挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
GSO グローイング・スキル・オンライン 作者:tera
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

32/429

-32-

 今日は夜明け前ログイン。
 俺の起床に合わせてローヴォものそのそと起きだす。
 成長しても相変わらず朝一で持ってくるものは自分の餌皿だった。

 アイテムボックスを見るが。
 基本散策が終わったら毎回町へ戻って来ているので。
 うん、食べ物なんて無い。
 それじゃ、厨房の方へいきましょう。

「禁止じゃと言ったろうに」

 スティーブンが既に居た。
 まるで俺が来るのをわかっていたという風に。
 そして、ワインボトルを片手に。

「飲んだろ?」

「いや、味見というか」

「たわけが、留守にするとすぐこれじゃ」

 そこは平謝りするしかない。
 でもローヴォが急かすから仕方ないよね?
 サイゼの料理の味を覚えてから。
 本当にお腹がすいてない限り生食したがりませんし。

「まぁよい。お主も食うか? もちろん、狼の方も……、クラスチェンジしたか?」

「はい」

「という事は……、いや先に朝食にしよう」

 そう言ってテーブルにつく。
 ベーコンエッグにパンでした。
 お、魚もあればサラダもある。
 肉が足りない。
 肉が、肉が。

「不満そうじゃの」

「いえ、まぁはい」

「どっちじゃ。どうせ肉が食べたいと思っておるのじゃろうが、少しは野菜も魚も食わんか」

 スティーブンの料理のお手並みは、美味しかったです。
 量はそこそこ用意されていたので、腹は十分に満ちた。
 そしてスティーブンが本題に入る。

「レベルも14か、アポートのレベルもそろそろ育ちきった頃じゃろう?」

「はい」

「よし、なら今一度、修行の地へ向かう。今日の予定は大丈夫かの?」

「はい、心待ちにしていました」

 そりゃもう心の底から。
 最近負け越し続けて来た悔しさを、アイツにぶつけたい。
 そんな気持ちで満ちあふれております。
 その前に、一つ師匠に確認してみることに。

「自己流ですが瞑想を行ったら得たスキルがあります」

「なんじゃ?」

「これです」


【フィジカルベール】
・軽減Lv1/5
・熟練Lv1/5
・消費Lv1/5
・詠唱Lv1/5


「めずらしい」

 スキルを見せるとスティーブンはそう言っていた。
 何とも、最近の魔法職は【マジックプロテクト】というお手軽なダメージ軽減スキルを利用するらしい。

 【マジックプロテクト】の効果。
 HPが低い魔法職が、受けたダメージの一部をMPで肩代わりする便利スキル。
 急所を狙った即死級の攻撃でも、容易に生き残りに繋がるらしい。

 だがスティーブンは嘆く。

「生き残るかもしれんが、その分MPが無くなれば同じじゃろうに……」

 同意だ。
 即死攻撃を食らう程度なら死んでしまった方が良い。
 戦いの最中、HPを削りきられることもあるだろう。
 でもその時は大体MPも出し惜しみしてないと思うね。

 その分【フィジカルベール】は装備の防御レベルに応じて魔力膜の効果も変わってくる。
 MPを消費して防御力を上げるようなものだ。

 使いどころを言うなれば。
 装備が強くなれば【フィジカルベール】の方がいいのかもしれんが、そんなこと考えずに【マジックプロテクト】は問答無用でダメージを軽減する。

