女王よ。
俺の愛しき女王よ・・・再び転生するその時まで、
俺はずっと待っている・・・。
1000年前・・・。
「愛している女王・・・」
「私もだ。グライバードン・・・」
豪奢なベッドに横たわる女は艶やかな黒髪に翡翠の瞳をしていた。白い肌は陶器よりも白く、女神よりも美しい女は弱々しく笑った。
「そんな悲しい顔をするでない。私はお前と出会えて幸せだった。幸福だった。8000年生きてきた中でお前と過ごした500年は、まるで甘美な夢の様だった」
「女王・・・」
男の頬に涙が流れ落ちた。
「泣くでない。お前に涙は似合わぬ。私の姿は変わらぬと言っても命は永遠ではない。私が強力な力を持っている魔王でも、寿命はある・・・。私が死んだらお前が次の、魔族の王だ」
「・・・俺にはそんな力はない。俺は三流の魔族だ。貴女が俺を気に入らなければ俺はここにいていい魔人ではない」
女王は手を差し出してきた。
俺はその手を掴むと一瞬で膨大な力が俺の中に流れてきた。
溢れる魔力が俺の身体の隅々まで行き渡った時、女王の手が緩んだ。
見ると女王は苦しそうに息をしていた。
「女王!?」
「私の力を全てお前に注ぎ込んだ。強力な力を持っている今なら、他の者もお前を王と認めるだろう」
だが、その途端に咳込む女王。
慌てたグライバードンは力を返そうとしたが女王は拒んだ。
「私は今日で死ぬ。お前が力を返しても、返さなくてもな。それは私の最後のプレゼントだ。・・・グライバードン、今まで、ありがとう」
フッと幸せに笑んだ後、女王は亡くなった。
「あ・・・、ああっ・・・・・ぐあああああああああああああっ」
グライバードンの悲痛の叫びは一ヶ月間、鳴り止む事はなかった。
グライバードンにとって女王は神であり、恋人であり、全てだった。
声が涸れるまで叫び続けたグライバードンは、自殺を図ったが、死ぬ事が出来なかった。
女王から譲り受けた膨大な力が死ぬ事を許さなかった。
グライバードンは気付いた。女王は自分の後を追わせないように全ての力を俺に渡したのだと・・・・・・。
・・・女王よ。
偉大で美しき女王よ。
後を追うなと言うのならば、待ち続けよう。
魔族は死後、2000年後に再び転生する。
何に生まれ変わるのかは、わからない。
魔族、人、動物、爬虫類、天界人、植物かもしれない。
たとえどんな姿に生まれ変わろうとも、捜しだしてみせる。女王がどんな姿をしていても俺にはわかる。
今度は今度こそは、絶対に死なせはしない。
寿命ですら、ねじ曲げてみせる。
死すら近付けさせやしない。
受け継いだ力をもっと、もっと強力にして、誰も女王を俺から離す事が出来ないようにしよう。
女王よ。
俺の愛しき女王よ…。
再び会える日が、着実に近付いている
どんな姿に生まれ変わろうとも
見つけたら、決して離さない。
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