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第十二話
「意味解んない……」

陸の姿は跡形も無く消えていた。
それと同時に気配もまったく感じられなかった。
ある程度のレベル以上の悪魔のほとんどは使える能力、瞬間移動は短距離しか移動できないという欠点がある。
にもかかわらず、気配が感じられないと言う事は……。
考えられるのは一つだけ。
陸が故意に気配を消した、ということ。
しかも陸は瞬間移動の能力があまり得意ではなく、好んで使ったりはしない。
つまりそこまでして自分たちを振り切ったのである。

「逃げられちゃいましたね……」

和佐の方も考えても無かった陸の行動に同様していた。

(今日の夜、聞いてみますか)



ようやく陽菜は陽菜は南口に着いた。
夕食はあきらめることにした。
が、やはりおなかがすいている。
(おなか……鳴らないように気をつけなきゃ……)
胃がすこし痛くなって来た。
と同時にドタドタと乱暴な足音が聞こえて来た。
「陽菜!! 良かった、居てくれた……」
陸である。
ふにゃ、とした笑い方は前会ったときと変わっていなかった。
しかし顔や手にすり傷が、しかも頭にはトリプルアイスの様なたんこぶまでできている。
ちなみにコレは淡紅一テレポートがへたくそな陸が予定移動距離よりも数メートル先にずれてしまい、結果民家の塀に顔面から激突し、一瞬どこかの花畑を見た様な気になったためなのだがそんなこと陽菜には伝わる訳が無い。
というか絶対伝わってほしくない。
「陸くん……」
自然と笑みがこぼれる。

「じゃ、行くか」

陽菜は、どうしても財布の中が空だなんて陸には言えなかった。

「んと、どこ行きたい?」

陸はさっそく聞いていた。
「どこでもいい……よ」
ほのかに微笑んで陽菜は答える。
決しておなかがすいてる事を悟られてはいけないからだ。
一方陸の方は何も考えず、
「そろそろ夕食の時間だよな、どっか食いにいくか」
といきなりついてくる。

(どうしよう……)

陽菜は表情を曇らせる。
「なに食べたい? ってどした? なんか元気ない?」
陸は陽菜の顔を覗き込む。
陽菜のとれる選択肢は「逃げ出す」か「正直に打ち明ける」の二つとなった。
もちろん陽菜の選んだ選択肢は前者の方である。
「えっと、その……お財布……」
やはり上手く言えない。
陽菜はこんな自分に苛立を覚え、それでもがんばって伝えようとする。
「財布、無くしたの?」
陸はキョロキョロとあたりを見回す。
(う……苦しい……)
陽菜は、とうとう中心に穴の空いた他の小銭より一回り小さくうまい棒五本分の価値しかない金銭状況を打ち明けた。

「違うの、財布の中身が……五十円しか……」

か細い声で情けなさそうに言った。
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