クラス分け
3人がクラス分けの掲示板の前に来た時には、すでに同じような学生たちで溢れかえっていた。
「これじゃ見えませんね。」
「「だね。」」
なんとか見える場所がないか探す3人。
そんな3人に後ろから声がかけられる。
「おはよう。」
3人が振り返ると、先ほど話題に上った人物、桂櫻がいた。
母親であるヒナギクそっくりの顔立ちだが、髪はロングでなくショート。また、余分な話だが、体の発育も良い。
「「おはよう櫻。」」
「おはようございます櫻さん。」
何気ないあいさつのようだが、紫はわかっていた。真理奈と櫻の二人の瞳が笑っていないことを。そして二人の視線が空中で火花を散らしているのを。
(やばい!!)
紫がちょっと視線をずらすと、ちょうど掲示板の人が少し減ったところであった。これを使わないことは無い。
「勇人、掲示板見えるようになったみたいだから行こう!!」
「!・・・・」
紫は有無言わさず、勇人を連れ出した。
これは、紫が真理奈と櫻の性格をしっかり心得ていたからだ。
実は真理奈と櫻は二人だけで会う分には良き先輩、良き後輩であり仲が良い。しかし、勇人の前や、勇人が話題に上ると途端に険悪な空気となる。それがエスカレートすると血を見る必要が出るかもしれない。
それを早めに防ぐのは、関係者の中で暗黙の了解になっていた。
そう言うわけで、この時も二人の喧嘩は勇人がいなくなったため、うやむやの内に終わることとなる、
一方、紫と勇人はそのまま掲示板の前にやってきた。
「私たちのクラスどこ?」
「綾崎だから、上の方にあるはずだぞ。」
二人は、公には三千院ではなく、綾崎の性を使っている。これは万が一に備えてハヤテとナギがそうするよう言ったのだ。
高等部1年生のクラスは30人学級が6クラスである。つまりAからFまでだ。
二人はそれを一つずつ見ていく。
そして、まもなく勇人が見つけた。
「あ、あった。B組だ。紫も同じだ。」
勇人に言われ、紫もB組の欄をみる。確かに、綾崎勇人と綾崎紫の名前が並んでいる。
作者注 実際は双子が一緒のクラスになる確率は低いです。
自分たちの名前を確認した二人は、今度は同じクラスの人間がどんな人物がいるかを探す。
そして、紫は櫻と真理奈の二人が同じクラスであることに愕然とした。
(二人とも私たちと同じクラスか・・・・・・・・苦労しそう。)
紫は自分の学生生活は前途多難であると確信した。
一方、その苦労の火種になるであろう勇人は、ある名前に注目していた。
「瀬川美沙・・・・・か。」
勇人はハヤテ達の卒業アルバムを何度か見せてもらっている。そして、彼は同級生の中に瀬川泉という笑顔が良く似合う女子がいたのを覚えている。
確かその人物は白皇卒業後短期大学に進学し、そのあと結婚したが、相手は子供が生まれて直ぐに事故で他界し、今は母子家庭であるという話を、ハヤテとナギが話しているのを勇人は聞いたばかりであった。
(まさか?)
そういう直感というのは、結構当たることが多い。
案の定後ろから声が掛けられた。
「君は綾崎勇人君かな?」
勇人が声のした方に顔を向けると、そこにはあの瀬川泉そっくりの女子が立っていた。髪形は少し違うが、その笑顔はまぎれもなく、あのアルバムで見た瀬川泉だ。
「君は、もしかして瀬川美沙さん?」
「うん。確か同じクラスだったよね。よろしくね、勇人君。」
美沙が手を差し出してきた。直ぐに勇人も自分の手を差し出して握手する。
「あ、よろしく。」
しかし、この行動がまずかった。なぜなら、ちょうどそこに頭を冷やした真理奈と櫻がやってきたからだ。
そして勇人が美沙と握手しているシーンを目の当たりにして、二人の目が点になる。
「「な!!」」
(勇人君が女子と手を繋いでる!!)
(勇人君が、知らない女の子と!!)
どこをどうしたらそう考えられるかわからないが、何故か二人とも握手しているのを手を繋いでいると勘違いした。行動としては同じだが、意味が全然違う。
そして、二人からは怒りの炎とも言えるダークサイドが広がる。
その様子に回りにいた人間は1m下がる。
そして、その時まで掲示板を見ていた紫もそれに気付いた。
(げ!!黒真理奈と黒櫻が出現している。勇人何かやらかしたわね!!)
慌てて移動しようとするが、人が多くて思うように進めない。
(まずい。まずい!!)
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