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GSO グローイング・スキル・オンライン 作者:tera
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「テレビで見た事ありますね」

「ムエタイだな」

 赤く派手な色のモンコンに、同色のパープラチアット。
 頭と腕に巻くアレである。
 ムエタイパンツなんかどこで作ったんだよ。

 まだ見ぬ生産職プレイヤーに居るのかもしれない。
 絞り込まれた筋肉が目立っていた。

「なんで上半身なにもつけてないんでしょうか?」

「様式美って奴かな」

 俺もわからんが、こいつがムエタイパンツの上から黒帯をつけていると言う事は、闘気を扱える可能性が高い。
 素手で戦う理由?
 ポリシーじゃないの?

「ゴアアアア!!!」

 ムエタイ式バンテージが唸る。
 そして強敵と見定め四方から襲いかかるコンバットエイプ。

「シッ!!!」

 肘と膝を使った見事な打撃。
 身体を捻らせ腕を避けると、そのまま残るコンバットエイプに飛びかかりながら拳を振るう。
 おお、見知らぬプレイヤーだが、中々面白い人が居た。
 チェックしておこう。

「ローレントさん前! 前!!」

「おっと」

 こっちにもコンバットエイプが来ていた。
 ファイトモンキーは姿を消して、バトルゴリラとコンバットエイプの数が多くなっている。
 プレイヤー側はどうなっている?
 結構蹴散らされているな。

 弾機銛と十六夜の矢が正面のコンバットエイプに突き刺さり。
 ローヴォが首元を強襲。
 最後はノーチェが踏みつけて終了。

 何と言う強さだ。
 騎馬戦車か。

「解体しないでまとめよう」

「この数をですか?」

 流石に200キロも無いだろう。
 そう言う訳でアポートでひきよせて、トントン防壁の向こうへ送って行く。

「おわああ!」

「死んでる!?」

「すいませーん! 解体お願いしまーす!」

 防壁の後ろに居る生産職の方々が驚きの声を上げる中、十六夜が変に間延びした声でそう告げていた。

「……一人輸送機だな」

 おい、今防壁の向こうでボソッと言った奴。
 出て来い、何もしないから。
 何もしないから!!



「うーん、イベントにしてはパッとしないですね」

 戦況は?
 プレイヤーの篩い分けが成されたってところだろうか。

 祭り陣の中でも、ちゃんと戦う奴が増えて来た。
 死に戻りからの特攻勢はどうなっている?
 依然として、突っ込んで削ってくれている。
 一体どういう状況だと言ってやりたい。

「人海戦術って恐ろしいよね」

「プレイヤーは死に戻っても再び蘇って来ますからね」

「いけーゾンビ兵団!!!!」

「武器は後方支援の生産職が量産してくれるってよー!」

「なんだか面白そうだ!!」

 話を聞いていたプレイヤー達もワルノリして、いつのまにか死に戻り前提の戦いへと発展して行く。
 ふるい分けられた強いプレイヤーは?
 相変わらず猿公相手に一騎当千とは言い難いが、当十くらいの規模で戦っていた。

「撤退はどうします?」

「うん?」

「いえ、貴方が殿を努めるならば私もって思っていたんですが……その必要は無さそうで?」

「皆、危機感無いからもうどうでもいいかな」

「ですよね」

 時折森の奥から火柱が上がる。
 巨大な炎が地を這う様に押し寄せるのだが、そこは祭りプレイヤー。
 全く関係無いと言った様子であった。
 一回デスペナついても、経験値の実入りはいいのだろうな。

「あーあー資源が」

「ミツバシ、来てたのか」

「まあ様子見程度に来てみたら、意外と持ちこたえてるっていうか。ゾンビ達が善戦してるっていうか」

「そのかわり、森の入り口は更地になってますけどね」

 十六夜の言う通りである。
 戦い方っていうか、そう言うのおかまい無しなのよね。
 特攻、死に戻り、戦線復帰。

「ありゃ多分痛覚切ってるな」

「ほんとうにまごうことなきゾンビですか」

 ミツバシと十六夜が二人そろって溜息をついていた。
 侵略モンスターがバトルゴリラ、コンバットエイプオンリーになってから、戦場にまた変化が現れる。
 地を焦がす炎の攻撃にプラスして、雄叫び、地震が起こる様になった。

