酒飲み仙人ショタジジイ李白と、TS杜甫の出会い
中国の長い文学史の中で、誰もが認める最上の詩人、李白と杜甫。
二人が同じ時代に生まれて、広い国土の中で偶然出会い、交友を重ねて無二の親友となったことは、まさに天の奇跡と云っても良いと、ある学者述べる──。
時は天宝三載(西暦743年)────
中国、唐の時代である。
長安に首都を構える皇帝は玄宗。彼が現在溺愛しているのは正式に楊貴妃と呼ばれるようになる楊玉環──といえば、唐の時代が斜陽になりつつある頃だとわかるのではないだろうか。
楊貴妃の又従兄弟である超絶浪費ドブ金捨て系奸臣、楊国忠。そして突厥の梟雄、安禄山。そのような人物が現れ出す時代である。
だがいまだその兆しは見えずに唐は隆盛にあったのである。
そんな折りに国の行く末とは全く関係のない話であるが、ある日洛陽に一人の男が足を踏み入れた。
「よぉーし、今日から洛陽で就職活動だー!」
拳に力を入れて洛陽の門をくぐったのは、若者と云うには年を食っているが中年と呼ぶ程でもないぐらいの年頃である。
名を、杜甫と云う。
彼は代々官吏をしている家系に生まれて、今まさにその官吏になるべく就職活動を行っている時であった。まだ歌人として名を馳せていないし、これまでも何の仕事をしていたというわけでもない、どこにでも居る士族の青年である。
年は三十三歳。顔つきは本人は目一杯明るくしている様子なのに、どこか末期の患者めいた不幸面である。
「これまでは就活も今一手応えが無かったけど、この洛陽になら名士もたくさん居る! しっかり頑張ろう! この前お嫁も出来たんだしな!」
強い意志を固める杜甫である。彼は三年程前に結婚した十六歳の嫁と相思相愛なのである。
しかし家は貧乏だ。何せ下級官吏の家柄で、別段世襲でもないので自分で就活をしないといけない。既に就職活動を初めて十年近くなるが、中々世間の風は厳しかった。
杜甫が無能であったわけではない。十代の頃には故郷でもひと角の才能を見せている。だが、それはこの広大な唐の国では突出するような才能でも無かった。
そうして彼は、華やかな洛陽への道を踏み出した。
足元がぐにゃりとした。
目を下に向けると───人を踏んでいた。
「うあああ!? ごめんなさい!」
「ぐ……う、ううう……」
慌ててしゃがんで、うつ伏せで倒れていた人を起こすとその相手の奇妙さが目についた。
まず髪の毛が老人のように真っ白でありながら、顔は十代の少年のようであった。それを緩く結って帽子を被っている。
着ている服と帽子からして、すぐに道士だとわかった。
道士。
すなわち仙道や道教に通じて占いや護符を扱う宗教者である。
この唐の国では初代皇帝の李淵が、李耳──老子の子孫であると主張しているので道教は国教として重要視されているのである。
杜甫は怪しい仙人の術には懐疑的だが、特権階級である道士相手に問題を一歩目から発生させることの危うさはわかっていた。
「大丈夫ですか!? すみません!」
「おっ、おっ」
その白髪少年仙人?は嗚咽を漏らすように口から吐息を漏らしている。
もしかしたら病気かもしれない。その場合は自分の罪はどうなるのか。どうして僕がこんなことに。そう杜甫が思っていると、事態は進行してしまった。
「おっ、おげええろろろっろろろろ……しゃぽあ」
「………………」
抱き上げていた道士が、杜甫の胸元に盛大にゲロを吹き付けた。
酒臭い。
自分がひどい顔をしているんだろうなと杜甫は思いながら、呟く。
「不幸だ……」
「えぺしゃっ……ううん、なんだ、お主ゲロ臭いのう」
「お前だよお前!!」
酷いことを云うゲロ道士を、杜甫は地面に叩きつけた。
こうして稀代の詩人、杜甫と李白は洛陽の地で出会った……。
******
「儂は李白と云う者じゃ。酔い潰れていたのだが、迷惑をかけたのう」
「そりゃあもう。そりゃあもう」
二人は近くの酒家(飲み屋)で水を借りて、互いの服についた吐瀉物を洗って部屋で向き直り改めて自己紹介をした。
「僕は杜甫です。官僚になろうと土地土地の名士を巡っているところでして」
「就活中か。懐かしいのう、儂も暫く前まではそうしておった」
「そうなんですか!?」
「うむ。色々参考になる話も聞かせられようが……」
李白は手を叩いて宿の下女を呼びつける。
「素面じゃ話せんのう! かかか、酒を一斗用意してくれい!」
「ちょっと! 僕払えませんよ貧乏なんですから!」
「安心しろ。人にたかるのは得意だが貧乏人にたかる趣味はない。だって見るからに貧乏人だし」
「貧乏で悪かったな!」
李白は金を下女に支払い、酒壺を持ってこさせた。
そこから柄杓で互いに酒を汲んで、
