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GSO グローイング・スキル・オンライン 作者:tera
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-351-※※※アンジェリック視点※※※



※※※アンジェリック視点※※※



「──なっ!?」

 珍しく、トンスキオーネの表情が驚愕に歪んでいた。
 この人は仏頂面か、悪巧み面にしか表情筋が動かないと思っていたのに。

「コ、コンシリエーレ!!!」

 コーサーはそう叫ぶと、戦闘用に携えていた剣を落として甲板の手すりに走って水面を見つめていた。
 こっちはこっちでもっと落ち着くべきでは?
 私の教育もまだまだ足りない様。

 そんな私は表情は変わらないものの、心の中に大きな動揺が走っていた。
 この状況でまさか、プレイヤーキラーが狙って来るのは予期できなかった私が憎い。
 彼は警告したところで聞く人間ではない。
 けれど、大丈夫だと言ったからにはなんとかしてみせると思っていた。
 彼はそういう強さというものを兼ね備えていたから。
 その威風は例えゲームの中でも感じ取れる。
 ただ恐ろしいと思う人間は馬鹿で、挑発する人間はもっと馬鹿。
 選ばれた人間こそ、彼の本当の魅力というものに気づく。
 女は強い男に惹かれるから。

「アッハッハッハ!!!」

 よく知っている声が船内から響いて来る。

「何を笑っているんですの? ……お兄様、まさかレイドボス中にプレイヤーキラーを嗾けるなんて、もともとモラルもマナーもなってないのにプラスして、とうとう馬鹿から本物のゲスに成り果てましたのね」

 思ったよりも冷たい言葉が出てしまった。
 好きな様にさせておくのが吉なので、基本的に私からお兄様に何か言うことはないのに。

「ああ、アンジェリック。そこに関しては問題ない。僕は嗾けてないし、モラルもマナーも守っているさ。それが紳士、みんなを治めるリーダーの務めというものだよ!」

「見苦しい言い訳は止すことですわね」

 そう言うと、お兄様は髪をかき上げ額に手を当て空を仰ぎ、こう吐き捨てた。

「妹よ、実は言い訳ではないんだな〜これが。確かにこの船にはプレイヤーキラーが乗っていたかもしれないが、彼らは僕たちを狙わずにただあいつからキルを取るために動いただけじゃないか? 僕はそれを見て見ぬふりして過ごしただけさっ! ハハッ、でもレイドボスの一撃を食らってあいつが死ぬ瞬間はちゃっかり見ちゃったけどね? ──アッハッハッハ!! ザマァザマァだっ!!」

 とても同じ血が通ってるとは思えなかった。

「状況的にいえば明らかに差し向けておりましてよ?」

「知らないね、なんとでもいえばいいさ。っていうか我が妹よ、お前はどっちの味方なんだ?」

 その言葉とともに、プレイヤーキラーが私の前に二人立つ。
 弓持ちと長剣持ち。
 ローレント様とガツントを殺した二人だ。
 実際には戦いの最中に邪魔をしてレイドボスの攻撃を浴びせるMPK。

「これは脅しですの?」

「……」

「……」

 二人のプレイヤーキラーは黙ったままで何も言わない。
 聞こえて来るのはレイドボスの攻撃をもろに受ける周りのプレイヤー達の声のみ。
 主力二人を失った他のプレイヤー達は、同様のままレイドボスの餌食になってしまっている。

「黙ったままでは何もわかりませんわね」

「彼らは何も言わないよ。とにかく主力級とかいうよくわからない奴らを二人も失うなんて、指揮官としては無能だよね、あのデブさ。だからとりあえず指揮権は変換してもらうよ? 船に船長は一人で十分さ。あ、もちろん全軍僕が率いてレイドボスは倒すから、今まで醜態晒した君たちはとりあえず処罰が下るから──拘束しろ」

「くっ、離しなさい無礼者! この妾になんたる狼藉!?」

「無駄だ、我が妹よ。彼らは利害の一致でしか動かない、そしてお前の周りにいる愉快な騎士達は僕の命令しか聞かない、わがまま姫様の言うことを聞く様に僕が言いつけていたのさ? ハハッ、恩を仇で返したお前が悪い。僕は何も悪くない」

