「ほら、甘利くんの所へ行ってあげて。あと、服も忘れずにね」
店の服を着たままだった陽菜は慌てて受け取ると走って試着室に入った。
茜は苦笑して零す。
「そのまんまでもよかったのにね」
着替えた陽菜はつかさから借りたローファー(ショーツと下着のキャミも借りている)を傷つけない様に気をつけて履くと真っ先に会計を済ませた陸の方へ走る。
こちらに気ずいた陸は一瞬顔を少し赤くし照れ隠しにそっぽを向いてただ、ぶっきらぼうに言う。
「結構、可愛くなった気がする」
たったその一言で陽菜は満足感に浸る。
後ろの方で手を振ったりニヤニヤしたりしている店員たちと茜がいる。
陽菜は軽くあいさつをすると陸の横に並んだ。
陸はまだほんのり上気している顔で聞く。
「どうする? あっちまで全部見るか?」
陽菜は首を横に振る。
「ううん、もうお洋服は十分だよ。それよりも……」
恥ずかしそうに胸に手を当てる。
それを見て更に陸は赤面する。
「そうだったな……確か下着は二階だったと思う……」
陽菜の言いたい事が通じたのか、エスカレーターで二階に下がる。
陽菜はそっと陸の方を見る。
陸もそれに気ずく。
「どうした?」
陽菜は気まずそうに目をそらして言う。
「あ、えっと……こんなにいろいろ買ってもらっちゃって……悪いなぁって思ちゃって」
「いいんだよ、俺が好きにしたいだけだから。だって俺今までずっと一人暮らしで人と住んだ記憶ないんだもん、やっぱりお前には感謝するよ。前に和佐たちと一緒に住むとかって話しが出たときもあったんだけど……やっぱり悪いじゃん? 俺がいるといろいろ邪魔だと思うし……」
それに、電気体質を完璧にコントロールできるようになったのはごく最近の事である。
それまでは本当に人と暮らせる様な身分ではなかったからというのもあった。
「今は……嬉しい?」
陽菜はなんとなく聞いてみる。
陸は笑ってハッキリと迷い無く言う。
「すっげぇ嬉しい」
「私も」
正直な感想に二人は笑う。
陽菜もうれしかった。
大好きな陸と友達の居る淡紅で暮らせる事が。
一番陸の傍にいられることが。
(言える、気がする)
なんとなくさっきまで無かった勇気がわいてくる。
(言っちゃおうかな……)
言わないと何も始まらない。
陸への思いは本物だと自分でも確信する。
そんなことを考えているうちに二階に着いた。
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