「っていうか酔い潰れて公道に寝てたばかりなのにまだ飲むんですか」
「? そうだが?」
「心底不思議そうな綺麗な瞳をしているぅ~」
杜甫には酒盃をもたせているのに、李白は酒壺から直接柄杓ですくって酒を飲み始めた。
「ここで会ったのも何かの縁じゃ。この歴史に名を残す超絶酒呑み歌仙人李白のことを若者に語ってやろう……」
「若者って……李白さん何歳なんですか?」
「四十五」
「うわ。年上かこれで……」
見た目はどう見ても十代なのだが。
そして素行はアル中のそれであっても。
「あ、そうだ。気分を盛り上げる為に……」
李白は胸元から小瓶を取り出して、杜甫の酒盃を取り上げて小瓶に入れられた蜂蜜のような液体を入れて、杜甫に返した。
「天下に名高きことになるであろう、道士たる儂の作った仙薬だ。お主はどうも不幸顔しておるから、それを祓ってやろう」
「余計なお世話すぎる……」
「いいから飲め、ほれ」
「はあ」
急かされて杜甫は、あの僅かな量の薬に何の効果があるのか特に考えずに酒に溶かされた薬を飲み干した。
まさか語り出す前に毒を盛るわけが無いだろうと思ったのだ。
すると。
口からゲップのようなこみ上げる感覚を覚えて、慌てて呼気と共に吐き出した。
「ぼふぅ──!」
そういう音とともに口から出た煙は杜甫の体を包み、ほんの数秒で煙は晴れる。
「げほっげほっ……いったい何が……」
咳き込みながら杜甫は胸を押さえて呼吸を落ち着かせようとした。
すると、胸元が妙な柔らかさを出しているのである。
「……え、あれ」
胸を押さえている手が、細くて白い自分のものではないようだった。
誰かの艶やかに伸びた髪の毛がぱさりと、首元から体の前に流れてきた。
股に違和感があり、手を伸ばすとそこにはあるべき逸物が無く、割れ目が残るのみである。
慌てて酒壺を覗きこむと水面には垂れ目の女が映っていた。
李白へと目をやると、彼は神妙そうに頷いて口を開いた。
「完成したようだのう、性転換の仙薬」
「うおおおおい!! りはぁぁぁぁぁく!!」
杜甫は女になっていた。スイーツ。
黒髪ロングストレートな妙齢女子に大変身である。
李白の胸元を掴んでガクガクと揺らしながら、唾を飛ばして激しい剣幕で怒鳴る杜甫子ちゃん。
「何して腐りやがるんだこの酒飲み童子はあああ!!」
「お主が不幸面のおっさんだったから、せめて女の子に変われば薄幸美人になるかとおもったのじゃがのうー」
「のうーじゃねえよ!」
「しかしやってみたら幸の薄そうな女にしかならんかったわ。かかか!」
「余計なお世話だ!」
揺らされながらも一滴もこぼさずに酒を飲み続ける李白である。
杜甫はもう涙目で、
「僕は新婚なんだぞ!? しかも官僚になるために日々頑張ってるのに、女になったら無理だろ! 戻せ!」
「だって薬はもう使い切ったしのうー諦めが肝心じゃよ?」
「諦めざるをえない変化を押し付けたやつがいうことか!」
杜甫の嘆きに僅かも気にしていないと云うように李白は彼女を押し退かして、落ち着かせるように云う。
「まあ話を聞け。この性転換の薬を作ったのには苦い過去があるのだ」
「がるる」
唸る杜甫を無視し李白は語り始めた。
「まずは儂が就活をしていた頃──生まれは蜀で、親は商人だったのだが儂は峨嵋山にて二十五まで道士の修行を受けて、それから官僚になろうと遊行に出たのだな。道士としても才能は充分でほれ、この通り若い頃から不老になる仙力は携わったのだが……」
この場合の遊行とはつまり、土地土地の名士への挨拶まわりのようなものである。
何よりも伝手が物を云う役人への就職は、地方の高級役人や豪族に気に入られるか賄賂を渡しまくるかで決まることが多い。
おずおずと杜甫が手を上げて尋ねた。
「あのう」
「なんだ?」
「李白はなんで官僚になろうとしたんだい? 商人に生まれて道士になりって……今一官僚に繋がらないというか」
もはや呼び捨てで敬語もやめている杜甫である。
杜甫は代々官僚の家系であり、何代か前には高名な学者としても名を上げているので本人が目指すのは分かるのだが。
李白の場合は生まれもはっきりとはわかっておらず、親は西域から来た商人らしい。顔立ちや眼の色もよくよく見れば漢人ではないのである。
それが唐の官僚を目指すと云うのだ。
彼は遠い目をしながら語る。
「儂には夢があったのだよ……」
「夢?」
「そう。いつか長安で官僚になった儂は───天下に一石を投じる名政策を考案して行い、万人に褒め称えられる偉大な宰相として持て囃されたところで、儂の役目はもう終わったようだから隠居をして仙道を極めます……と、誰からも惜しまれつつ勇退をしなんと高潔な人物なのだろうと歴史に残る……」
