言って、少し経ったあとに弱々しい、誰よりも憎い少女を海斗は一瞥する。
「よりによっても……人間っ、ただの人間だなんて……っ」
「海斗」
陸は強く言う。
しかし、海斗は止まらない、止まる事ができない。
許せなかった。
それはただの嫉妬ではなく自分の一番大切な人のためへの怒りでもあった。
(隊長をこれ以上傷つける訳にはいかない)
陽菜に向かって珍しく怒鳴る。
「貴女は、何をしたい?」
「え……」
陽菜は意味不明の発言につい間抜けな声をこぼしてしまう。
それは海斗を怒り狂わせるほどの力があると、知らずに。
「貴女は何も解ってない!! それが、隊長に迷惑をかけて、傷つけて……っ、それでも貴女は何がしたいんだ!!」
「海斗!!」
陸が力ずくで海斗を黙らせる。
陽菜は完璧に怯えきった様子で端で震えている。
「お前の様な弱い奴は隊長の邪魔になる足手まといだ!!」
「っこの馬鹿が!!」
バチィッ
体に熱い衝撃がくる。
陸が弱い雷撃を放ったのだった。
「く……っ」
「頭冷やすまで俺の部屋に入ってくるな!!」
陸に怒鳴られたので海斗は舌打ちするとテレポートで去っていった。
出て行って陸は初めてため息をつく。
「ったくあいつはどうしちまったんだ、普段は割と無口な方なのに……」
今までこんなことはなかった。
陸の中で海斗は一番冷静な奴だと思っていたつもりだった。
しかし、海斗に言われて陸もやっと気付いた。
(俺は……本当にこうしてよかったのか?)
いつまでもみんなに隠して同居することはまず不可能である。
それにバレたら陽菜の立場はどうしても気まずいものになる。
強くも特別頭がキレる訳でもないただの少女。
そんな少女を自分の組織に入れる事なんてしたら隊員との、いやそれ以上の関係組織との内乱はさけられないだろう。
陽菜は事の肝心さに気付いて陸に言う。
「ごめんなさい……。私、どうしたら迷惑じゃなくなる? いてもいいよ、ってみんなに言われるにはどうしたらいいの……?」
声が震えていて振り返らなくても泣いている事が解る。
陸は決心するしかなかった。
「陽菜、方法はある。でも、厳しいぞ?」
「なんでもするから……っ、だからここに居させて下さい……っ」
陽菜は意外にもすぐ了解した。
そんな彼女の震える手を握る。
陸はいつもの笑顔で言った。
「じゃ、とりあえず寝る前に筋トレな。俺がちゃんとコーチしてやるから」
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