またしてもサブタイトルが変わってしまいました。申し訳ありません!
しかしながら、内容は今回とてもこっているつもりです。どうか温かい目で見守ってあげてください。
第十五話「二人の想いと新たなる力」
季節は6月。高町家に通うようになってもう一ヶ月が経とうとしていた。まだシャドウは動きを見せず、沈黙を続ける。そして、俺は士郎さんと剣の特訓を重ねていた。
「っく!ハァ!」
「甘い!」
「ぐっ・・・!」
剣を振るうが、捌かれすぐに反撃される。駄目だ、これ以上やっていても勝てる気がしない。すると、士郎さんが剣を収めてしまった。
「えっ・・・!?」
「今日はここまでだ。今の状態じゃ、俺には勝てない」
「大丈夫です。まだやれます!」
「駄目だ。なのはから無理はさせないように言われていてね。それに店に戻らないと」
士郎さんが指を指すと、もう6時半だ。これ以上店を開けるのはまずいだろう。
「わかりました。ありがとうございます」
「うん。だが、確実に強くなっているよ。自信を持つといい。」
「あ、はい・・・とりあえず店に戻りましょう。桃子さんたちがきっと苦労していますから」
「ああ、そうだな」
そう言って俺たちは道場を後にする。俺は士郎さんたちに教えてもらう代わりに、店の手伝いをしている。店に着き、扉を開けた。その瞬間、ものすごい殺気を感じた。こころなしか、冷や汗まで出てくる始末だ。すると、そこには4人の修羅というべき存在がいた。その真ん中で、なのはが汗をダラダラと掻いて、ソファー席で正座している。その修羅の一人に手招きされた。逃げようとも考えたが、なのはが助けてと視線を送ってくるため、俺は仕方なく席に座った。もちろん、なのはと同じ真ん中に。
「じゃあ、説明してくれる?直人・・・?」
修羅の一人、フェイトがニッコリと笑って俺に言う。ただし、その背中にはドス黒いオーラが立ち上っている。他の修羅、はやて、アリサ、すずかも同じだ。
「えっと、何を?」
「どうして連日なのはの家に泊まっていたのかに決まっているじゃない?」
アリサが拳を固めている。恐らく返答しだいでは鉄拳制裁が待っているのだろう。とりあえず真実を話しすぎるのは良くないようだ。
「とりあえず、簡単に説明「簡略禁止!」・・・はい」
アリサに怒鳴られ、とりあえず俺は説明した。なのはに知り合いに腕に覚えのある騎士がいないか尋ねると、なのはの兄の恭也さんが戦うと買って出て、その後士郎さんに剣術を習うこととなり、帰ろうとしたらもう遅いということで泊まることとなったこと。それ以後、熱が入りすぎた日には9時を過ぎてしまい、致し方なくなのはの家に泊まっていたと話した。とりあえず恭也さんと戦うことになった少し前のことは黙っておくことにした。これ以上言ったら殺されそうだから。
「・・・事情はわかったで・・・でも、その前に、なんでその相談をうちらにはせんの?」
「そうだよ、私だって剣は使えるし、はやての所にはシグナムがいる」
「あたしだって力になろうと思うわよ!」
「どうしてなのはちゃんだけに相談したのかな?」
皆の目が怖い。なんかもうその睨みつけるだけで人を殺せそうな勢いだ。周りの席の人たちはそそくさと代金を払って出て行ってしまった。
「フェイトとはやては忙しそうだし、アリサやすずかは魔法のこと関係ないし・・・」
「「関係ないわけない!」」
アリサとすずかに怒鳴られる。フェイトとはやても睨みつけているままだ。
「あたし達だってもう赤の他人じゃないのよ!」
「フェイトちゃん達に聞いたよ?マリカさんが敵に連れ去られたって」
「でも、それは二人には・・・」
「「関係ある!」」
もう圧倒されっぱなしである。いつの間にか店内には自分達しかいない。桃子さんが遠くで苦笑しながら閉店の看板をかけていた。
「あんたね、一人で苦しんで何になるのよ!」
「そうだよ!私達は魔法も使えないし、戦うことも出来ない。でも・・・」
「「一緒にその苦しみを背負うことは出来る!」」
「二人とも・・・」
なのはもこれには驚いていた。まさか、二人もここまで言うとは思っていなかったのだろう。俺だってそうだ。フェイトとはやてはそれを聞いていたのか、もう睨んではいなかった。
「だけど・・・「口答えしない!」・・・はい」
