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劇場『すぽっと』
作:照明係



「七色雲」byヘボ


ぷかぷかぷかぷか。今日もネコは浮かんでいます。
穏やかな海。空の真ん中に太陽。雲はどこにもありません。島なんて水平線にも見えない海で、ネコは真っ青な空を眺めていました。
ふと、耳に聞き慣れない声が飛込んできました。ネコは辺りを見渡します。空に渡り鳥の一群が飛んでいました。
「みゃー」
ネコは話しかけました。
こんにちわー。どこ行くんですかー。どこから来たんですかー。
ずっとずっと暇でしょうがなかったのです。
鳥たちは、しかし返事をすることなく、すいーっと飛んでいってしまいました。ネコの声は届かなかったのです。
ネコは飛んでいく渡り鳥たちをじっと見ていました。
海が少し冷たくなりました。新しい潮流に乗ったのでしょうか。ネコは海の流れるままに運ばれていきます。
ぷかぷかぷかぷか揺れる体。甘い絡みつくような眠気がネコの瞼を閉じていきます。今日もとってものどかなのです。
不意に、いつかカモメの兄さんがしていた話をネコは思い出しました。晴れて適度に湿度がある日は彩雲と言う綺麗な雲が見えるという話でした。
「でな、その彩雲ってよ、七色に輝く雲なんだよ。分かるか? 雲がよ、虹みたいに光るんだよ。ありゃ、一度見たら忘れらんないぜ。いやぁいいもん見たよほんとに」
妙に熱く語っていたカモメの兄さんを思い出しました。
ネコはぼんやりと空を見上げました。
ずぅっとずっと真っ青な空だけが広がっていました。
少し残念でしたが、ネコはそのまま眠ることにしました。もしかしたら明日は見られるかもしれない。明日じゃなくてもいつか見られるかもしれない。期待に胸を踊らせました。

海は変わらず穏やかで。
ネコは今日も浮かんでます。







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