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クリーンマン
作:七英雄


 男が俺の前を歩いている。あれはヤクザだ。ヤクザに決まってる。てゆ〜か、ヤクザじゃなくてもヤクザということにする。だって俺が決めたんだもん。
 ヤクザの手には煙草が・・・。
 おいおい。頼むよ。変なことするなよ。俺の祈り虚しくヤクザの手からは意図的に離された煙草が地面へ・・・・。
 瞬間。俺の身体が光り輝く。
 そう。俺は正義の味方。世の中をキレイにするために生まれた戦士。
 クリーンマンなのだ!
 変身方法は至って簡単。誰かが汚いことをすれば自動的に変身する。今回はヤクザのポイ捨てだ。常に突発的変身、クリーンマン参上!
「ちょっっっっっっっと待ったぁぁぁぁぁ〜!」
 俺の叫び声にヤクザは睨みを効かせて振り返る。
 一瞬だが。ヤクザの瞳に驚愕の色が出る。
 目の前に立っている戦士は。全身緑色の身体に胸の「くりん」と書かれたロゴ。あ・これは「クリーン」って意味ね。ちなみに顔も髪も緑ね。とにかく全部緑ね。
 これが!俺!クリーンマンだ!
 ばばん!
 明らかにヤクザは動揺している。ふっふっふっ。ここは1発メガトンパンチかな。
 ただね。一つだけ欠点があるんだ。え?それはね。俺ね。弱いんだ。
 数分後救急車を呼ばれたのは俺だった。


 この前は散々だったなぁ。いい加減自分の意志で変身したいものだ。
 といきなり俺の身体が光り輝く。
 えっ?えっ?全身緑色の戦士!クリーンマン!参上!
 って、何があった?敵は何処だ?あっ。おいおい。
 いくら俺が「汚いモノ」に反応したら自動的に変身するとしてもさ・・。目の前の女性を前にして変身することはないんじゃない?その〜え〜(ブサイクな)女性はキョトンとして俺を見ている。
 言えない。俺の変身条件だけは。絶対に言えない。
 数分後。「緑の変質者」という悲鳴で俺は警察に追われることになる。


 この前は散々だったなぁ。あの女め!今度見たらぶん殴ってやる。だいたい何を基準に変身するんだよ!
おっ。子供だ。可愛いなぁ。無邪気だなぁ。子供はいいよね。純粋でね。汚いことなんて絶対考えてないよね。おお〜可愛いね。
 ん?何?何か言いたいことあるの?
「ば〜か」・・・え〜と・今・俺に言ったのかな?これは汚いことではないのかな?ああ・そう・純粋にそう思ったのね。だから変身してないんだね。本当に思ったんだね。
 ははは。
 このクソガキ〜!悲鳴を上げた母親のせいで俺はまたしても警察に追われることになった。


 俺は正義の味方だ!今更そんなことに気づいた。女に叫ばれたり、ガキに馬鹿にされたり、警察や犬に追いかけられている場合じゃない。俺は世の中の汚いモノを一掃するために勝手に生まれた戦士なんだ!
本来の目的を忘れかけていた。それを思い出させてくれた・・俺!ありがとう俺!
 携帯が鳴る。出る。挨拶する。謝る。頭を下げながら話す。電話切る。鞄を持つ。走る。
 そう俺は元々しがないサラリーマンなのだ。今から出勤だ。俺は全速力で会社へ向かった。会社に着いた。
 俺の会社は小さな小さな求人会社だ。環境も決していい所ではない。俺は社内に入る。
「おう。おはよう」「遅いぞ」「今日も外回りだぞ」
 周りの皆は気さくに挨拶をしてくれた。「おはようございます」俺はそう言ってからトイレに駆け込む。なぜか。初めに言った通り環境が良くない。つまり「汚い」のだ。
 俺はすぐに変身してしまった。クリーンマン!参上!
 トイレで変身が解けるまで待機。解ける基準がよくわからないのでどうしたらいいかと毎日悩む。なのでいつも自腹で受注をとってくる。俺の成績は常に第一位!


 俺が一番大変なのは用を足す時だ。小便をしても変身。大便をしても変身。汚いというイメージが俺の先入観としてあるため必ず変身する。非常に大変だ。
 全身緑色の人間が用を足している姿を想像して欲しい。見るに耐えない。だから。俺は常に我慢をしている。おかげで便秘確実の毎日だ。
 俺はどうしてもトイレに行きたくて近くの公衆便所に駆け込んだ。
だが。後から子供がついてきた。おい。お前もか。俺の隣で用を足している。俺は当然変身。子供の悲鳴が便所内に響いた。


 俺はいじめられている学生を見た。4対1だ。明らかにいじめだ。不良だ。ヤンキーだ。
気弱そうな奴が脅されている。ヤンキーは俺を睨んで。「何見てんだ!」
 俺はそそくさとその場を離れようとした。
 が。突如俺の身体が光り輝く。変身!クリーンマン!
 そうか。見捨てるという行為は。卑怯だ。人として汚い行為なんだ。それに反応して変身したのだ。
 俺は。俺は。俺は。・・・・・・・・・・・別に卑怯でもいいや。
 気弱君の悲鳴を聞きながら俺はすばやくその場を去った。