「いい!?あたしだってね、好きでこんなこと言ってないのよ!?あんたが心配だから言っているの!わかる!?」
「私達を守ってくれる・・・そう言ってくれるのはとても嬉しい。でも、直人君は誰に守ってもらうの?」
二人の言葉が見に染み渡る。この二人は俺を心配してくれていたんだ。怪我をした時だって、泣きついて心配までしてくれた。そんなこと、普通はしてくれるものじゃない。
「・・・・二人とも」
「「何?」」
「ごめん」
俺はただ一言、そう言った。俺はただ一人で走り続けていたことにようやく気がついた。俺だって、守ってもらっているんだ。すると、二人が顔を赤くした。
「わ、わかればいいのよ!」
「うん、わかってくれたなら、それでいいよ・・・」
俺は心の中でため息をついた。これでようやくこの威圧感から開放される。そう思った。しかし・・・
「直人君?これで終わりかと思ったら大間違いやで?」
「そう、まだなのはの家に泊まったことは片付いてないよ?」
二人に心を読まれた気がする。二人の笑顔が怖い。アリサとすずかも笑っている。
「4人で色々考えたんだけどね」
「明日から土日+月曜と火曜と水曜は連休でしょ?」
そう、学校の小学、中学、高等学校の設立記念日が月曜と火曜と水曜日で並んでいるのだ。
「よって、直人は明日から私達全員の家に一日ずつ交代で泊まりに来るようにしなさい!」
「「ええ~!?」」
俺となのはは思わず声を上げた。なんだその休日を潰されるような企画は・・・
「お、おい!なんだその滅茶苦茶な話は!」
「そうだよ!なんでそうなるの!?」
「なのは?直人を独り占めにしようなんて100年早いわよ?」
「そうそう、大切なものは皆で共有するんだよ?」
俺はものか。という突っ込みをすずかにする前に、アリサが机を叩いて立ち上がる。
「と、に、か、く!これは決定事項よ!それで、これが予定表ね!」
一日目 フェイト
二日目 アリサ
三日目 はやて
四日目 すずか
五日目 なのは
「おい、なんでなのはに怒っていたのになのはまで日程に入ってるんだ。」
「それは当然、共有するからには、なのはが入らないのはおかしいからよ。」
おい、俺に人権はないのか。などと思っているが、フェイトがニッコリと笑みを浮かべる。
「直人?明日はちゃんと家に来るんだよ?」
脱出不可能。転移魔法はマリカがいないから出来ない。俺はため息をつくしかなかった。
みんなが帰った後、俺は翠屋の掃除を終え、帰宅することになった。すると、なのはが寄ってきた。
「ごめんね、直人君。私が最初にあんな我侭言ったから・・・」
「いいよ、おかげで強くなる特訓をさせてもらってるんだ。これぐらいはね・・・それに」
「それに?」
「皆と会えて、こんな楽しい日々を送れるんだ。恩返しくらいしないとな。それじゃあね」
そう言って俺は店を出て行った。俺は帰路につき、しばらく歩いているといくつかの視線を感じた。俺は360度が見渡せる広い公園に出ると、立ち止まった。
「・・・出てきたらどうだ?」
俺がそういうと、複数の影が飛び出した。4人の黒服。
「・・・誰だ?お前ら」
「我々と一緒に来てもらおう」
「嫌だ・・・と、言ったら?」
「無理やりでも連れて行く」
黒服の中でも、一番体格のいい男がデバイスらしきものを構えた。俺もメシアに手をかける。
「メシア、やるぞ」
『了解、マスター』
そう言ってセットアップする。それと同時に4人が俺に襲い掛かった。
「きえええええ!」
「ん!?」
敵が襲い掛かってくるとき、俺は異変に気がつく。
「はぁ!」
「ぐあ!」
敵をいともたやすく吹き飛ばした。ぜんぜん力を入れた覚えがない。
「なんだ、この感覚・・・・」
「よそ見している暇があるのか!」
別の男が今度は槍を突き出すが、俺はそれを避け、掴み取った。
「一つ聞くぞ?本気でやっているか?」
「なんだと!?ガキの癖に生意気を!」
そう言って怒った男が槍を振る。だが、やはり一つのことに確信を得た。
「遅い!」
俺はそのままメシアを使わず、とび蹴りで槍を持った男を吹き飛ばした。そう、遅い。敵の攻撃も、動きも全て見えるのだ。
「これが、士郎さんが言ったことか・・・」
その後も襲い掛かってきた一人を吹き飛ばし、最後に先ほどの体格のいい男が残った。