「……」
「そんな感じのビジョンがあったのだ……」
「阿呆か君は」
杜甫は白けた半目できっぱりと告げた。
目標に具体性が一寸も無い、こうだったらいいなという妄想めいた人生設計であった。
趣味で書いたラノベが出版されてアニメ化し印税生活で声優と結婚するとかそんなのと同レベルである。
だが心底李白は本気であった。
「ちなみにこれは遊行をしていた時に名士に送った、推薦状を書いてくれないかという依頼文だが突き返されてのう。参考に見てみる?」
「どれ」
李白から渡された手紙を開くと、杜甫の表情から幸運度がどんどん低下していく。
マジで後世まで残っている手紙の内容は要約すると以下のようなものであった。
『名士さんへ。
あなたは長安の地で品行方正で弱者に優しく貧民を救い天下国家の為に身を粉にして働く当世の英傑と云えるような大人物であると噂を予予聞いております。
儂は李白と云ってその才能のと来たら世間に歌界の大鵬と呼ばれ、鳥獣から畏れられず語りかけ、悪を許さず故郷では義侠の為に刀を振るい、各地で落魂の貴公子を次々に救済し、未だ世に出ないその才能は巌のように聳え立ち──(以下数行自分を褒める言葉が続く)
儂としては誰の助けも要らずに天下の為に采配を振るうことも可能なのですが、貴方にそれを推薦する権利を差し上げましょう! いいですか、ここで儂を推薦しないとなると国家の損失ですよ!
しかしどうしても貴方が、いえそのような愚昧な選択を取らないとは信じていますがもし儂を推さないと云うならばそれでもよろしい! ただしあとで泣きついてきても知りませんからね!
李白より。』
杜甫は露骨に顔を顰めた。
「これは酷い」
「じゃろう? こんな儂の真摯な願いを無視するとか酷いにも程がある」
「違うよ! 送られた人が可哀想だなって思うよ! なんだこの自信に満ち溢れているのかそうじゃないのか微妙な文面! というか人に頼らなくても就職できるって、人に推薦文を頼む手紙に入れる言葉じゃないよ!」
「杜甫は理屈っぽいのう」
「うーがー!」
余談だが、杜甫の律詩を見ても対句や全体の調律を考えて詠んだ詩が多く、李白の見たまま感じたままを詠んだ詩との違いが指摘されている。
(本当にこの人の話参考になるのかな……)
杜甫が顔を曇らせながらも、李白の話は続く。
「で、不思議なことにそんな調子で二十年ばかし就活をしていたのにさっぱり官僚になれん。仕方ないから嫁をあちこちに作って金をせびって遊んでいたが……」
「最悪だなこの人!」
「ところで杜甫よ、この唐で長安の宮仕えになる四つの方法は知っておるな?」
突然話を振られて、杜甫は自身も就活中なので頷いて応える。
「一つは科挙(国家試験)に受かることだろ」
「うむ。しかしあんなん受かる筈が無い。そもそも儂は商人の子だからのう、試験勉強なんざできん。杜甫は受けたかのう?」
「う、ま、まあ一回受けたよ……落ちたけど」
「さもあらん」
鷹揚に頷く李白がやたら憎たらしかった。
科挙はそれこそ現代でいえば、Aランク大学の学生が首席を争うような過酷な試験であり受かるのエリート中のエリートである。
実際、杜甫が受けた年の受験人数は三千人から七千人、受かったのは僅か二十七人しか居ない。
科挙に落ちたけど歴史では頭脳派の活躍をして有名、という人物が中国史では無数に存在するのだ。
ともあれ、杜甫は次へと話題を移った。
「あとは、自営して宦官になること」
「そう。自営──つまり自分でチンコをちょん切ることだのう。宦官は一気に出世街道だが、ぶっちゃけチンコ切った奴は蔑視されるからやりたくないのが多数派……そうだ!」
「どうしたの李白」
「杜甫! お主ちょうどチンコ失ったのだから宦官を目指したらどうだ!?」
「うるせえええ!!」
再びがくがくと李白の胸ぐらを前後して怒鳴る杜甫であった。
「大体! 自営したら証拠品の切り取ったチンコを見せる必要があるんだけどそれすら無いだろ!」
「安心しろ杜甫よ。長安にはチンコ屋さんがあるんだぞ! そこで買えば問題ない」
「あるの!?」
包屋といい、塩漬けにされたチンコと、そのチンコは当人のものだという証明書を書いてくれる店である。
売っているチンコは宦官が借金の方に売り払ったり、また購入するのも無くした宦官が買いに来たりと隙間産業的に存在していた。
しかし当然ならが杜甫は渋い顔をして、
「宦官なんてなったら親とか親戚に心底軽蔑されるよ……」
と、首を振った。
国教こそ道教なのだが、儒教も根深いこの国としては去勢をして子孫を残さない意志を見せるというのは、人間として最低の屑と思われることも多い。
突然女にさせられた杜甫でもそう思うぐらいだ。