 目の前に全身緑色の男が立っていた。まさに俺が変身した「それ」と同じだ。
 心なしか俺より濃い。いや・いや「誰だ!お前は!」俺は叫んだ。
「私は・・」目の前の男は言った。「グリーンマンだ!貴様はクリーンマン?いうなれば掃除男だろう!私はグリーンマン!緑男だ!つまり!わかるか!私が真の緑色が似合う戦士!」
 がが〜ん!!
 だっ・だって!クリーンってイメージは「緑」じゃないか!仕方ないだろう!勝手に変身して。勝手に緑色になるのだから!
 俺は悪くない!悪くない!悪くない!
 俺はその場から逃げ出した。屈辱的な敗北だった。
 俺は絶対に奴に勝つ!俺はやっと奴を探し当てた。
 奴は余裕のある表情で。「おお・偽者君ではないか。この真の戦士グリーンマンに何か用かね。」奴はそのままグリーンマンへと変身した。
 今だ!俺は持っていた黒ペンキ(油性)を奴の頭からかけた。「ぐはあ!何だこれは!」奴の全身はもう緑色ではない。真っ黒だ。
「お前はもう・緑の戦士ではない!黒だ!ブラックだ!これからはブラックマンとでも言いたまえ」
 がが〜ん。
 奴はその場に倒れこんだ。「ま・負けた」よくわからないが俺は勝った。


 正義の味方らしいことがしてみたい。何かとんでもない悪者はいないものか。歩いていたら。いた。すごい汚い男が。これは間違いなく悪者だ。俺は男に近づこうとした。男は振り向いた。
「貴様がクリーンマンか」
「何!俺のことを知っているのか!」
「ああ・変態で緑色の弱戦士といえば有名だからな」
 う〜ん当たっているだけに何も言えない。
「貴様は何者だ」
「俺様はヨゴレマン!」
 まさしく悪者に相応しい名前!
「よ〜し!やっつけてやるぞ!」
 と思ったら既に俺は変身完了していた。
 なんだと!どれだけ汚いというのだ!こいつは!
「す・既に変身している!」
「ふふふ・当然だ。俺様の汚さを目の当たりにしたらな」
「なんだと!」
「俺様はなぁ・風呂にここ3年間入ってねぇ!下着も当時のそのままだ!いつもゴミに埋もれて生活してきた。歯磨き?なんだそれは?最近のお洒落は泥水をムース代わりにしていることかな・あとなぁ・」
「も・・もういい。」
 吐き気がしてきた。
 この汚さにそんな秘密が隠されているなんて。そういえば・・臭い。まともに戦うことができるのか?俺は。
 俺は正義の味方だ!ここで奴を倒さないと!世間の皆さんが臭くなる!やるしかないんだ!俺は最後の賭けに出た。
「あの銭湯の中で勝負だ!」
「いいだろう!」
 俺達は銭湯へと駆け込んだ。今だ!クリーンマン必殺の!クリ〜ニング!
「なにぃ!」
 俺はヨゴレマンをゴシゴシ洗ってやった。
「うわあああ」
 数分後。これがあのヨゴレマンか?・・と言うほど綺麗サッパリになった一人の男が目の前にいた。
「おっ俺様がこんなにキレイに・・」
「お前の汚れはもうない。お前はキレイマンだ」
「さすがだ・クリーンマン・俺様の負けだ」 
 俺の起死回生の技で世界が救われたのだ。すごい!俺もとうとう英雄の仲間入りだ!やったぁ!


 ついに俺は世界を救ったのだ。あれからというもの俺に取材が殺到。アニメ化。映画化。漫画化。書籍化。CD化。全てのメディアに俺は現われた。
 この突発的な変身が逆に受けたみたいだ。更に印税は要りませんと見栄を張って辞退した。その行動もまた周囲の感動を呼んだのはいうまでもない。
 世間では緑色のファッションが流行した。だが全身緑色した者の犯罪も起きた。それがきっかけで緑色が一気に嫌いな色へと化していった。俺の時代は終わった。
 俺の時代?元々そんなモノを望んだわけではない。当たり前だ。俺は誰でも出来る当たり前のことをしたんだ。緑がなんだ!だろうが・黒だろうが・俺は俺なんだ。俺の信じた道を行くしかないんだ!
 俺は街を彷徨う。そして前の男が唾を道端に吐いた。
 俺の身体が光り輝く。汚い奴は許さない!
「緑怪人だ〜!」
 悲鳴が飛び交う中・変身完了。
「クリーンマン!参上〜!」
 俺は男に突進していった。


「クリーンマン」 完


読んでくれてありがとうございます。

いかがでしたか?
感想聞かせてください。

この「クリーンマン」なんですけど。
基本設定は昔から考えていたことなんです。
でも1回1回の話はその場その場で付け足しながら書いた話です。
要するに何も考えてなく行き当たりばったりで書いた作品でした。
よくヒーロー物で大ピンチの時に何の前フリもなく都合の良い新必殺技や新しい武器が出てきたことがありますけど。
まさにそんな感じです。

主人公であるクリーンマンに都合の良い展開で話は進み、最後に都合の良い終わり方をしました。
まあ、元々の設定がいい加減なんでそれでもいいかなと。

引き続き、頑張りますのでよろしくお願いします。













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