「ふむ、貴様やるな・・・」
「・・・あんたみたいなおっさんに言われても嬉しくない」
「ふっ・・・まあいい・・・今度は私が相手だ」
そう言って男は手に持っていたランスを構えた。俺は構えを取る。正直、こいつは強い。理由は殺気が尋常ではないからだ。
「・・・・・・いいだろう」
数秒の沈黙。そして・・・
「「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」」
俺は駆け出し、男も駆け出した。そして男のランスとメシアが激突する、まさにその時だった。
「やめい!!」
「「!!」」
一人の男の渇が入った。ほんのあと数センチで互いの武器が交わる寸前だった。そして声がしたほうを見た。そこにいたのは、紺色のスーツに身を包んだ初老の男。
「アルザック、そのランスをしまえ、失礼だ」
「はっ!」
そう言ってアルザックと呼ばれた男がランスを待機モードに戻し、懐にしまった。俺もメシアを戻し、男を見た。
「誰だ?」
「自己紹介が遅くなった。私はクラウン家20代目頭首レット・クラウンだ」
「クラウン家・・・そのクラウン家が何のようだ?」
「少し君と話がしたくてね。もちろん、ゼオンのことだ」
レットが喋る。俺はその理由がいまいち理解できなかった。なぜ、この男は俺の前に現れたのか?それが理解不能だ。だが、その前にやるべきことがあった。
「聞いてもいいが・・・その影にいる奴の武器を引っ込めてもらおう」
「ほう、気がついていたか・・・やめさせろ、アルザック」
「はっ!」
アルザックが手を上げると、黒いスーツを着た女性が武器を収め、肩ひざを突く。
「君の名前を聞いていいかね?」
「管理局嘱託魔導士、井上直人」
「ほう、管理局員か・・・」
と、レットは少し驚いた表情だ。だが、俺はそんなことを話している場合じゃない。
「とっとと本題に入ってくれ・・・あんたは何故俺に会いに来た?」
「貴様!レット様に対して・・・」
「いい、アルザック。君を探していたのは言うまでもない。我が息子、ゼオンのことだ」
「ゼオンの・・・?」
「そうだ。我が息子が革命団を率い、何かをやらかそうとしている事を局から聞いた。3年間、ゼオンとそのデバイス、マリカとメシアを探したが、見つからず困っていた。だが、君が現れ、ゼオンと接触したと聞いてね。」
「それで?俺に何をしろと?」
「君にゼオンを止めてもらいたい。報酬は望むまま支払うとしよう」
そう言ってアルザックがアタッシュケースから金を見せる。だが、俺の答えは決まっていた。
「断る。そんなものを受け取る気も、あんたらのために戦う気もない」
「ほう、どういう意味だ?」
「俺は管理局のためでもあんた達のために戦ってはいない。俺は、俺のために戦っている。」
その言葉に、レットが眉を少し吊り上げる。そして・・・
「・・・・・・ふっふっふ・・・はっはっは!」
「何がおかしい?」
「いや、君のような若者を見るのは久しぶりでね。」
「俺を試したな?」
「いや、すまなかった。確かに君達にゼオンを止めて欲しいのは確かだ。そして、その様子では私達一族のことはもう調べているようだな。」
「あんた達一族がどれだけ非道なことをしてきたのか・・・俺たちはもう調べた。ゼオンだって、その被害者の一人だ」
「・・・確かに、ゼオンは人工的に作られた人間だ。だが、私は奴を息子と思っている。」
「なに?」
「ゼオンは、プロジェクトFの力を元に生まれた子供だ。だが、それには理由があった。結婚した私達夫婦には子供が宿らなかった。だから人工的に子供を作り出した。それがゼオンだ。」
「違法だとわかっていて作ったのか」
「もちろんだ。私達はその罪を償うために、あの子を息子として育て続けた」
レットの表情に悲しみが浮かぶ。だが、俺は警戒を解かない。
「だが、あんた達の罪はそれだけじゃない。キマイラの精製、密売に始まり、デバイスの違法実験・・・あんた達は、どれほどの罪を重ねる気だ」
「わかっている。先代から行ってきたことだ・・・」
「なら、どうして!」
俺には今までにないほどの怒りがこみ上げていた。先代から?なら何故償おうとしない?そして何故、わかっていて罪を重ね続ける?