気まずく咳払いして李白は先を促した。
「3つ目は、僕らがやってるように遊行して名士に推薦文を書いてもらって、伝手や縁故で採用される場合だね。科挙をエリートコースとするならこれは通常コースみたいな……」
「うむ。儂もそう思っていたのだがのう、世間の風当たりは妙に強くて」
「……」
先程ツッコミを入れたので、敢えてスルーした。
「あとは……そう! 道士として翰林供奉になることで……」
翰林供奉とはつまり、道教の家庭教師や秘書として皇帝、皇太子に直接仕えることであった。
李白は指を立てて頷く。
「そう、それ。儂はその役職でついこの前まで長安に居たのだよ」
李白は他者からの推薦を受けて官職を得る方法と、道士として皇帝に仕える方法の二種類を並行して就職活動をしていたのである。
尤も、翰林になれたのも試験を受けたわけではなく、道士仲間からの推薦だったのではあるが……。
「へえ~……李白って凄いアレな道士かと思ったらちゃんと偉い役についてたんだね」
「かかか、褒めろ褒めろ」
「幾らでも褒めるから僕を男に戻せよ」
睨んだが、やはり無視される。
「宮仕えをして楽しい毎日を送っておった。儂の皇帝からの覚えも上々でな、楊玉環を詠んだ詩は大層評判だったほどだ」
「どんなの? 僕も詩は勉強中なんだけど……」
杜甫がそう尋ねた。
この出会いの時点では、杜甫はまだ歌人として全くの無名であり、現代に千五百首以上残る杜甫の詩の中でまだ僅か二十前後しか作っていない。
一方で李白は十年以上前から歌で名を上げ、更に宮廷で大いに玄宗皇帝を喜ばせ、他の歌人仲間とも合わせて歌仙の一人と称される名高い歌人なのである。
「一度詠んだ詩を再度読むのはどうも場が違うからのう……まあ、三首のうち一つだけ云うが」
李白が詩を詠み上げる。
「雲には衣装を想い花には容を想う(あの雲を見れば楊貴妃の衣装のように想えて、牡丹の花の鮮やかさは彼女の艶やかな色のようだ)
春風檻を拂うて露華濃やかなり(春風が吹き渡る中で、輝く露が牡丹(楊貴妃)を彩っている)
若し羣玉山頭に見るに非ずんば(仙女住む羣玉山にならばこのような美人に出会えるだろうか)
會ず瑤臺月下に向かって逢わん(或いは月光に照らされた伝説の瑶台におわすのだろうか)」
そんな内容の詩であった。
彼は宮廷での暮らしを懐かしむようにして呟く。
「此れは李亀年と云う歌手が清平調で歌おうとしたのだが玄宗皇帝が『歌詞がゴミだから李白代わりに作詞して』とかメタクソに云ったのでその場で呼んだ詩だのう」
李白の得意とする七言絶句で、楊貴妃を「牡丹」と称したのは当時美人を称える華の種類でも、群を抜いて鮮やかで新しい表現であったという。
その詩を聞いて、杜甫は顔に熱が灯ったようで思わず押さえて俯いた。
「う、な、なんて綺麗な詩を……こんなゲロ仙人がこんな美しい詩を作るなんて……」
「褒めておるのかおらぬのか」
「凄い! 君は凄いよ李白! 感動してるんだ!」
「うお」
顔を赤らめて興奮したように、李白の両手を取ってぶんぶんと振ってくる杜甫である。
思わず酒を汲んでいた柄杓から手が離れ、上に放り投げた柄杓を李白は口でキャッチしてそのまま飲んでいる。
「聞いただけで華やかな色が伝わり、言葉が命を持つようだよ! 君の詩は聖なるものを感じる!」
彼女に犬のしっぽがあれば振っているのではないかな、と李白はテンション上がっている杜甫を見ながら思った。
「かかか、歌界の大鵬と呼ばれたぐらいだからのう」
「そうなのかい?」
「……はて? 歌界の……巨人だったか、玉子焼きだったかもしれんが、まあ別に良いか」
それはともかく。
「こんな詩を玄宗皇帝に奉じてそりゃあもう気に入られていたのだがな、ある日に不幸な事件が起きて追い出されることになったのだ……」
「な、なんだって。李白を追い出すぐらいだから大事件だね……」
ごくりと唾を飲み込んで杜甫は神妙に聞く。
「その日は宮廷に出仕する前に、友達だった阿倍仲麻呂としこたま酒を呑んでいてな……」
「おい、待て。何で宮殿に行く前に酒を?」
「阿倍仲麻呂は倭国からの客人でな、儂には敵わんが良い男で詩も良く嗜む雅な雰囲気だったのだ。懐かしいのう……」
「いやだから何で酒を」
「ふらふらになりながら宮中に入ったら、ぼやけた視界に可愛い子ちゃんが居てな。こう、シュッとした体型で背筋の伸びた、いい感じな娘に見えた」
「……それで?」
「儂はこういうツンとした娘に靴を舐めさせるようにして脱がせて屈辱に満ちた顔で睨まれるのが大好きなんじゃ! かかか! と絡んだわけだ」
「最低すぎる!」
「だがそれが近くでよく見ると、娘は娘でも男の娘! 宦官の高力士ちゃんだったのだ!」
