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想いの続き
作:山口多聞



先輩


「はあああ。」

 盛大な溜息を吐く勇人。

 今は昼休み。生徒たちは思い思いに弁当を食べている時間である。勇人もそうであるが、いつもなら櫻や一哉たちと一緒に教室や中庭のベンチで食べるのであるが、今日は勇人一人だけで、しかも場所も人気の少ない校舎から少し離れた場所で食べている。

「一人で食べる弁当って侘しいな。」

 ふとそんな事を呟く勇人。

 今まで何人もの人間と楽しく弁当を食べていた彼にとって、たった一人で弁当を食べるのはあまりにも侘しかった。

 しかし、何故こんなことになったのか?

 事の起こりは4日前、勇人と従姉妹である真理奈が深夜に二人っきりでビリヤードをしていた事に始まる。

 別にそれ事態には問題はなかったが、問題となったのはそれが知り合いの多くに知られてしまった事である。

 勇人は父親であるハヤテの遺伝子を継いでいるせいか、女子にかなり人気である。勇人自身はまだ誰かと付き合う気は毛頭ないが、女子の方は意外と本気で彼の事を好きである。

 真理奈を始めヒナギクの娘の櫻、泉の娘の美沙、そして伊澄の娘の澄香も彼に恋心を抱いていた。

 その彼女らの耳に、どうゆうわけか真理奈との事が休み明けには入ってしまっていた。そしてそれが彼女らの恋心に火をつけてしまったらしい。

 一緒に登下校しようとするのはもちろんのこと、弁当を一緒に食べようと迫ってくる。そしてその時彼女らが目を合わせる度に火花がちり、空気がピリピリした物になる。

 さらに、それが男子の怒りを誘発させてしまっていた。まあ一人の男子が何人もの女子から誘われている光景を見て、ひがまない男子は稀であろう。

 一日目は何とか紫の手を借りて凌ぎきったが、これが後4回も続いてはたまらない。

 結局、紫の「問題の原因であるお前がいなくなるしかない。ほとぼりが冷めるまでどこか人気のないところにいろ。」という言葉を受け入れ、彼は今の状況にあるわけである。

「けどもしかしたらこっちの方が体に毒かも・・・・」

 一人で食べるのがここまで苦痛とは思わなかった。これが屋敷ならテレビを見るとかの対処法があっただろうが、あいにくと学院内ではそれは無理な話だ。

「何とかしないとな。」

 彼の心の中は憂鬱だった。

 そんな時、後ろから声を掛けられた。

「おお、勇人じゃないか。こんな所で何しているんだ?」

 勇人は声のした方に顔を向ける。

「ああ、朴先輩。」

 そこに立っていたのは、生徒会副会長の朴大一(パク・デイル)だった。名前の通り韓国系の人間である。

 この時代、在日外国人の数はどんどん増えていた。20年前は総人口比1,5%だったのが、今では9%と6倍になり、1割に近づく勢いだった。

 白皇学院の生徒にも、張や孫といった中国系の名前や南米系の名前の生徒も多くはないが見受けられ、もはや珍しい存在ではなくなっていた。

 朴は2年生で、生徒や教師からの人望も厚く人気である。去年は会計を務めたが、今年は会長に立候補するという大方の予想を裏切って副会長に立候補し当選している。

 ちなみに、勇人は結局部活に入らず紫と共に生徒会に入っている。紫が書記で勇人が会計である。朴は勇人に対して4月に仕事を教えて以来、信頼できる先輩になっている。

「どうしたんだ勇人、こんな寂しい所でしかも一人で弁当なんか食って。」

「先輩、聞いてくださいよ。実は・・・・」

 勇人は今までのことを話した。

 話し終わった途端、朴は大笑いし始めた

「アハハハハハハ・・・・・・」

「笑い事じゃないですよ、僕にとっては重要な問題なんですよ!!」

 自分の気持ちも知らず笑う先輩に、勇人は怒る。

「いやすまない。しかし、アハハハ・・・・。全く、もてない俺にしてみれば贅沢すぎる悩みじゃないか。」

「けど、今のままが続いたらこっちがもちませんよ。」

「まあそう言うな。綾崎だってお前の事を心配して言ったんだろ。兄思いの良い妹じゃないか。」

 勇人は朴が妹と言ったとき一瞬視線を落としたのには気付かなかった。

 ちなみに朴は紫を綾崎とファミリーネームで、勇人をファーストネームで呼んで区別している。

「そりゃ、そうかもしれませんけど。だけど、他に良い案なんて浮かびませんし。」

 勇人が考え込む。すると、朴が口を開いた。

「だったら、俺が一緒に食べてやろうか?」

「え!?」

 朴の突然の提案に、勇人は驚いた。

「良いんですか?僕なんかにつき合わせちゃって。」

「いいよいいよ。どうせ一緒に食べる人間なんていないし。信頼できるお前と食べれるなら俺は大歓迎だ。それともなんだ?むさい男の先輩とは嫌か?」

「いいえ、そんなこと決してありません。」

「だったら解決だ。明日からここで一緒にな。」

「は、はい。」

 結局、朴に押し切られる形となった。

「ようし。じゃあ俺は行くぞ。・・・・・っと言い忘れる所だった。さっき放送があった。今日の授業後臨時の役員会があるらしいから。ちゃんと出席しろよ。」

 そういい残して、朴は去っていった。

「朴先輩・・・・」


 初めて外国人を出してみました。











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