「お手軽防御魔法なんですね。マジックプロテクト」

「じゃが、お主の戦い方ならば、確実にフィジカルベールの方が合っとるじゃろ。さて、そろそろいくかの」

 食器を水につけると、スティーブンと共に魔法陣の設置された部屋へ向かう。
 そして光る魔法陣の中へ入ると。
 知っている荒野へと辿り着いた。

「得物は持っとるじゃろ」

「はい」

 魔樫の六尺棒を借りパクしていることはバレているようだった。
 何も言ってこないのでこのまま使うことにする。

「どれだけ成長したか見てやろうかの」


【ワイルドベイグランド】Lv12
荒野を徘徊する人型の魔物。
荒野の砂埃や石が、長い年月をかけて動き出した。


 以前戦った時と同じレベルだった。
 そう言えばレベル10を越えているのに、クラスチェンジしてないんだな。
 そう思いながら詠唱をセットする。

「ブースト! フィジカルベール! メディテーション・ナート! エンチャント・ナート!」

 得物は魔樫の六尺棒だ。
 サブでヌンチャクを腰に付けておこう。
 先手必勝。
 相変わらずフラフラとした動きの相手の脚を掬う。

 しゃがんだ瞬間蹴りが飛んでくるが、六尺棒で逸らす。
 そのまま軸足を掬い上げて転がすと、相手のHPは残り七割程になっていた。
 正直余裕だ。

 動きもとろいし。
 獣特有の意味不明な耐久力とか。
 師範代の意味不明な動きとか。
 意味不明なスキルとか無いから。

 そしてバラしにかかる。
 まずは腕。
 関節部を六尺棒で滅多突き。
 ボゴッと砕ける音がして左腕が取れた。
 次は右だ。
 もう少しの所で、ベイグランドが起き上がった。

 距離を取る。
 若干攻撃力が追いついてない感じがする。
 出し惜しみ?
 師匠に見せる意味で、出し惜しみは無い。

「息吹」

 熟練レベルはマックスなんだけど、スキル名を言わないと使えない。
 奥の手として使って行くならば、積極的にポイントを使う。
 師範代はレベルマックスボーナスによりパッシブスキルになると言ってたし。

「……ほう」

 俺のHPも減って行くが。
 ベイグランドのHPはもっと早く減って行く。
 破壊可能部位にもHP設定はあるのか。
 HPが半分になると右腕が砕けた。
 これで容易に立てない。

 次は脚だ。
 蹴り上げて裏返す。
 うつ伏せになったベイグランドの右足をヌンチャクで挟んで持ち上げると。
 身体ごと回転する。

 ふははは、これぞデスロールだ。
 捩じり上げられた右足も捥げる。

 HPは?
 残り三割と言った所か。

 片足でも起き上がろうともがくベイグランド。
 組み付いて大体の動きは読めた。
 脚の付け根は脆い様だった。
 なんというか、柔らかい石で出来ているような。
 六尺棒をねじ込んで引き裂いた。

 脚を全て捥がれたバッタのような状態で。
 ベイグランドはもがいている。
 次は頭を叩き割ろう。
 一撃入れた所で、ベイグランドのHPは全損。

 ドロップは?
 【黒鉄鉱石】と【鉄鉱石】でした。

「擦りもせんかったか」

 戦いの様子を見ていたスティーブン。
 少し首を捻ると、俺の黒帯を見ながら言った。

「その様子じゃ道場にも通っとるのか?」

「はい、何かとお世話になっています」

 うんうんと頷くスティーブンは、声色を若干呆れさせながら助言した。

「魔法職で段を持つ奴がおったとはな……、じゃが、それもお主の戦い方じゃろう。フィジカルベールと息吹は伸ばせ、お主にとって悪くない選択肢になろう」

「何故ですか?」

「それを教えるのは無粋という物じゃ、自分で見て、自分で感じて、自分で調べて学んで行かねば、一生身に付くまい?」

 素直に頷いておく。
 その考えには同意だからな。

「その様子じゃ、まだ足りんじゃろう?」

 指が鳴る。
 その魔物を呼び寄せる魔法って教えてくれないのかな。
 そんなことも束の間、現れたのは再び同じ魔物だった。


【ワイルドベイグランド】Lv14
荒野を徘徊する人型の魔物。
荒野の砂埃や石が、長い年月をかけて動き出した。


「強化魔法は無しじゃ、危なくなったら助けてやるぞ」

 その言い方は、俺の心に大いに火をつけた。
 何度戦った相手だと思ってるんだ。
 既に魔法の効果は切れている。
 だが、それで得物が重く感じるようなことは無い。
 最近の【ブースト】なんか、要所でしか使ってないからな。

「武器も要りません」

「ほう?」

「丁度連敗続きで、苛だってた所ですし、ここで負け分を晴らさせてもらうことにします」

 もちろん、勝ち分を取り戻すには。
 ホブゴブリンとバトルゴリラに挑んで勝つこと。
 それに尽きる。

 これはあくまで、負けた腹いせ何だからね!
 ごめんねベイグランド!

