第九話
「プリンでいいよな?」
陸は姫に問いかけた。
「おっけーだよ!! 姫プリン大好き!!」
姫は無駄なほど感動して答えた。
この姫も、悪魔だった。
それも陸なんかと違う、一族全てが悪魔の家系に生まれた世界最強の悪魔だった。
ただ……悪魔の能力というか……いくら悪魔が運動神経が良いといっても多少ばらつきはある。
この少女はそのなかでも体術で目立っていた。
いままで姫に喧嘩を売ったやつで生きてるやつはいない。
短剣と得意の体術ですべて倒し、殺してきた。
そのせいか、未だに一人で寝られなくて、今は和佐と一緒に寝ているらしい。
なんでも一人で寝るとあの殺しの感覚が、臭いが、悪夢となって襲いかかるらしい。
陸はようやくいつも彼女と一緒に居る少年がいないことに気づく。
「あれ? 和佐は? 一緒に来たんだろ?」
「うん、寝ちゃった」
はっきりと言う姫。
(ふーん)
と特に関心もなく思ったのもつかの間。
「ちょっとまて、いったいどこで寝てるんだ?」
少し焦る陸。
「陸ちゃんのベッド」
姫はやっぱり即答した。
「あのやろ……」
陸はできたばかりの熱いプリンをキッチンに置き、自室のドアを勢いよく開ける。
「和佐っ!! 俺のベッド勝手に使うなっていつもいってるだろ!!」
そして怒鳴った。
「うみゅ……」
ベットの中の小さな体がもぞもぞと動く。
月見里和佐五歳バージョンだ。
とんでもないサイキック能力をもつ少年。
そしてハンパで未熟な悪魔でもある。
「うるさいです。もっとねかせてくださいよぅ」
幼いかわいい声で和佐は言う。
「あのなぁ……」
陸は布団をつかみ……
「勝手に人のベッド使って、他に言うことないのかよっ!? あ、てめ人のベッドによだれたらすんじゃねぇ!!」
引きはがした。
「だってこのベット寝心地いいんですもんー」
布団にひたすら捕まって反論する和佐。
この戦い(?)は陸が疲れて降参するまでだった。
二人は戦ってる間に姫がプリンを完食したことにまったく気づいていない。
その日の夜、陽菜は夢を見た。
陸と知らない女の子と五歳くらいの男の子とみんなでプリンを食べている。
夢の中の自分はすごく楽しそうだった。
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