 お兄様はそう吐き捨てて、船内からぞろぞろ出てきた新しいプレイヤー達に私とコーサー、そしてトンスキオーネを拘束させた。

 その他にも拘束されているプレイヤーがいる。
 村議会と呼ばれる第一拠点をまとめる政治ロールプレイヤー。
 やはりお兄様が潜入させていたセイスとシエテがいない……、残された本物の村議員プレイヤー達は大きく変化した周りの動きについていけず青ざめた顔をして震えていた。

 そんな中、

「確か、拘束中のログアウトはインしてからも拘束継続というペナルティがつくんだったか……」

 ローレント様と一緒にいた金髪の女性──確か名は十八豪と呼ばれるプレイヤーが、空を見上げながらそんなことをのんきに呟いていた。

「……こんな状況ですのに呑気なことですわね、貴方もスペシャルプレイヤーの一人なら、ローレント様のカバーに入ることは不可能ではないはずでしてよ?」

「こっちも色々と忙しかったんだよ。攻撃で湖に落ちたプレイヤーの救出とか……ってかあんた、あたしに当たり散らしても事態は改善しないんだけど?」

「なっ」

 言い返された、図星だった。

「馬鹿が馬鹿なことするのは見てた。でもあいつはまだ死んでないはず」

「……なぜ、そんなことが言い切れますの?」

「あれくらいで死ぬタマじゃないってことさ、バーカ」

「なっ! この妾に向かって馬鹿とはなんたる言い草ですこt……って、貴方はさっきからどこを見ていますの?」

 まるで私のことなど眼中にないとばかりに、話半分で言葉を返しながらずっと上を見続ける十八豪。

「いや、レイドボス戦が始まってから、あいつがちょくちょく空を気にしてたから──」

「ハハッ! さて、不穏分子はこれで以上かな? よくやった諸君! そしてレイドボスとギリギリの戦いを繰り広げている諸君も安心したまえ! ここには戦闘のスペシャリストが揃っている! レッドネーム持ちだが、それだけ戦いに慣れている証拠、傭兵団みたいなもんさ! あ、心配しないでいいとも! 彼らは僕たちには攻撃しないからね、そう、僕たちには! 諸君は僕たちの仲間だと信じているよ!」

 十八豪が何か重要そうなことを口にしようとしたところで、お兄様が自信に満ちた表情で、拘束された私たちの元にズカズカと歩み寄る。
 レイドボスは他のプレイヤー達がヘイトを稼いでいた。
 お兄様が勝手に命令したのだろう。

「さて……我が妹よ、僕は悲しいよ。どうして……どうして身内に直接手をかけなきゃいけないのか……」

 そう言いながらお兄様泣いたふりをして目を抑えていた。
 だがすぐに立ち上がると満面の笑みを作る。

「だから罪の意識が薄れる様にレイドボスに倒してもらおう! さすがに血の繋がった妹を直接手にかけるのはまずい、プレイヤーキラーにもなりかねないからな! 厄介なやつを倒してくれた巨大なレイドボスだ、そのまま生贄として飲み込まれてしまうがいいさ!! ハッハッハ!!」

「下衆め……どうなっても知りませんわよ? お兄様」

「まあ、反省したらまた甘えが許される生活に戻してやるさ、とりあえず一度痛い目を見ろ、我が妹よ」

 一人のプレイヤーキラーが私に触れた。
 すると、今まで別の船を襲っていたレイドボスが、こちらの船の方を向いて咆哮をあげた。

 しぶとく戦い方を変えてプレイヤーに対抗するレイドボス・マナズマ。
 あのお方でさえ、まだ倒し切ることができない存在。

 無理矢理にでも船内の私の部屋にとどめておくべきだった。
 そうすればこんな下衆兄様にやられなくて済んだのに……。

 私は唇を噛み締めた。






「あんまり悲劇のヒロイン気取ってると……、──あいつに嫌われるよ?」





 隣の金髪が私に向かってそう微笑んだ。
 すると、空から何かがとんでもないスピードで、私たちとレイドボスの間に落ちて来る。





「──ったくよォ、なんなんですかァ、呼ばれて、落とされて、いきなり目の前にレイドボスって、ほんっと、なんなんですかァ」




ローレントのお気に入り。
三下さんやっとだせますた。



カオス回が多かったですが、そろそろどんでん返しします。
(もしかしたらさらにぐちゃぐちゃになるかも、怒ったやつのせいで)

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