Part15:東京タワーにて
「わぁ〜、やっぱ近くで見ると大きいな〜」
3人は、東京タワーにやってきていた。
「中学3年のときだっけか? オレと椿は一度ここに来てるよな」
展望台へとのぼるエレベーターの中で、孝が椿にそう話した。
「うん、あったよね。そのときに私と孝くんが同じ班でさ、班行動のときに誰かが別行動しようとか言い出して別れたら、それを先生に見つかってこっぴどく怒られたよねぇ〜」
椿も当時のことを思い出し、昔話に花を咲かせる。
「ねえ、それって何月くらいのこと?」
ずっと話を聞いてるだけだった明日実が唐突に2人にたずねる。
「えーっと、そうだな……たしか梅雨の時期だったから6月だったと思うけど、なんで?」
孝がそう答えると、
「それじゃ、あれはもしかしたら孝くんだったのかなぁ……」
明日実が意味深なことをつぶやく。
「あれって、なんだ?」
孝がさらにたずねると、
「私も中学3年の6月に東京タワーに行ったんだけど、そのときの班行動の途中で孝くんによく似た人を見たんだ。確証はなかったし、すぐに見えなくなったからわからないけどね」
明日実はそう話した。
「そっか。もしかしたら本人だったかもな。でも、今となっては確かめる方法はないし、高校で再会できたからもう思い出す必要もないか」
孝がそう言っているうちに、エレベータは大展望台に到着した。
一方そのころ、孝たちを追いかける桜は……
「大展望台へ行くみたいね。それにしても、3人とも歩くの速いな〜」
孝たちの後を見つからないように歩いて東京タワーに入ると、孝たちの乗ったのとは別のエレベーターで桜も上へ向かった。
「うわぁ〜、下から見てもすごかったけど、上から見るとやっぱりもっとすごいね〜」
明日実は展望台にある望遠鏡で景色を見ながら子どものようにはしゃいでいた。
「そうだな、4年ぶりに来たけど昔とは変わったかな、この辺は」
孝も肉眼で外を眺めながらそうつぶやく。
「あれっ? 桜さん?」
そのとき、椿がたまたま後ろを見ると、桜がエレベーターから出てくるところだった。
「あれ、橋本さん。偶然……なわけないか。つけてきてたの?」
孝も振り向き、桜を発見すると、そうたずねた。
「あぅ……バレちゃったか。そうだよ、尾行してたよ。あたしだって孝くんを狙ってるんだよ。孝くんと女の子が出かけるなら出先で何するかわからないし、尾行するっきゃないでしょ」
桜はもはやごまかすのも無駄だと思ったのか、あっさり認めた。
「ついてくるな、って言っても無駄なんだろうな。仕方ない、一緒に行くか?」
孝は半ば諦めたように桜にそう言った。
「え〜っ!? 孝くん、私たちをいろいろ案内してくれるんじゃないの〜?」
椿が抗議の声をあげる。
「そういうことならやめとくよ。でも、本当はついていきたいけど。じゃあ、あたしはこれで帰るね」
桜はそう話すと、展望台からエレベーターで降りていった。
「へえ……意外だね、てっきりついてくると思ったんだけど」
明日実が心底意外だと言うような顔でそう話した。
「まあ、行っちゃったし、もういいんじゃないか? オレたちもそろそろお昼にして今度は椿のために渋谷だな」
孝はそう言うと、2人とともに東京タワーを後にしたのだった。 |