Part12:ゴールデンウイークまであと少し
ゴールデンウイークまであと1週間ほどになったある日の午後、孝の携帯にメールが入った。
「“5月3日に明日実と2人でそっちに遊びに行くわね 椿”か……修羅場にならなきゃいいんだけどなぁ……」
孝の独り言が風に流され消えていった。
「孝くん、待ってぇ〜!」
「いちいち叫びながら追いかけてくるな〜! 3年前と人は違えど同じことの繰り返しじゃないか〜!」
孝がそう叫ぶと、
「3年前って、あの2人ともこんなことをやってたの?」
桜はいったん止まって孝にそうたずねる。
「正確には、やってたのは明日実だけだがな」
孝はそう言うと、桜に3年前のことを話した。
「へえ〜……明日実さんとあたしは似てるんだね〜」
桜がそう言うと、
「はた迷惑なところは3年前の明日実とそっくりだ。別にそれはオレが明日実を選ばなかった理由とは関係ないが、もしかしたら明日実はそう思ってるかもしれないな」
孝はそう話した。
「ふーん、孝くんってあたしより前にも結構ドタバタした日常を過ごしてたんだね」
桜はそう言って笑った。
「だからって橋本さんのやることに耐性があるわけでもないからやめてほしい。ゴールデンウイークには椿と明日実がこっちに遊びに来る。こないだの親睦旅行のときみたいな修羅場はもう見たくないからすっぱり諦めてくれると助かるんだがな」
孝が桜にそう頼むと、
「そう簡単に諦められる恋ならとっくに諦めてるよ。まあ、あたしとしてもあまりケンカはしたくないから椿さんたちが来ている間は大人しくしてるわ」
桜は妥協案を提示した。
「うーん……まあ、修羅場にならなきゃ今回はいいか。でも、あくまでオレの気持ちは変わらないから、さっさと諦めて他にカッコいい男を探した方が賢明だろうな」
孝も仕方なく妥協案を受け入れ、授業が違うので桜と別れた。
一方、そのころの椿たちは
「ハックション! うぅ、誰か噂してるのかな?」
明日実が盛大なくしゃみをしていた。
「孝くんくらいしかいないわよ、明日実の噂をするとしたら。どんな噂かまではわからないけど」
椿が昼食を取りながら明日実とそう話す。
「でももうすぐゴールデンウイークだね。孝くんに会うの楽しみだな〜」
明日実は笑ってそう言った。
「私ももちろん楽しみだけど、あの旅行のときに会った桜さんが孝くんにちょっかい出してないか、それだけが不安なのよね……大丈夫だとは思うけど」
椿は不安を口にした。
「あのときに孝くんも言ってたじゃない、“オレの彼女は椿ただひとりだ”って。ちょっと妬けちゃうけど、そう簡単に孝くんは落ちないと思うよ」
明日実はそう椿を励ました。
「そうよね、彼女である私が信じないで誰が他に信じるんだろうね。もう大丈夫。私は何があっても孝くんを信じるわ」
椿はそう明日実に告げた。
「そうだよ。それでこそ椿ちゃんだよ。あっ、そろそろ次の講義の時間だよ。行こっ、椿ちゃん」
「そうね、行きましょうか」
2人は食器を片付け、食堂を後にしたのだった。
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