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第十二話
「逃げられた……!?」

姫が気づいたときは遅かった。
陸の姿は跡形も無く消えていた。
それと同時に気配もまったく感じられなかった。
悪魔の使える能力、瞬間移動は短距離しか移動できない為近くにいるはずである。
にもかかわらず、気配が感じられないと言う事は……。
考えられるのは一つだけ。
陸が気配を消した、ということ。
「逃げられちゃいましたね……」
和佐の方も考えても無かった陸の行動に同様していた。

(今日の夜、聞いてみますか)



ようやく陽菜は陽菜は南口に着いた。
夕食はあきらめることにした。
が、やはりおなかがすいている。
(おなか……鳴らないように気をつけなきゃ……)
胃がすこし痛くなって来た。
と同時にドタドタと乱暴な足音が聞こえて来た。
「陽菜!! 良かった、居てくれた……」
陸である。
ふにゃ、とした笑い方は前会ったときと変わっていなかった。
「陸くん……」
自然と笑みがこぼれる。

「じゃ、行くか」

陽菜は、どうしても財布の中が空だなんて陸には言えなかった。

「んと、どこ行きたい?」

陸はさっそく聞いていた。
「どこでもいい……よ」
ほのかに微笑んで陽菜は答える。
決しておなかがすいてる事を悟られてはいけないからだ。
一方陸の方は何も考えず、
「そろそろ夕食の時間だよな、どっか食いにいくか」
といきなりついてくる。

(どうしよう……)

陽菜は表情を曇らせる。
「なに食べたい? ってどした?なんか元気ないぞー?」
陸は陽菜の顔を覗き込む。
陽菜のとれる選択肢は「逃げ出す」か「正直に打ち明ける」の二つとなった。
もちろん陽菜の選んだ選択肢は前者の方である。
「えっと、その……お財布……」
やはり上手く言えない。
陽菜はこんな自分に苛立を覚え、それでもがんばって伝えようとする。
「財布、無くしたのか?」
陸はキョロキョロとあたりを見回す。
陽菜は、とうとう言ってしまった。

「違うの、財布の中身が……五十円しか……」

か細い声で情けなさそうに言った。
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