第七話:運命
僕は病院まで先生と歩いてむかった。
先生は何を語るわけでもなく、ただ僕の隣りを歩いていた。
僕も何も言わずに先生と病院にむかって歩いた。
(…何も考えたくないなぁ…)
これから僕は何のために病院へ行くんだろう。
病気のことを聞くためだろうか。
何のために聞くんだろうか。
僕はこれからどうしたらいいんだろう…
高校二年になったばかりのこの春。
まさかこんなことになるなんて…
「彰君?さっきから下ばかり見てるけど、大丈夫?」
「あっ……大丈夫です。ちょっといろいろ考えちゃって。」
「もうすぐだから、頑張って。」
何を頑張るんだろう。多分先生は疲れるけど頑張ってって言いたかったんだろうけど、僕にはそうは聞こえない。
今の僕は何も頑張りたくない……
三十分ほど歩いて病院に着いた。
先生は僕に家族を呼ぶようにもう一度すすめた。
けど僕は断った。
悲しい想いをするのは、僕だけで十分だ。
病院について、先生は僕を奥の部屋に案内した。
僕は部屋に入って先生の前の椅子に座った。
「先生…。僕はホントは何も知りたくないです。学校だって楽しいし、友達とこれからも遊んでいたいし、家族だって…。」
先生は僕にハンカチを手渡した。
僕は、泣いていたから…
「彰君。君には何があってもあきらめてほしくない。
君には強く生きてほしい。
君のためにも、まわりの人達のためにも。」
先生はそう言うと黙ってしまった。
先生の言葉は僕の心に響いた。
僕が受け入れないと…
恐いけど、聞きたくないけど…
僕自身のことだから。
「先生…聞かせてください。」
僕は決心した。自分の病気の全てを聞くことを。
「本当に君一人で聞くんだね?」
「はい。」
僕の言葉を聞いて、先生は話しはじめた。
「君の病気は…癌です。君の場合は、脳に小さな腫瘍があって、本当ならこのぐらいの腫瘍なら今の医療技術でなんとかなるんだけど、君の場合は…その大きさの中でも一番難しい大きさになってて、腫瘍の場所も難しいところにあって……」
「先生…。」
僕が先生を呼ぶと先生はこっちをむいた。
「……僕はどれくらい生きてられますか?」
先生は少し黙ったが、もう一度僕の目をみて伝えた。
「頑張って…一年です。」
ねぇ神様。
誰が僕を選んだんだろう。
誰が僕の運命を決めたんだろう。
教えてほしい…
この運命が、なぜ僕の運命なのかを…
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