疾風の如く!!
勇人がまずキックで攻撃を掛けた。
しかし、鮮やかに偽ナギはそれを除けた。
「何!?」
勇人の表情が驚愕の物に変わる。
「ふふ。その程度か?」
まるで挑発するように言う偽ナギ。
その隙を突くかのように、今度は光が攻撃を開始した。札をなげ、とにかく偽ナギの力を少しでも弱らせようとする。
「俺を忘れてもらっちゃ困るぜ!!」
だが、その攻撃さえも彼女は除けてしまった。
「クソ!!なんて身軽なんだ。」
「しかもすごい洞察力だ。まったく隙がない。」
二人とも悪態をつく。
「ふん。お前らとのお遊びも終わりだ。じゃあな。」
その二人を見ながら、偽ナギは逃げようとする。しかし、直ぐに突然現れた光の壁によって行く手を阻まれた。
「く!!」
少しばかり表情を歪める偽ナギ。
「何だ!?」
その光景を見て、勇人は驚きの表情に、光はしてやったという表情になる。
「さっき勇人が攻撃していたうちに簡易結界を張ったんだ。これで半径100m以内から外に奴は出れない。ただ、時間制限があって3分しかもたない。それまでになんとかしないと。」
勇人はその言葉に、急いで善後策を考える。3分と言う事は時間の余裕はほとんどない。短時間で相手に致命的な打撃を与える決定打が必要だ。
(さっきの技くらいじゃまた除けられる。だったら、未完成だけどあれを試してみよう。)
「光。ちょっと耳貸して。」
「何?」
勇人は光に小声でごそごそと自分の考えを言う。
「大丈夫なのか?」
懐疑的な表情をする光。
「こうなったら一か八かだ。他に方法はない。」
「わかった。やってみよう。」
光も同意した。
そして、二人は再び偽ナギへの攻撃を開始した。
「行け!!」
光が札を再び投げつける。もちろん、先ほど同様彼女はそれをいとも簡単に除けた。
「馬鹿め!!そんな技ではやられないと何度も言っているだろ!!」
しかし、今度は勇人がほぼ同時に攻撃を掛けた。
「同時攻撃か、考えたな、だがそんなことをしようと私には効かない。」
それを見ても、彼女は余裕だった。だが、その油断が致命的だった。
次の瞬間、勇人の体が空に舞い上がった。
「疾風の如く!!」
勇人が繰り出したのは、ハヤテ最強の技である『疾風のごとく』だった。辺りに強烈な風が吹き荒れる。
「何!?」
さぐない勇人が『疾風の如く』を使えるとは予期していなかったようだ。偽ナギはそれでもなんとか除けようとするが、先ほどの様なキックと違い、空中に飛び上がってしかも高速で攻撃を掛ける勇人に対しては通用しなかった。
敵を侮ったツケをここで払う事となった。彼女は勇人の『疾風の如く』をもろに喰らった。
こうして勇人は初めて『疾風の如く』に成功した。
凄まじい衝撃を受けた偽ナギはそのまま地面に叩きつけられた。
その瞬間を光は逃さなかった、立ち上がろうとする彼女に駆け寄り、そのまま羽交い絞めにする。
「は、離せ!!」
必死にもがく偽ナギ。だが、光は離すわけにはいかなかった。
「離すかよ!!」
そして札を複数取り出す光。残った札を全て使う気だった。
「や、やめ・・・」
何故か彼女はそこから先を言わなかった。同時に、彼女の抵抗が少し弱まった。
「よし。悪しき心よ、消え去れ!!」
彼はそう言うと、彼女の体に目一杯の力で札を張り付けた。
その途端、彼の視界は真っ白になった。
「うわ!!」
それは、偽ナギの負のエネルギーが破裂した瞬間だった。20年分掛けて彼女が溜め込んだエネルギーは凄まじい量だった。
光の奔流が彼に襲い掛かり、彼は気を失った。
「光!!」
その光景を見ていた勇人は急いで彼のいたところに駆け寄った。
光の奔流は数秒後には消え去り、元の庭の光景になった。
「光、大丈夫か?・・・て、これは?」
勇人がそこに見たのは、気絶し横たわる光と偽ナギの二人だった。
勇人は負のエネルギーが消えれば、彼女も自然に消滅すると考えていた。だから、彼女の体がまだ存在する事に驚いた。
「一体どうなっているんだ?」
彼が困惑していると。
「勇人!!」
後ろからハヤテの声がした。どうやら今の騒ぎに気付いて来たようだ。その後ろにはナギや伊澄の姿も見える。
「あ!父さん!!」 |