挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
GSO グローイング・スキル・オンライン 作者:tera
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

68/429

-68-


「ローレント、素手ではなく武器も使うんだろう?」

 鍛錬に励む人達を見ながら、道場の板間に胡座をかいて座るマルスが言った。
 マルスが気絶してから、俺は師範代からリアルでHPがすり減って行くような稽古を付けてもらえることになった。

 師範代が言うに、
 “ワクワクしたら俺も試合たくなった、どんな手を使ってでもいい倒してみろ”
 だとさ。

 俺には死合いにしか思えない内容だった。
 師範代は最初から【闘気】を使っていた、淡く輝く姿を見て、俺は息を呑みながら【フィジカルベール】の詠唱を開始した。

 完全に受け流したと思えばどんどんHPが削られて行く。
 これが上位スキルと言う物なのだろうか……。
 確か、闘気は道場五段で取得できたはず、目指しましょうか。
 同時に新たな技法も教わった。

 話がそれたが、マルスはスッキリとした顔で俺と師範代の戦いを見ていた様だった。
 そして終わってからぽつりと、呟くのである。

「折れてしまいましたが、六尺棒に、双手棍に、レイピアと大剣を使います」

「なるほど」

 息をのんで、マルスは板間に転がった。

「ついに勝てなかったか、それでも目標にさせてもらう、好敵手ライバルとして」

「どうぞ」

 ライバル宣言された、軽く流しておきましょう。
 互いに切磋琢磨していける状況は悪くない。

「僕は、これから対武器用に紹介してもらったノークタウンの師範代の元へ出稽古へ行く。それが終わったら、そのまま王都の方まで一人旅を続ける予定なんだ。また、どこかであったら試合してくれよな」

 帯を締めなおしたマルスは手荷物を持ってそのまま道場を出て行った。
 腕を組んだ師範代は、何度か頷きながら見送っていた。

 王都か、ここが落ち着けばノークタウンの先を本格的に目指しても良いかもしれない。
 やることは沢山あるな、先んじて、南のエリアを詳しく調べることが重要か。
 エンゴーと呼ばれる古代牙獣と、それによって活発化した森の奥の山岳地帯。

 その他にも、マナズマと恐れられる存在。
 余り考え込むのは得意ではない。
 その前にクラリアス討伐隊も組まれる予定だったはずだ。

「まだ稽古をしていくか?」

「いえ、三段だけ貰い受けます」

「調子のいい奴だ」

 そう言って笑いながら、師範代は帯を持ってくる。
 【道場三段】と書かれた称号と共に、新しい帯だ。

「——道場三段の資格を与える!!」

 インフォメーションメッセージが響く。


[称号”道場三段”を獲得しました]
[師範代から身体強化スキル【三戦】を伝授されました]
[同時に身体強化スキル【三戦】の最適化を実行します]


【黒帯(三段)】
軽くて丈夫な素材で作られた帯。
色で階級と性能を表す。
・防御Lv3
・身体能力系スキルレベルボーナスLv1
・耐久100/100

◇スキルツリー
【三戦(最適化)】
・効果Lv3/10
・消費Lv1/10
・熟練Lv10/10
※称号”道場三段”スキル。


 ちなみにこれも知ってる技法だったりする。
 完璧なサンチンは、あらゆる攻撃に耐えると聞くが、ぶっちゃけそんなことは無い。
 だが、ゲームの世界では違う様だった。

 師範代の三戦立ちに打って出てみた。
 闘気によって逆にダメージを受けた。
 これは使えるぞ。
 流動的な戦いには向かないが、【フィジカルベール】に継ぐ、新しい防御技を手に入れたのは大きい。

「ちなみに、魔法職なんですが」

「それは知らん。が、道場に通う選択肢で悪いことなど一つもない。続けて行けばきっと良いことがあるだろう」

「はあ……、例えば」

「健康に良い。だが、良い筋肉には十分な休息が必要だぞ!」

 いい加減ログアウトするか。
 スティーブンの家に戻るとログアウトした。


 で、五時間仮眠とって再びログイン。
 深夜零時を回っている頃合いなのに、割りかしログイン勢が多いのは何故だろうか。
 グローイングスキルオンラインの世界はやっと昼過ぎである。
 これも時間軸おかしいよな。
 個人的に六時間くらいずらせばもっと人がくるんじゃないかと。
 俺には関係無いけどね!

