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  Don't die 作者:神谷 有志
登場する人物・団体・国家等は現実のものとなんら関係のないフィクションですのでご注意下さい。
出会い

ST画面に”規定の工数が終了しました。休憩して下さい。次回作業開始時間は01:21です”と表示される。

優二はSTステーションと呼ばれる、緑や赤の数百のLEDランプが灯る充電スタンド郡にSTを返却する。

丁度、そのとき3つほど離れた充電スタンドにもSTをはめるプラスティック音が聞こえ、そこには

歳の頃は20歳前後だろうか幼さが残る髪の長い女性が立っていた。

やはりというべきか優二を気にとめる様子もなく、休憩所に向かう。

赤いスニーカー、細身のブルージーンズ、首元までジッパーを上げた大き目の黒のジャージを着込んだ女性の

残り香を追うように、優二は足をすすめる。

50名ほどは座れる簡素な作りの休憩所兼食堂は、いつもと違った様相呈していた。

あたりを見渡すがさきほどの女性はいない。恐らく夜間は食堂が閉まっているため、

更衣室に弁当やらコンビニで買い込んだ昼食もしくは夜食をとりに行ったのだろう。

優二は、いつもより起きた時間が遅かったこともあるが、昨日の弱い勇者のせいもあり

自動販売機で昼食のパンを買うことにした。再び辺りを見渡すが彼女はいない。

自動販売機でジャムパンと温かい缶コーヒーを買い込み、更衣室に通じる扉が見える

席に着きそれらを口に運ぶ。

 静まり返る食堂に扉の開閉音が響く。優二は残り3分の1はあろうかという貴重な食料を

頬張ると、生ぬるくなった缶コーヒーで流し込んだ。

 恐る恐る扉のほうに目線を向けると、うつむき加減の彼女が扉から一番近い席に着き、

手作りなのだろうか、小さなお弁当箱を広げている。

優二は逃げるように更衣室の扉と逆にある扉から外にでていた。

赤缶と呼ばれる、ポリバケツ大の水の張った灰皿の前に座りこみ、なけなしの

タバコに火をつける。タバコをやめようと仕事中は吸わないと決めていたのだが

その決意はものの1週間でたたれ、相変わらずの意志の弱さを嘆くかのように

天の星々を見上げる。

「織姫と彦星っているのかな。」

一人暮らしが長く、社交的でない生活をしているとどうしても独り言が増える。



時計を見るといつの間にか01:09を指している。

普段なら重い腰も、軽く感じられ活きこみ食堂の扉を開く。


が、そこには彼女の姿はなく・・・


「やっぱり勇者は勝てないか、演出的には当たるはずもないのものな。」


そんな優二に一筋の光を当てるかのように先ほど彼女が座っていたテーブルに

小さな輝きが見えた。
次回:はじめまして、私、明日菜って言います♪


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