「おおお───い!! その人この国のナンバー2! 皇帝一番の腹心! めちゃんこ偉い人ー!!」
杜甫が酒を吹き出しながら叫んだ。
高力士。玄宗皇帝が皇太子だった頃から彼に仕えている、超優秀な側近である。
政治を動かすのは宰相であるのだが、それならば高力士の立場は皇帝の護衛兵長であり、一番の相談役であり、秘書であり、全ての宦官のトップであり、大勢居る后との調整役などなど、皇帝の身の回りに関わること全てに於いて最大の権限とそれを行える信頼を受ける立場である。
ぶっちゃけ皇帝より皇帝らしいとか云う意見まである程だった。本人にそう告げたら逆賊として殺されるが。
李白はやれやれと云った風に目頭を揉みながら続けた。
「高力士ちゃんてば、小さい時に去勢した上に気功の達人で、内功を体に蓄えてるお陰で老けないんだよなあ。お陰で見た目は殆ど胸のない女の子なわけで」
「見た目は君も充分子供だけど……どうなったの?」
「ブチ切れて硬気功で体を強化して襲って来おった。いやあ、長安城が軽く三割は壊れたかのう。広さで云えば小さな村が滅んだレベル」
「酷い結果だ!」
余談だがこの唐の国では道教が崇められているだけあって、李白のような不老の仙人や体内の気を使った気功法が実在している。
皇帝の側近として護衛もこなす高力士程の達人になれば拳の一撃で巨岩を砕き割ることが可能なのである。
「儂も通りすがりの安禄山ちゃんが助けてくれなかったら危なかったわい。安禄山ちゃんは軽功の使い手でな、ブチ切れ高力士から避け回ることが可能で……途中から『おのれ安禄山やはり反逆するか!』と、因縁付けられていたが」
「とばっちりすぎる……」
「二人で争い始めたから見物に来た玄宗皇帝と楊玉環、あと安禄山ちゃんの友達の史思明や阿倍仲麻呂らと酒を飲みながら観戦して、楊国忠が勝敗を賭ける胴元になって応援してたら、全員高力士ちゃんにとてつもなく怒られて次の日儂だけ解雇通知が届いた……なんでだ……」
「唐も末期的だな!」
これから就職しようとしている杜甫にとっては厭になる情報であった。
李白は口の端から酒を垂らしつつ正気ではない顔で、
「それで高力士ちゃんにムカついた儂は、あのオカマをいっそ本物の女に変えてやろうと仙薬を作っていたわけだ」
「……」
「だけどよく考えたらあの素手で虎を殴り殺すような豪傑相手に、どうやっても無理やり飲ませられない。あの男娘、姿を消す仙薬を使っても気配で気づくんだぞ。それに長安に出禁食らってるからどうしようもなくてやけ酒してたところに杜甫が来たから飲ませちゃえって」
「巻き添えこっちにも来てたぁー!!」
理由の説明というか、単に酷い顛末を聞かされただけだ。
通りすがりに人生を狂わされる男、いや女、杜甫。
飲んだ酒がそのまま涙に出たように嘆く。
「新婚だってのに子供も作れなくてどうするんだよう……嫁と育ててくれて僕の代わりに病気で死んだ叔母に会わす顔が無い……僕は不孝ものだ……」
「仕方ないのう、儂がなんとかしてやろう」
「君! 君だからねやったの!」
偉そうに云う李白に怒鳴るが、何処吹く風であった。
彼は小さな懐炉を取り出す。太上老君の持つ八卦炉を模したそれは中央部が凹み、火をくべて薬を混ぜることが出来るようになっている。
「道教は不老不死の薬を作るのが目的な者も多いからのう、こうして煉丹術を使えるのだ」
「心底胡散臭いけど、その怪しい効果を受けている身になるとなんとも云えない……」
「ここに材料を入れてだな」
「しっかり解毒薬作ってよ……」
「神苔、竜の化石、瑞鳥の羽毛、キチガイナスビ、馬のチンコの干物、そしてモケ───」
突然、李白は咳をして目を逸らした。
「──草」
「なんの草を入れたー!?」
「そしてぐるぐーると混ぜあわせてー」
ともあれ、それらを火で熱して擦り混ぜ合わせると、やがてすべてが融合したような物体が完成した。
「できたー」
彼が作り上げたその見た目は神々しくさながらインドのシヴァ神の豊穣を現すリンガ像の如き───
「チンコじゃねーか!!」
杜甫のツッコミが入った。
李白が作ったのはチンコの張り型であった。
彼はひと仕事終えたように汗を拭って酒を呑み、
「ふう……さすが道教だから規制はかからないのう」
「何が!?」
「ともあれこの房中パワーを秘めた仙人アイテム[杜甫棒]を使えばなんと女人同士でも子を授かることが可能なのだ! 持って行くがよい!」
「解毒は!?」
「無理」
「ばかぁぁぁぁ!!」
ぽかぽかと李白を叩くが全く痛痒を覚えない程度の威力である。
そんな彼女を落ち着かせて、真剣な顔で李白は告げた。
