第2話:レッツゴーリバー
衣子がクラスで一番可愛くてヤリマンな女の子のことを悪く言ったので、俺は
「どうせお前だってエッチ経験済みじゃないか……」
と半ば諦めながら彼女を諭そうとした。すると、あろうことか彼女は、自分が処女であると打ち明けたのだ。
もちろん、俺はそれを全く予期していなかった。こんなド田舎でも、現代社会に多く見る軽薄思想の影響を受けた 『場当り的なカップルの、とりあえずエッチ』 が蔓延していたからだ。当然俺は、衣子と彼氏はとうに済ませているのだと思っていた。さらに、ガードの硬い衣子から、あんな言葉が出るなんて思わなかった。
世界は不確実であり、予測なんかできない。
そう思った俺は、さすが宇宙だなぁと感心した。人間の感情が嫌いな俺でも心の奥をくすぐられ、興奮し、無駄に何かを期待してしまった。
しかし一方で、半信半疑でもあった。現代社会思想を身にまとった俺には、何事もまず始めには否定してみるという癖があったからだ。
「いやいや嘘でしょ〜」
俺は疑った。
「嘘じゃないよ、みんな信じてくれないけどさ……」
俺は 『彼氏に聞けばわかることだがな』 と皮肉っぽく心の中で呟いた。
「じゃあどうしてしたくないのさ?」
実際そんなことはどうでもいいが、俺はとりあえず聞いてみた。
「とにかく奴とはヤリたくないし、奴が初めてなんてヤだもん……」だんだん腹が立ってきた。彼女が彼氏を 『奴』 と呼ぶのには何かしら理由があって、それは俺の理解が及ばないところにある。
俺は適当に流した。話題を変えるため、川へ遊びに行かないかと誘った。
「う〜ん……いいよ」
またもや俺は驚いた。彼女は何かと理由をつけて断ってきたから、逆のことを想像していたのだ。
やはり何か起こり始めている気がする。
「じゃあ27日にいこうよ」妹によると、今日は24日らしい。
「いいよ!」
俺はできるだけ早く返事を送った。
「わかった! じゃあその日の朝メールするね! おやすみなさい」
彼女はいつになく積極的だった。
メールが終わり、俺は携帯を上にあげた。勢いあまって携帯が吹っ飛びギターの弦に当たると、アホっぽい音が静かな部屋に鳴り響いた。
突然電話が掛かってきたので、マナーモードの振動でもっとうるさくなった。俺は急いで回収し、画面を見た。
『着信 アホ衣子 』
彼女からだ……俺は震える親指で通話ボタンを押した…… |