思い出を辿る道 上
季節は6月になった。制服は夏服になり、梅雨が始まる。そして、中間テストという最初の試練もこの月である。(このシリーズでは白皇は2期制)
ただし、勇人や紫、真理奈そして櫻にしてみれば中間テストを恐れるような要素は何もない。勇人は数学が不得意であるが、あくまで紫と比較しての話で、平均プラス20点ぐらいなら充分取れる。
しかし、そうでない生徒たちには毎日続く雨とともに厄介な問題である。特に、高校生になると単位を取るためにも絶対に見逃せない問題である。
その地獄の週間が終わると、あとは夏休みへ向けて一直線である。
そして、この日はテストの最終日だった。
「やっと終わった!!」
美沙が言った言葉は誰もが思うことであった。
テスト最終日は金曜日。この後2日間の休日を挟んでテストが帰ってくるのであるが、とにかく一段楽した事には変わりなかった。
「ねえねえ、勇人君?」
美沙は帰る準備をしていた勇人に声を掛ける。
「何?美沙さん?」
その言葉に、真理奈と櫻、そして男子陣の視線が厳しくなる。特に、真理奈と櫻の視線は強烈だ。しかし、勇人はもう慣れていた。というか慣れざる得なかった。
「今日部活来れる?」
「ええと、今日は生徒会は確かなかったから行けるよ。」
「じゃあ後で部室でね。」
そうして美沙は部屋から出て行った。恐らく学食へでも向かったのだろう。一方、勇人も厳しい視線にさらされながらも、なんとか教室を脱出する。
「ふう。」
部屋から出た所で安堵の溜息をつく。
「大変だな。」
柱にもたれかかって待っていた紫が声を掛ける。
「ああ。真理奈と櫻がそれぞれ部活に入ってくれていて助かったよ。」
真理奈と櫻が視線だけで行動を取らないのは、自分のたちの部活へ直ぐに行く必要があるからだ。
「じゃあ私たちも部活に行くか。優は先に言ったよ。」
「わかった。」
2人は部室へと向かって歩き始めた。
前回の話で、勇人は成り行きで画像研究部に入った。その後、結局部員が不足した由希に泣き付かれ、勇人は他の人間も誘う羽目になった。
新たに画像研究部に入ることと成ったのが、紫と美沙、そして優である。
紫は特にやる事も無くて暇だから、美沙は面白そうだから、優も同様の理由でOKしてくれた。
もっとも、画像研究部とは言うが、実際には他に映画研究部もアニメ研究部もあるから、やっていることは昔の映像を見ながらお菓子食べて雑談するぐらいである。
しかし、この日は違っていた。
先に部室で待っていた由希、そして昼食を食べてやってきた美沙も加わった。そこで、唐突に由希が提案した。
「今日は地下室の映像でも見てみますか?」
「「「「地下室」」」」
この部室にそんな物があるとは4人とも知らなかったため、驚きの声を上げた。
「ええ。なんでも昔ここで爆発事故があってから、新たに作られたらしいですよ。」
そう言った途端、優の表情が少し気まずそうな物になる。
「どうしたんだ優?」
紫が声を掛けるが。
「なんでもないです。」
結局、それ以上追求するのはやめた。
そして5人は地下室へ。
由希が鍵を開け、電気をつけると、そこには棚一杯のDVDやCD,VHSが置かれていた。
「へえ、すごい数あるな。」
勇人が簡単の声を上げた。
「そりゃあ20年分ですから。」
「どこかにお宝映像でもあるかもしれないな。」
そんなことを皆で言いながら、おもしろい映像や音声がないか探し始めた。
すると。
「これは?」
[ゴーゴー生徒会タンケンジャー・・・ドンペリ怪人ユキジン。]
(ユキジンって、絶対に桂先生だよな。あ、そういえばあの人結婚する前は大酒のみだったって言ってたっけ。)
勇人はそのCDを無視して別の物を探してみる。すると今度は。
「え!!」
そのCDのジャケットには父親のハヤテの姿が。しかも女装して。
それを見て勇人は、タイトルを読む気さえ失せてしまった。
(そう言えば父さん、昔良く女装させられたって言ってたな。まずいな、この写真をあいつら(女性陣)に見せたら僕の貞操も危ないかも。)
彼は気付かれないように、そのCDを懐へ入れた。
そして、さっきと同じように棚の中を探し始めた。
およそ30分後、それを見つけたのは紫だった。
「あ!おいみんな、おもしろうそうなDVD見つけたぞ!!」
その言葉に、全員紫の基へと集まる。
「「「「何!?」」」」
「これだ。」
紫が一枚のDVDを差し出した。
彼女が持っているDVDには、[2007年度卒業記念DVD]と書かれていた。
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