 人型の魔物ワイルドベイグランドは良い鍛錬相手になる。
 マルスでは物足りないし、師範代では強過ぎて敵わん。
 手頃にレベルが同じくらいのベイグランド。
 レベルから察するにクラスチェンジしないモンスターなのかな?
 だったらこれからも来ようと思う。
 組み手の為だけにな!

 俺のやる戦法。
 それはひたすら投げ続けるだけだった。
 武器は?
 あるじゃないか、地面だ。

 石の魔物相手に殴り掛かるなんて真似しない。
 相手が重かろうと関係無い。
 俺の本分そこにあるわけだ。

 魔法を使う?
 武器を使う?
 あくまで楽しみの中の一つでしかない。

 自重によるダメージはそこそこ通る様だった。
 そして削りきる。
 俺のHPは?
 もちろん一ミリも減ってない。

「なんと」

 唖然とするスティーブン。
 そして言った。

「アポートは必要あるのか?」

「必要に決まっています。なんの為の魔法職ですか」

「別に魔法職じゃなくても取得は可能なのじゃがの……」

 ファンタジーと言えば剣と魔法。
 だったら魔法職オンリーでしょ。
 俺だって魔法バトルしたい気持ちもあるが。
 今更感がある。

 だったらアポートを使いこなした超魔法バトル。
 を、繰り広げてみたい。
 それのがカッコいいからね!

「なんかもっと面白い魔法スキルないんですか?」

「それは自分の魔法スキルを上げることじゃな」

 でも息吹とフィジカルベールに振ったら。
 スキルポイントなんてカツカツなのでした。
 溜息が下がる。
 少しだけ沈黙が、風の吹く音だけが流れるのだが。


[オギャアアアアアア!!!!]


 荒野をつんざく咆哮が上がった。
 俺は肩をすくめるのだが、スティーブンは僅かに眉を潜めるのみ。
 そして、

「丁度良い、魔法使いの戦い方を見せてやろう」

 指が鳴る。
 彼の手にはいつのまにか古木をモチーフにした杖が握られていた。
 そして、地面を揺らして走ってくる魔物。


【ティラノロッキー】Lv32
荒野の暴力。その顎は全てを噛み砕く。
咆哮を聞いたものは足が竦みそのまま餌食になる。


 恐竜だった。
 ティラノサウルスに良く似た、造形をしている。
 巨大な顎に、頑丈そうな体躯。
 目は何を考えてるかわからない。
 だが、俺らを獲物とは認識しているようだった。
 口から唾液を撒き散らし向かってくる。

