WILD CAT(58/83)PDFで表示縦書き表示RDF


WILD CAT
作:館波実笠



第三章「独りの騎士・孤独の姫」・27


「真咲、お前もいつまでそちら側にいれば気が済むのだ? そんなことのためにこの世界に戻って来たわけじゃないだろう?」
 ミシェルは最後に暗い笑みを浮かべると黒い外套をはためかせた。風もないのに揺れる外套。
 いや――
 外套の動きに従うかのようにして、室内を暴風が駆け抜けた。窓際に置かれていた花瓶が倒れ、カーテンは乱れ舞う。机に置かれていた文房具がばらばらと吹き飛んだ。
「させるかッ!」
 声を荒くし、両手に片刃の剣を顕現させる。そしてそのまま一挙動で投擲。
 残像すら見える速さで刃はミシェルの眉間に吸い込まれた――――かに見えた。
「まだ……遅いな」
 真咲の攻撃はミシェルの三日月形の刃によって阻まれた。ショーテルと呼ばれる剣だ。それがミシェルの得物。
 ショーテルにより防いだ斬撃を一笑し、弾き返す。金属の擦れ合う耳を突くような乾いた音がこだまする。
「散れ」
 大きく湾曲した刃は真咲の首に向かう。寸分違わず彼女の首を弾き飛ばすために。
 考えるのよりも先に体が動いてた。瞬きをする間もなく真咲は体をひねる。
 かわせるか……!? そう思考したのはすでに刃が自分に達しようとしていたときだ。
 刃は真咲の首、その手前の空間を裂いた。ばっさりと真咲の長髪が舞った。
「ふん……避けたか。だが、まあいい。今回は挨拶がてらだからな」
 そう言うのと同時にミシェルから膨大な魔力が放たれた。翼の目にも見えるぐらい強力な魔力の放出。
「ちっ……」
 真咲は咄嗟に魔法防壁を展開。耳を突くかのような音が響いた。












ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう