想いの続き(27/62)PDFで表示縦書き表示RDF


 オリジナルキャラ2
 綾崎(三千院)紫・・・ハヤテとナギの娘で勇人の妹。容姿はナギそっくりだが髪の色はハヤテ譲りの空色。性格はナギほど自己中心的でなく、また世間一般の常識はしっかりわきまえている。ナギと違って絵が下手だが、本を読むのと書くのが好き。また、体力もハヤテや勇人に及ばないが良い。

想いの続き
作:山口多聞



引き継がれた想い


「どういうことなの?」

 泉が理恵に聞く。その表情は不安の表情をしていた。

(嘘だよ。信じられない。嘘って言って!!)

 彼女は心の中でそう思っていた。しかし、理恵は嘘と言ってくれなかった。

「母は、6年前に家族旅行の帰り道の交通事故で死にました。お父さんもお爺ちゃんも。私だけが助かりました。母が私を抱きしめてくれたおかげで、私は助かりました。」

 希望は裏切られた。

「そんな・・・」

 泉は夫に先立たれている。これ以上親しい人の死を見たくもなかったのに、突きつけられたのは厳しい現実だった。

「お母さん。大丈夫?」

 友の死を知らされ、顔色を悪くした母に、美沙がよりそった。

「うん。大丈夫だよ。」

「そうか。理沙が・・・じゃあ君は今どうしているんだい?制服を着ているんだから白皇の生徒なのかい?」

 今度は美希が聞く。

「今は横浜のおじさんの家に住んでいます。この服は母の遺品の中にあったものです。今日のことは、以前住んでいた神社の方が、わざわざこっちの住所を探し出して知らせてくれました。昨日連絡が来て。あの、花菱美希さんですか?」

「え!?そうだけど。」

 いきなり名前を尋ねられ、少し驚く美希。

「あ、やっぱり。母の大切にしていたアルバムの写真の女の子に似ていたので。じゃあ、そちらは瀬川泉さんですか?」

「そうだよ。で、こっちが娘の美沙ちゃん。」

 泉が娘を紹介した。

「よろしくね理恵ちゃん。」

「こちらこそ。」

「私の娘も紹介するよ。由希だ。」

 美希も娘を紹介した。

「川西美希。よろしく。」

「よろしく。」

 3人はお互いの笑顔で見合った。

 その光景は、かつての3人娘を思わせるものがあった。

(あ・・・)

(懐かしい・・・)

 美希と泉は何かデジャブみたいな物を感じた。

 だが、親友の一人が知らぬ間に消えてしまったことはやはり2人にとって大きな衝撃だった。

 泉の口から自然に言葉が出た。

「理恵ちゃん。今度お母さんのお墓を教えてくれるかな?」

 泉が聞いた。

「はい。母もそうしてもらえると喜ぶと思います。」






「あのいい所すいませんが、タイムカプセルを掘り出しましょうか。」

 ここまで思いっきりハブられていたハヤテの言葉に、5人は現実に引き戻された。

「あ、そうだったなハヤ太君。」

「ごめんね。」

 というわけで、早速ハヤテとワタル、さらには勇人や光たちがシャベルを使って地面を掘り始めた。

 しかし、意外と深く埋めてしまったのか、中々見つからなかった。

 ようやく勇人のシャベルの先に金属の物体が触ったのは20分後のことだった。

「あった!!」

 その後、慎重に周りの土を掻き分け、カプセルが完全に掘り出された。

 蓋が外され、それぞれが20年前に入れたものを取り出した。

 20年前に埋めたのは、それぞれ思い出の品と手紙である。

 埋めた品は様々だった。ハヤテは白皇の生徒手帳。ナギは最初に作った同人誌。ヒナギクは生徒会長の腕章。ワタルは、DVD。伊澄は何故かよくわからないがお札。泉は髪飾り。美希は当時情報収集に使っていた手帳。

 そしてそれぞれ手紙を読み、笑ったりした。

 そして、最後に主を失った理沙の品は理恵が取り出した。包みに包まれていたのは細長い物だった。

「これ、マイク?」

「それは理沙が部活で使っていた物だ。」

 そして、彼女は手紙を開いた。

 20年前、理沙が未来の自分に宛てて書いた手紙。

 何が書いてあったかは、理恵以外に知る者はいない。ただ、彼女が涙を流したことだけは事実だった。

 彼女はお礼を言うと、静かに去っていった。

 
 


 

 












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