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想いの続き
作:山口多聞



旅立ち


「勇人!早く早く!」

 青色の髪をツインテールに結んだ少女が、金髪の少年を呼ぶ。

「そんなに慌てるなよ、紫。」

 金髪の、勇人(はやと)と呼ばれた少年が、紫と呼んだ少女に追いつく。

「だって今日から白皇に入るんだよ、早く行きたいじゃん。」

 少女が嬉しそうに答える。

 二人の名前は三千院勇人と三千院紫。かの大富豪、三千院家の子供である。母親は現当主の三千院ナギ、父親はそのナギの執事を務めているハヤテだ。

 二人は今日揃って、両親の母校であった白皇学院高等部に入学する。

 そんな二人に、一人の少女が声を掛けた。

「おはようございます。勇人君、紫さん。」

「「おはよう真理奈(さん)。」」

 二人の従姉妹である姫神真理奈だ。母親は三千院家のメイドをしているマリア。父親はハヤテの兄である姫神勝だ。彼女は勇人、紫とは同い年である。つまり彼女も今年から高校生。その彼女も白皇学院の制服を着ている。

「さあ、真理奈も揃ったし、行こう。」

 紫の掛け声とともに、3人は歩き始めた。

 その3人を見つめる2人の人物がいた。

「3人とも行ったな。」

「ええ。」

「あの3人は一体どんな学園生活を送るんだろうな、ハヤテ?」

「さあ?僕にはわかりませんよ、ナギさん。けど、とにかく僕みたいなデンジャラスな学園生活にはなって欲しくないですよ。」

 もうお分かりと思うが、勇人、紫の父親であるハヤテと母親のナギだ。

「けど、私が思うに多分ハヤテと同じことで悩むと思うな。」

 ナギのその言葉に、ハヤテが疑問を持つ。

「僕と同じ事?」

「女性関係。」

 その言葉に、ハヤテは苦笑しながら頷いた。

「確かに。」

「なんでもマリアが言うには真理奈は勇人が好きらしいぞ。」

 息子の悩みの種になりそうな事だが、逆にナギはそれを見て楽しんでいるような。まあ、人が他人の恋愛関係に興味を持つのと同じ心理だろう。

「そう言えば、こないだヒナギクさんと会ったときには、(さくら)ちゃんも好きだと言ってましたよ。」

 櫻は、かの有名な白皇の最強生徒会長であった桂ヒナギクの娘だ。

「へえ、じゃああの二人による勇人争奪戦が起きるのかな?」

 ナギが冗談のつもりで言うが、ハヤテには冗談とは思えなかった。

「それはそうと、紫はどうかな?」

 今度は娘に話題が移った。

「紫の方はどうでしょうね?あ、けど一哉君や白瀬君なんかお似合いだと思いますよ。」

 一哉は一樹と咲夜の子供。白瀬は歩と宗谷の子供だ。二人ともそれなりに紫と付き合いがある。

「うむ。二人の恋模様は目が離せんな。」

「そうですね。けど、僕達はあくまで観客です。ここからの物語はあの子達が主役です。」

「そうだな。・・・・がんばれよ、二人とも。」

 二人の愛する子供たちに、心からエールを送るナギであった。

 そして物語は始まる。


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