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優しき風が吹く頃に
作:彩BOC



〜猛暑の日〜


これから旅立つ新人を包み込む春が過ぎ、学生を苦しめる猛暑の夏が訪れる。
今年の夏は、例年より3℃程下がっているというが、全くその気配を感じことはない。暑さに耐えれず、熱中症で倒れる人も、数少なくはない。そして今日も、気象庁の予想を遥かに上回る猛暑日となった。
「おーい、まだかぁ?この暑さじゃ、いくら我慢強い俺でも、これじゃあいつまでもつか……」
「あ、待って慎ちゃん!今行くから!」暑い中、青年はいつも一緒に登校する学生を待っていた。青年は相模慎一。ここから歩いて十五分で着く、青隆学園高校に通う高校二年生だ。部活動は陸上部に所属し、これまでに輝かしい功績を見せている。
実際、本人自体は、気が向いていなかったのだが、特にこれといって入る部活もなく、帰宅部を希望していたが、三年の陸上部の先輩に指名がかかり、入部を決めたのだ。
それからというもの、やはり逸材という存在もあり、
順調に自分の力を上達させていった。
ガチャ……。
「ふぅ〜……お待たせ〜慎ちゃん!」
出てきた女性も、慎と同じく青隆学園高校に通う、クラスメイト。
愛房加代は息を切らしながら、必死で笑顔を作った。
「お待たせ〜……じゃねぇよ!まったく、あと少しで俺も熱中症患者になっちまうトコだったぞ!」
「だって、加代の髪がね、スゴくハネてたから!ぶああって、だからドライヤーでずっと頑張ってたんだよ!?」大きく手を振り上げ、朝起きた時の自分の髪をジェスチャーで大袈裟に伝える。昔からの付き合いで、そんな事を飽きずやっている加代を、呆れながら慎は見ていた。
実はこの二人は、入学当時に付き合いだしたカップルである。言い出したのは加代の方からで、この事は一時期、学校の校内放送に流される程だった。
あの硬派の相模君が!?という女生徒の意見に対し、
あの愛らしい愛房さんが相模なんかと!?
などなど、その後も発展した噂は様々。
そして今頃、そのほとぼりが冷めた時期である。
「さっさと行こうぜ。また澪サンに怒鳴られるぞ」
「あっ、もうこんな時間!!急ぐよ、慎ちゃん!!」
加代に手を引かれながら走り出す二人。
空を見上げると、どうやら今日は雨は降りそうにないな…。












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