「よいか、杜甫よ。そもそもお主がそのような姿になるのには大きな天の采配とも云える理由があるのだろう。天命と云うやつだ」
「そんな天命があるのかよ……」
「大体考えてもみよ」
一拍置いて、腕を組んで想像しながら彼は云う。
「──リストラ食らったアル中四十代のおっさんと、まだ就職の決まらない辛気臭い三十代のおっさんが、一時しのぎの元気のように酒を酌み交わして語り合い、遊びまわったり同じ布団で寝たりしていたら限りなく悲惨な絵面が想像されるであろう」
「そ、それは確かに……って何だよ同じ布団って!?」
「ともかく! 洛陽付近で就活するなら儂の知り合いも多いからのう! 色々と手伝ってやるとしよう、先輩としてな。兄と呼んでもよいぞ。かかか!」
「誰が兄やねん」
力なく突っ込みつつも、杜甫は徐々に、このへんてこな仙人に対して興味と云うか、居心地の良さを感じ始めていた。
それはほぼ初対面で面倒を見てやろうと思った李白も同じらしい。
これより二年程、二人は共に過ごすのであった。
*******
基本的に李白の収入源はその土地その土地の友達から貰うか、道士として稼ぐかである。
その点彼は、金を奢ってくれる友達を作る才能と道士の才能はあったようで全く不自由はせずに杜甫と遊びまわった。
李白は大酒飲みで、人たらしで、傲岸不遜で、仙術に傾倒していた。
杜甫は胃が弱くて、人付き合いが苦手で、すぐに落ち込み、道教には懐疑的だった。
はっきり云って、属性のすべてが真逆にあるような二人であるが、不思議と気があった。
詩の傾向が噛み合ったわけでもなく、二人は親交を深めながらもお互いの詩には殆どその影響が見られないぐらいだ。
だがそれでも、互いにとって親友とも云える関係になるのはすぐであった。
ある晩の事である。
草を枕に、粗末な布を布団にして夜風を浴びながら星を見ている二人は語り合っていた。
「李白。君はいつもながら酒を飲みまくるね。そんなにお酒が好きなのかい?」
「酒は長寿の薬じゃろう。儂は不老不死の仙薬を作って今度は仙人として天下に名を馳せねばな。ともあれ、長生きは大事だ」
「発想が俗すぎるんだよなあ……」
微妙に顔を顰める杜甫である。
「阿倍仲麻呂の話では倭国には不老不死の薬があったらしくてな、月の姫が持っていたそうだ」
「へえ、じゃあ徐福も倭に行ったのは本当なのかな」
「もしくは月に行ったのかもしれんのう」
そんなことを喋り、柄杓に映る月を飲み干して李白は詩を詠む。
「天若し酒を愛さずんば、(天が酒を愛さないならば)
酒星天に在らず。(酒星と云う名の星は無い筈だ)
地若し酒を愛さずんば、(地が酒を愛さないならば)
地応に酒泉無かるべし。(酒泉と云う名の地は無い筈だ)
天地既に酒を愛す。(天地はもう酒を愛しているのだから)
酒を愛するも天に愧じず。(酒を愛することは恥ずかしいことじゃなかろう)
已に聞く清は聖に比すと、(酒の清らかさは聖なるものらしいし)
復た道ふ濁は賢の如しと。(濁った酒は賢さを表すようだ)
賢聖 既に已に飲む(賢さも聖なるものも既に呑んでるなら)
何ぞ必ずしも神仙を求めんや(神や仙人になる必要も無いぐらいだのう)
三杯大道に通じ(三杯飲めば大道に通じ)
一斗自然に合す(一斗飲めば自然と交じるものだよ)
但だ酔中の趣を得んのみ(ただ酒を呑めば楽しめることだ)
醒者の為に伝ふること勿れ(酔わない人に教えてやらぬがのう)」
彼は月の詩をよく詠んだ。仕官を求め、仙道に傾倒し放浪する日々で、月だけはいつも共にあり、酒を呑み交わした友だったからだ。
杜甫はそれを聞いて、布団で頭を押さえながらふるふるとこらえる。
「素晴らしい詩だ……今まで僕が作ってたのはなんだったんだろうって思えるぐらい、酔っぱらいの理論を美しく詩にしてる……」
李白の才能に震えていた。
まさに歌の仙人だ。世の至宝だ。これまでに何度も詩を聞いたが、彼ほど情景を切り取り、人の心に染み入る言葉を紡ぐ者は居ないだろう。
酒飲みとしてもそうだが、杜甫が李白を称した言葉はこうある。
「君は一斗の酒を飲む間に、百の詩を作ってしまう。それがどれも僕の心を捉えて離さない」
震えている杜甫を、布団の上から撫でて李白は酒を飲みながら云う。
「なあに、お主も練習中なのであろう? 儂ほどの天才は百万人に一人だろうが、お主がどうしてその一人で無いといえようか」
「そ、そうかな……」
「ほれ、ここにお主がこっそり書いていた詩がある」
「ほぎゃああ! いつの間に!?」
杜甫の秘密ノートをちらつかせる李白に、慌てて杜甫が奪い返そうと掴みかかるが仙人は霞のようにひょいひょいと避けて音読を始めた。
「李侯に佳句有り(李白はとてもいい詩を歌うね!)