 恐過ぎ!
 スティーブンは俺の前に立つと言う。

「なに、アレは腐肉しか食えんただの被食者じゃ、テレポート」

 彼の姿が消える。
 どこだ、と思ったら恐竜の頭の上に居た。
 恐竜は気付いてない。
 そりゃ、一人居なくなっても餌である俺が居ることには変わらない。

 逃げ出したい気持ちは大いにある。
 だが逃げた所でなんになる?
 現時点での俺と恐竜の立場。
 恐竜は絶対的な捕食者には変わりない。

 痛みを持って負けを知る。
 例え死に戻りになろうとも、師匠の戦いを。
 この目でしかと見届けるのだ。

「これこれ、わしの可愛い弟子を食うつもりか? ——スペルリジェクト」

 スティーブンが詠唱し、杖で殴る。
 衝撃が荒野を走る。
 それは恐竜の、ティラノロッキーの咆哮よりももっと大きなものだった。

 猛襲していた恐竜はその一撃で足下を振らつかせて。
 丁度俺の目の前で倒れた。
 空を切る音がして、スティーブンが目の前に現れる。

「無属性魔法は誰でも習得できる。じゃが、属性魔法使いに各種属性のさらに先の派生があるように、無属性にも無属性を選んだものにしか無い魔法があるのを心しておけ」

「今のは、魔法ですか?」

「そうじゃとも」

 今度は唖然とした俺に対してスティーブンが仕返しのように笑った。
 これは、エナジーボール系を上げなくてはならないのか。
 くそ、上げたいスキルが多過ぎてどうにもならん。

「無属性魔法の三次転職の先にある魔法ですか? それはエナジーボールをマックスにしなければ……?」

「それも自分で調べろと言いたい所じゃが、お主はわしの弟子じゃ。スキルとは必ずしも全て上げることは無い。今のは威力に特化した魔法じゃという所だけ、教えておくかのう」

 珍しくヒントをくれた。
 だが、えらいヒントだな。
 答えが出たようなもんじゃないか。

 スキルの方向性が決まった。
 二次転職と言うものまでは、言いつけ通り【フィジカルベール】と【息吹】に振って行こう。
 それで余ったら、【エナジーボール】の威力だけガンガン上げて行こう。

 相変わらずどこかぶれてそうなスキルチョイス。
 え?
 一つにしぼれ?
 いやいや、目の前であんなすごい物見せられたら。
 しゃーないっしょ。

「ふむ、良くない物も呼び寄せそうじゃし、そろそろ戻るかの」

「はい」

 スティーブンは魔法陣を潜って戻っていった。
 あとに続くように俺も魔法陣の中へと入って行く。
 恐竜のドロップ?
 流石にそれは貰えませんでした。


ーーー
プレイヤーネーム:ローレント
職業:無属性魔法使いLv14
信用度:80
残存スキルポイント:0
生産スキルポイント:3

◇スキルツリー
【スラッシュ】※変化無し
【スティング】※変化無し
【ブースト(最適化・補正Lv2)】※変化無し
【息吹(最適化)】※変化無し
【エナジーボール】※変化無し
【フィジカルベール】※変化無し
【メディテーション・ナート】※変化無し
【エンチャント・ナート】※変化無し
【アポート】※変化無し
【投擲】※変化無し
【掴み】※変化無し
【調教】※変化無し
【鑑定】※変化無し

◇生産スキルツリー
【漁師】※変化無し
【採取】※変化無し
【工作】※変化無し
【解体】※変化無し

◇装備アイテム
武器
【大剣・羆刀】
【鋭い黒鉄のレイピア】
【魔樫の六尺棒】
【黒鉄の双手棍】
装備
【革レザーシャツ】
【革レザーパンツ】
【河津の漁師合羽】
【軽兎フロッギーローブ】
【軽兎フロッギーブーツ】
【黒帯(二段)】

◇称号
【とある魔法使いの弟子】
【道場二段】new

◇ストレージ
[スティーブンの家の客間]
セットアイテム↓
[カンテラ×2]
[空き瓶×8]
[初級HP回復ポーション×3]
※残りスロット数:7

◇テイムモンスター
テイムネーム:ローヴォ
【グレイウルフ】灰色狼:Lv1
人なつこい犬種の狼。
魔物にしては珍しく、人と同じ物を食べ、同じ様な生活を営む。
群れというより社会に溶け込む能力を持っている。狩りが得意。
[噛みつき]
[引っ掻き]
[追跡]
[誘導]
[夜目]
[嗅覚]
[索敵]
[持久力]
※躾けるには【調教】スキルが必要。
師弟回でした。
一話5000文字くらいなんですが、長さ的にはどうでしょうか?
最近スキル名を考えるのがひと苦労です笑


お読み頂きありがとうございました!
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