「ローレントさん、埒があかないので適当に撤退しておびき出そうって話になってます」

 十六夜から戦況報告が入る。
 仮設作戦本部では、これ以上資源の損失を防ぐために自ら作った城壁の中に敵をおびき出す方向へ決議したらしい。

「いや、普通。ある程度狩ったらボスでてくる筈なんだけどな?」

「そうなの?」

「大体のゲームではそうみたいですよ?」

 ゲーム自体をあんまりやらんタイプだから知らなかった。
 そうと決まれば即撤退だ。
 とりあえず団結のために言っておく。

「俺達の森を破壊されてたまるか!」

「どうしたんですか急に?」



 さて、誘き寄せのために撤退を行って、徐々に戦線を下げつつある。
 それでもプレイヤー達の纏まりは皆無。
 単純にお祭りプレイヤー達が猿達に押されてるだけだった。

「まったくもう、どうしたら良いのかしら!」

 様子を見に来たレイラが憤慨していた。
 サポート体制はとっているが、サポートを受けるだけ受けてただ死に逝くプレイヤーが多いこと多いこと。

「相手側をクラスチェンジさせちゃったら意味ないってのに!」

 一つ問題点があるとすれば。
 これは経験値イベントに近しい物があり、そして、それは相手方にも一緒だと言うこと。
 やられたプレイヤーの経験値は何処に?
 そう、バトルゴリラがコンバットエイプになるための糧となっていた。

「奥に引っ込むである」

「でも、そう言う訳には!」

「一人で抱えてても仕方ない。こっちはこっちでやるべきことをやるである」

 ガストンにそう言われながら連れて行かれるレイラ。
 そんなレイラに向かってこんな声が上がった。

「おい! もっとポーションよこせよ! 全然足りねーよ!」

 名前も知らないプレイヤーの声。
 ガストンの動きが一端止まり、レイラが唇を噛み締めながらそいつを見ていた。

「……行くである」

「そうね」

「おい! 生産職だろ!? さっさと俺らのサポートしろ——よ?」

「いい加減にしてください射ちますよ?」

 十六夜が弓を構えてそいつに向けていた。
 目に光りが無い。
 この様子だと本当に射ちかねなかった。

「十六夜落ち着け」

「……この口が臭いのを黙らせるにはこれしか方法はありません」

「く、口!? おい、お前らも生産職か? とりあえずポーションよこせよ? な? カヒッ!?」

 その臭い口に抜き手を突っ込んでやる。
 急所攻撃がクリティカルとして有効打になるゲームだ。
 金的以外にもこういう部分がリアルに作られているのか?

「ァ……ヵ……ェァッ!」

 口内の内容物を全て握って捻る。

「ポーションならくれてやるから、喋るな。喋れなくするぞ?」

 パチパチと瞼で返事する男から手を離すと。
 そのままストレージから転移させたポーションを渡した。

「ヒ…ィ……ッ!!」

 顔色を青くしながら、ちゃっかりそれを持って走り去って行く男。
 そんな後ろ姿を見ながら十六夜が呟いた。

「あの男、沈黙のバッドステータスついちゃってましたね。……っていうかお洒落な技でした。教えてください」

 お洒落!?
 こいつの感性はわからん。




正月は友達の実家から送ってきた海産物を炭火焼で食べる日でした。
何が悲しくて男三人で生牡蠣やらホタテやらエビやらを炭火で焼いて……

と、思っていたんですが。
炭火で焼いた新鮮な海産物は、これまで以上に衝撃的な美味しさでした。
適当にスーパーで買って来た赤エビ。
これ他と比べたら美味しく無いだろうと高を括っていたら。
衝撃的な美味しさへと変貌していました。

そう、友達のあだ名は海山男。
天パで顔が濃くて、そしてもみあげと髭が繋がってしまっている彼が作った料理は、どことなく男の味がして、豪快且つ繊細。
そして独り身の男が安心する、そんな味でした。

(要するに、感動する程美味しかったってこと)
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