往往 陰鏗に似たり。(その詩の綺麗さはかの名人、陰鏗かと思うぐらいだ)
余も亦 東蒙の客(李白と一緒に遊びに回ってるけど)
君に憐しむこと弟兄の如し。(李白のことはお兄ちゃんみたいに好きだよ!)
醉いて眠りては秋に被を共にし(秋風に吹かれて酔いながら一緒に眠ったりしたし)
手を攜えて日と同に行く。(手を繋いでここに来てみたよ)
更に想う幽期の處(幽静な感じの人に会おうって二人で決めて)
還尋ね 北郭の生。(北郭の范さんのところまで来たんだ)
門に入れば高興は發し(門に入ったら世俗じゃないみたいで)
侍立せる小童も清し。(側に仕える子供も雰囲気出てたね)
落景に寒杵を聞き(日が暮れてきたら杵の音がどこからか聞こえてきて)
屯雲に古城に對し。(古城には雲もかかってきた)
向來 橘頌を吟ずるも(ここで僕は屈原の詩[橘頌]を吟じていたけど)
誰と蓴羹を討たんと欲す。(そろそろ帰って、誰かさんと蓴菜のお吸い物でも飲もうか)
簪笏を論ずるを願わず(こうしてると役人になりたいなんて論じたくなくなるなあ)
悠悠たり、滄海の情。(いっそ滄海の地に隠居でもしちゃおっか)」
自分の詩を読まれて杜甫は大ダメージを負った。しかも特にラブい奴を読まれたのだ。
「にょあああ……! いっそ殺せ……!」
「かかか! お主がそうも儂を想っておるとはのう! 愉快愉快! よし今日も同じ布団で寝てやろう!」
「入ってくるなぁ!」
「おっさん同士じゃなくてよかっただろう? 道士だけに!」
「そういう問題かぁー!」
貝のように閉じこもった杜甫の布団に侵入していく李白であった。
なんだかんだで仲がいいが健全である。何せ健全って書いてあるから間違いない。少年と女でよかった。脳が腐れずに済む。
その後も、李白が知り合いの仙人の所へ出かけるならば杜甫もついていったり、一旦別れてもすぐに合流したり、他の友人を交えて遊びまわったりと楽しい日々を過ごした。
杜甫にとって、晩年に何度も述懐する、人生で一番楽しい時期であったという。
*****
そうして、長いようで短い二人の遊行はやがて終わりを迎える。
永遠に楽しいことだけをしては居られない。杜甫は役人にならねばならないし、李白は不老不死の薬を作る目的があった。相変わらず李白の大言には眉に唾をつけて聞いていた杜甫だが。
山東省の泗水、石門で別れることになった。
そこから李白は南に向かい、杜甫は長安に行く。
「寂しくなるね」
「うむ。旅は出会いと別れ、だがまた出会うこともあるかもしれん」
「そうかな……そうだよね」
惜しむように何日もこの辺りの街を、最後に遊びまわって、二人は別れの道へ来ている。
二人は、誰に憚ることもなく、酒樽を開けて別れの盃を交わしていた。
友人との別れは何度経験しても慣れぬという李白と、初めての親友と云える相手との別れに心細そうにしている杜甫であった。
そんな彼女に李白は云う。
「寂しくなったらお互いに月を見ることにしよう。この広い大陸で、どれだけ離れていても儂らが眺める月は変わらぬからのう」
「君は本当にお月様が大好きだね」
「不老不死になったら今度は月を目指すことにするかのう」
そう彼は笑い、そして暫しの無言の後で詩を詠んだ。
「酔別復た幾日ぞ、(別れを惜しんでから何日経ったろうか)
登臨池台に偏し。(もうそこら辺の山も池もすべて見て回ってしまった)
何ぞ言わん石門の路、(この石門の道でまた二人が)
重ねて金樽の開く有らんと。(酒樽を開く日があると言い切れないしのう)
秋波泗水に落ち、(秋風に揺られる波が立ち)
海色徂徠に明らかなり。(海の色には徂徠山が映りこんなにも美しいのに)
飛蓬各自遠し、(儂らは飛蓬のように道を別れて遠いところに行くのだ)
且く手中の盃を尽くさん。(暫くは、この酒を飲んでいようではないか)」