 さて、何しますか?
 狩りですか?
 冒険ですか?
 素材集めですか?
 ……生産活動ですか?

 久しぶりに釣りするか。
 ボロボロになった筏は、倉庫に閉まってある。
 改めて結びなおして……、いや、組み直して網でも作ろうか。
 糸は沢山あるんだし。

 ではスティーブンの工房を利用させてもらう。
 煉瓦で作られた工房内に、スティーブンは見えなかった。
 外出中かな?

 素材は骨で行く。
 相変わらず、鉄の加工なんて俺には無理だ。
 使う素材は有り余るフィッシャーガーの骨。
 そこそこ真っ直ぐでそこそこ丈夫。
 削って、彫って、編み針の形状を整えて行く。
 編み針自体が、針よりも大きいが、繊細な道具だと思う。
 真ん中の彫りから、糸を掛ける部分を削りだしていたら……、はい案の定折れました。

 気を取り直して、再び削りましょう。
 幅7mm、厚さ2mm、長さ190mmほどの編み針を削りだすのは指南の技だった。
 ちなみに竹やナイロン素材で作られる。
 試行錯誤の末、どうにか形になった。

 ふと、普通の木製だったらどうなる?
 と思って工房に置いてある木を拝借し利用してみた。
 師匠の物は、弟子の物、ぐははは。
 結論、木って加工しやすいのねぇ。

 後は編み目と段数の大きさを揃える当て木を削る。
 これは定規サイズに整えるだけなので簡単だ。
 大きめ、普通、小さめと整えてみた。
 小さめなのは攩網と生簀を作る際に利用するとして、普通サイズと大きめサイズは投網、地引き、その他諸々で利用させてもらう。

 ……まずは小さな攩網から作ろう。
 日和った俺は小さめの網から編んで行くことにした。

 そして二時間かけて完成した攩網。
 思ったよりも時間かかった。
 段数は百段いってないかな、目の数も百以下だと思う。
 それだけ終えて、フレームなんかはまだ作ってすらいない。
 生簀に使えるだけの網となると……、考えるだけで億劫になってきた。

 フレンドリストを無言で開くと、メッセージを送る。
 そして、道具を全て持って、気がついたらミツバシの工房に居た。

「マジでか」

「細工師、頼む。細工師」

 ミツバシに編み方を教える。
 本編みでいいよ、本編みで。
 そしてサンプルとしてさっき攩網用に編んだ物を見せるのだ。

「これでどれくらい?」

「二時間かかった」

「うそだろ……、ほらそこ、漁師スキルで簡単に作れたりしないの?」

「……その手があった」

 と、言う訳でスキルを調べてみるが、無かった。
 気になるのは漁具パラメーター、そして注視するとパッと今まで作った漁具やら作り方やらが出現。


・漁具Lv3
[製作履歴を見る]
[製作ガイド]
▷[釣り針]
 [魚鉤]
 [釣り竿]※漁具レベル5で解放
 [漁網]※漁具レベル10で解放
 [釣り舟]※漁具レベル15で解放


「見た?」

「見た」

 一見にしかずということで、即行これをミツバシに見せてみた。
 感想は?

「小舟……、作れるっぽいな」

「それな」

 筏の作り方とかネットで調べなくても良かったんや。
 スキルが便利だと言うことがわかった。
 簡単製作は出来ないのかと思って更に調べてみると、この漁師スキル、新米用のスキルなんだってよ。
 レベルマックスにすると中堅漁師が解放されるんだとか?

 薬師が見習い、下級、中級とあるように。
 全ての生産スキルにもそう言ったランクがあるらしい。
 難しいな。

「レベル三しかない」

「俺も漁師スキルなんて振ってもいない」

「頼む」

「ええ、まあ良いけど。生簀に釣った魚入れれるんだろ?」

「そこは共同経営みたいな?」

「あり」

 そんな訳で、スタートした。
 工房をフルで使いながら、デカい網をあんで行く。

「小魚は逃げれるように、編み目は大きくしよう」

「了解、その方が手間も少なそうだ」

 100mm×100mmは流石に大きいと思ったので半分の50mmで行くことに。
 グレイリングを養殖するのだ。
 というか、いつでも誰でも食べれるようにグレイリング生簀を作っておけば、サイゼ辺りが買いにくるだろう。
 バルサの筏は分解して生簀の縁として利用しよう。
 今のうちにニシトモに連絡しておく。

