。
俺はただ言われた事をやって、物事の進むまま生きていた。
別に自分が怪我をし、人を殺し、死ぬ目にあってもそれを無条件で受け入れていた。
傷口から電気の火花が散り、女の子を傷つける。
『やめろ……っ』
息切れの酷い今にも死にそうな状態で声を出す。
そして体中の力を振り絞って女の子をつき飛ばした。
俺は彼女に傷ついてほしくなかったのだ。
しかし目の前の女の子は俺のそんな願いを無視して俺に寄り添う。
『やだよ……陸くんが毎回怪我しなきゃいけないなんて間違ってる……っ』
女の子の長い茶色の髪の毛が顔にかかる。
そして俺は彼女の腕を見て泣きたくなった。
今力がほとんど入っていない自分の体を強く抱きしめている彼女の腕は俺の火花のせいで細かい傷でいっぱいだった。
『腕……痛い……んだろ……? なんでこんな……』
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