「私の代で、その罪を全て清算する。もしゼオンを止めてくれたら、私は管理局にいや、管理世界全てに私達一族の罪を認めるとしよう。」
「・・・・・・それは、信じていいのか?」
「ああ、もちろんだ。今にも、ゼオンは苦しんでいる。私はそれを助けたいのだ。」
「・・・・・・・・・」
「もちろん、先ほど言ったようにただとは言わない。金を受け取ってくれないなら、代わりにこれを受け取ってもらえぬか。」
そう言ってレットが取り出したのは一つの十字架に燕が飛ぶ姿を付けられた、鎖のブレスレット。
「それは?」
「我がクラウン家に伝わる初代頭首が使っていたデバイス『ブレイブスワロー(勇敢なる燕)』だ。これを君に託したい。」
「ブレイブ・・・スワロー・・・」
俺はそのデバイスの美しさに見惚れた。その十字架の上に跳ぶ燕の姿が、美しかったのだ。
「頼む、ゼオンを救ってくれ」
「・・・勘違いするなよ。俺はゼオンのためには戦わない。俺は、俺のため・・・俺の大切なもののために戦うんだ。」
そう言って俺はブレイブスワローを受け取った。すると、女性の声がする。
『初めまして、新たなるマスター』
「お前もインテリジェントデバイスか」
『はい、メシアは私を元に開発されています』
「そうなのか、メシア」
『はい、その通りです。ブレイブスワローは私の兄弟機にあたります』
俺はそのブレイブスワローを腕に付け、レットを見た。
「約束は守れよ・・・」
「ああ、わかっている。頼むぞ、井上直人」
「ああ」
そう言って俺は公園を後にした。
「よろしかったのですか?あのような子供に・・・」
「アルザックよ・・・お前の目は節穴か?」
「は?」
「彼の目には、一人前の戦士としての覚悟があった。私は彼に賭けてみたいと思った。彼なら、ゼオンを救い、私達の罪を消してくれそうな気がした」
「レット様・・・」
アルザックは未だ心配そうだ。だが、私には心配などなかった。
「アルザックよ・・・私達老人ではなく、彼のような若者が未来を変えるのだ。汚れきったこの老いぼれには、道標になることしか出来んのだよ。」
そう言って私は帰路につく彼の背中を見続けていた。
さて、またしてもオリキャラが出ましたね、そして次の話はとうとうギャグというか、恋愛話が連発します。多分一話じゃ終わらないな。
直人「おい、どういうことだ?」
秋風「なにが?」
直人「新デバイスのことだ。なんであんなのが出て来るんだよ」
秋風「今回はまじめに考えて出してみた」
直人「いつもまじめじゃなかったのか!」
秋風「そういうわけじゃないが、今回はこれはいいな。という理由があってのことだ。」
直人「それならいいが・・・」
秋風「まあ、君の乱立フラグは揺るがないけどね」
直人「やっぱりか!てか、なんであんなの書くんだよ!」
秋風「楽しいからに決まってるじゃん」
直人「やっぱりか!あんたはいつも・・・」
秋風「ストップ、今回はブレイブスワローの紹介あるからここまでな」
直人「なんだとぉぉぉぉ!!」
ブレイブスワロー
稼動暦 旧暦からのため、不明
形式 古代ベルカ式
待機モード 十字架のブレスレッド
展開形態 剣(メシアとは形が異なる)
好きなもの 光 気高き心
嫌いなもの 闇 歪んだ心
クラウン家初代頭首「ゼオン・クラウン」が使っていたデバイス。旧暦からというのもあり、その剣の破壊力は凄まじい。扱える人間も限られており、訓練をつまなければ使うことは不可能。気高き心を持つものを主と認め、戦いにも自らの誇りと信念を持つ。メシアとは兄弟機であり、メシアにとっては姉のようなものである。剣は普通の剣で、変化はないが、デバイス複合システムを備えている。
秋風「それでは次回第十六話『騒がしくも平凡な日常(ハラオウン家編)』TAKE OFF!」
+注意+
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