「十かけ五メートルくらいのを五つだよな? 箱状にするから」

「うむ」

「……ちょっとログアウトしてエナジードリンク飲んでくるわ」

 ミツバシがログアウトした。
 俺もコンビニ行こ。
 と、言う訳で小休止を挟んだ上で、二人で製作すること三時間。
 編み目が大きいのでそこまで神経を使うことも無かったが、単純に作業量が鬼だった。

 完成ではない。
 二分の一が終わった所。
 ミツバシの手際は素晴らしい物だった。
 俺一人だと一日以上費やさないと完成までこぎ着けれなかったかもしれない。

「後半分か! もう夕方近いぞ」

 ミツバシの言う通り、工房の窓から見える景色は赤めいていた。
 リアル時間では既に夜明けなんだなこれが。

「そうだローレント、桟橋がついに完成してるから、作ったら見に行こう」

「おお、行こう」

 そんな提案をしてくるミツバシ、まだまだログアウトする気は無さそうである。
 少なくともあと三時間かけて網を終わらせてから拠点へ向かうことになる。
 良いのかそれで、とは思わないでおく。
 良いんだそれで。


[生産スキルポイントを獲得しました]
[生産スキルポイントを獲得しました]
[生産スキルポイントを獲得しました]


「我ながら、立派なもんだぜ」

「生産スキルポイント、三も上昇した」

「俺は二ポイント。まあこんだけ集中して長い時間やってたらなあ」

 無視していたインフォメーションメッセージのログに軽く目を通して、腕を組み出来た網を見据えるミツバシを向き合って硬く手を握りしめた。

 何かを成し遂げる。
 こんなに気持ちのいい物は無い。
 さて、スキル振りだ。
 生産ポイント溜まったから振るぞ。


生産スキルポイント:4
◇生産スキルツリー
【漁師】
・操船Lv1/20
・熟練Lv8/20
・漁具Lv3/20
・水泳Lv1/1


 現在のパラメーターである。
 他にも【採取】【工作】【解体】等の生産スキルは所持しているが、ここは漁師スキル一択でいいだろう。


生産スキルポイント:0
◇生産スキルツリー
【漁師】
・操船Lv1/20
・熟練Lv10/20
・漁具Lv5/20
・水泳Lv1/1


 熟練をキリが良い数字まで上げて、後は漁具に振っておいた。
 釣り竿ガイドが出現するね。
 でも素材が無いよ!

「ミツバシ、漁師スキルに?」

「いや、俺はこの漁師ポイントを細工師に全振りする、そしてやっと下級後半戦だ」

 戦闘スキルにも振っているミツバシは、全てにおけておんぶ抱っこで、レベルアップ全てのスキルを薬師に振るレイラと違って成長は遅いらしい。

 それでも第一線を張って来た生産職らしく、そろそろ中級細工師へと至れるそうだ。
 さらに蛇足だが、自分の職業クラスよりも生産職のクラスが高くなってこそ、生産職を誇れるらしい。
 何だそれは、知らんがな。と思ったが、システム的にも【職業:戦士】の項目が【生産職】の名前に変わるんだとか。

 漁師に変わるとかカッコ付かな過ぎなので、意地でもレベル上げして魔法使いの上位職を取りに行こうと心に誓ったのだ。

「相手に鑑定されて、生産職が一番に来てこそ、生産職なんだよ」

「レイラすげえ」

「戦闘はおんぶ抱っこだけどな、あいつ」

 解毒や回復を任せられるなら下手な補助魔法使いより良いだろうな。
 ポーションは、回復だけでは無さそうだし。
 色んな可能性が潜在してそうだ。

「じゃ、この網をどうやってしかける?」

「浮きと木枠を作って浮かべようかと」

「少し上流に杭打ってみるか?」

「必要な物は、ロープと杭と……、あと木材と重石と」

「沢山あるな、水中で固定するのって中々骨が折れるだろ」

「色々試すしか」

 そんなことを言いながら、俺とミツバシは諸々の準備に取りかかった。
 なんだかワクワクして来たぞ〜。


サンチンでました。
使いどころは、まあ闘技大会であるでしょう。
後はそうですね、道場段位のボーナススキルについては既に決まっています。
四段はホニャララ。

そろそろ生産職メンバーとの冒険もしたいものですなー。
少し早めの更新でした。
0時頃はいないもので。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