杜甫は、目元を拭いながら李白との別れの酒を呑んでいた。
目元が熱いのは酒のせいでも、李白の詩が綺麗だからだけでも無いだろうと思いながら。
そうして二人は別れた。いつかまた出会い、酒を酌み交わすことを願いながら。
しかし、これが生涯の別れとなるのである。
長安で中々試験に受からない杜甫は、李白を想ってこう詠んでいる。
「白や詩敵無く(李白、君の詩は天下無敵だったね)
飄然として思ひ群ならず(飄々としていて、誰にも流されずに生きているのだろう)
清新ユ開府(君の詩は子山のように清新であり)
俊逸鮑参軍(鮑照のように俊逸だよね)
渭北春天の樹(渭水の北では春の木々が見えるよ)
江東日暮の雲(江東で日暮れの雲の下、君は居るのかい)
何れの時か一樽の酒(いつか、またあの時の樽酒を飲み交わし)
重ねて與に細かに文を論ぜん(一緒に詩文について語り合いたいね)」
また、李白は別れて仙薬の材料を求めて寄った場所で、暫く病気になり休養をしているときの詩を杜甫に送った。
「我来る 竟に何事ぞ(儂がここに来たのは何の為だっただろうか)
高臥す 沙邱城(沙邱城で寝ているだけで過ぎていく)
城辺 古樹有り(城の近くに古い木があって)
日夕 秋声を連ぬ(寂しげに一日中秋風で鳴っている)
魯酒 酔う可からず(魯の酒を呑んでもまったく酔えない)
斉歌 空しく情を復ぬ(斉の歌は聞いても虚しいばかりだ)
君を思うことシ文水の若く(杜甫を想っていればシ文水の流れのように)
浩蕩として南征に寄す(広々とした心で南に行こうと云う気が湧くのだがのう)」
と、文を寄せている。
長安で就活中だった杜甫がそれを聞いて、
「家宝にしよう」
杜甫は重篤なファンであった。
それから二人は出会うことも、文を交わすことも無かったのだが、確かに親友として心は繋がっていたのではないかと思いたい。
同じ月の下で、共に布団を被って詩を詠んでいた日々のように。
******
李白と杜甫の出会いと別れは以上で終わるが、余談としてその後の杜甫が李白に対してどう思っていたかを語ろう。
就活をしながら行く先々で彼女は土地の名士に、
「ここに李白来ませんでした? あ、李白がもし来たら杜甫が『まだ不老不死になれてないの?』って云ってたって伝えてください。えへっ怒るかな?」
などと言伝を頼みまくったり、
「李白が賊軍の世話になってた罪で投獄された……解放を頼む手紙を送らないと……李白李白李白李白」
彼の身辺のニュースを聞いては心配しまくったり、
「昨日夢に李白が出てきた! 久しぶりに李白に会えたうふふふふ」
夢に見たり、
「夢に三日続けて出てきた……しかも悲しそうな顔だった……流刑になった後の李白の情報が来ないし……まさか死、死、あああううううう……」
病んだり、
「せめて李白の魂が妖怪に捕まりませんように、楽しい友達とあの世で酒を呑んでいてくれ。ううう……」
泣いたりとしていた。なお杜甫がそう嘆いていた時点で普通に李白は放免になってまた気楽に旅をしていたりする。
そして晩年には李白や高適と遊んでいた頃のことを想う詩を残している。
やたら不幸人生を歩む杜甫なのであるが、それに比例するようにというか、本人の人見知りな性格もあり───。
杜甫は友達が少ないので微妙に重い性格なのであった……。
作中で出た詩は上から
李白[清平調詞]の一首
李白[月下独酌]の二首
杜甫[與李十二白同尋范十隱居]
李白[魯郡東石門送杜二甫]
杜甫[春日憶李白]
李白[沙邱城下寄杜甫]
※意訳が含まれます
杜甫「ねえねえ李白! 他に李白は僕にどんな詩を詠んでくれたの!?」
李白「ん? その石門で別れたやつと沙邱城から愚痴ったやつの二つだけじゃが」
杜甫「……えっ」
(杜甫は十五個ぐらい作ってます)