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83話 特殊能力っぽい

 イザナミが指を鳴らすその瞬間。

 辺りが更に白に染まった。


 強斎は反射的に腕で目を覆う。


「もう開けて良いぞ」


 イザナミの言葉を信じ、そっと腕をどける。


「なっ!?」

「驚いたか?」


 視界に入ってくるのは白……ではなく、一般家庭にあるような洋室・・だった。

 しかし、強斎が驚いたのはそこだけではない。


「ん? 妾の顔に何かついているのか?」

「ついているっていうか……誰?」


 そう、イザナミであろう女性の顔が変わっているのだ。

 ゼロそっくりな顔から。


「先程言ったであろう。イザナミじゃ」

「え、いや……え?」

「そんなに驚くことかな?」


 イザナギがケロッとした顔で問う。


「そりゃ、な」

「真っ白から色が付いただけでしょ」

「そっちじゃない」


 部屋のことも気になるが、一番気になるのはイザナミ自身だ。


「お前、さっきと顔変わってないか?」

「そうじゃな」


 呆気ない返答に少しだけ動揺してしまう。


「そ、それも魔術か……? いや……それはないか……」


 強斎の属性の中には、どれだけ隠蔽に優れていても見破ることができる効果がある。

 しかし、それが発動した様子は全くなかった。


「ふむ……客人よ」

「……なんだ?」


 イザナミは少しだけ頬を緩ませ――――。


「その説明も踏まえて話をしようとするかの」


 椅子に腰をかけ、テーブルに肘をつけた。


………

……


 イザナギ、イザナミが隣同士で座り、テーブルを挟んで強斎が椅子に座った。

 テーブルの上には簡単なお菓子と、人数分の紅茶が注がれている。


「それで、何から訊きたい?」


 イザナギが話を切り出す。


「そうだな……まず、お前たちの存在だ」

「妾達の……?」


「ああ、俺の認識であっているかどうかの……な」

「ほう、客人の認識とな。申してみよ」


 イザナミは不敵な笑みを浮かべ、興味津々で耳を傾けていた。


「最上位に位置する日本神……そんな感じか」

「日本神……か」


「違うのか?」

「いや、今は確かにそんな呼ばれ方をしている。間違ってはおらんよ」


 イザナミは目を伏せ、だんまりとしてしまった。

 しかし、それも数刻のことだ。


「すまぬな。その名で呼ばれたのも久しいからの」

「いや大丈夫だ。それより、質問を続けてもいいか?」

「ああ」


 強斎は大きく深呼吸を数回だけする。


「さっきまでこの部屋はここになかったはずだ。それに、お前の顔」

「妾の?」


 イザナミを指差し、しっかりと頷く。


「ああ、その顔はゼロ……いや、魔神の顔にそっくりだったからな」

「……客人よ」


 イザナミ、イザナギは『魔神』という単語を聞いた途端に目つきを変えた。


「その質問を答える前に、客人はどうやってここまで来たのか教えてもらおうか?」

「さっき君は神ではないと言った。それは信じるとするよ。だけど、君は何者だい?」


 二人の目は真剣そのもの。

 イザナギとの勝負に勝ったから答える義理などないのだが、断ることができる雰囲気ではなかった。


「俺は普通の人間だ。そして、ここにはこの本を使ってここまできた」


 アイテムボックスから本を取り出し、机の上に置く。


「なるほど……な」


 イザナギは本を開くと、全てを理解したかのように強斎の目を見つめる


「君は……この本に書かれている文字が読めるのかい?」

「まぁな」


「これで全てを理解した。君は正真正銘人間だ」

「だからそう言ってるだろう」

「そして、客人は転移者、もしくは転生者だな?」


 今まで本を見ていたイザナミが唐突に問いかけた。


「ああ、俺は地球の日本……そこから転移してきた」

「それは何故じゃ?」


「勇者の召喚に巻き込まれたんだよ」

「……客人よ。名を訊いても良いか?」


「小鳥遊強斎」

「客人……いや、強斎よ」


 イザナミは何かを伝えようと口を開けるが、結局何も言わずに閉じてしまった。

 イザナギだけは何かを理解しているのだが、沈黙を貫いてる。


「? どうした?」

「すまぬ、忘れてくれ。それより、この部屋と妾の変化についてだったな」

「あ、ああ」


 何故このタイミングで転移のことを訊かれたのか疑問であったが、変化について聞けばわかるだろうと判断した強斎はそのまま流されてしまう。


「強斎は隠れステータスのことについて知っておるか?」

「……いや、初耳だ」


「意外じゃな……まぁいい。隠れステータスと聞いて大体はわかるかの?」

「まぁ……な」


「その中に『特殊能力』という一部の輩しか扱えない能力があるのじゃ」

「……まさか?」


 イザナミは頬を緩ませてから頷いた。


「そう、これが妾の特殊能力。ありとあらゆる『殻』を造ることじゃ」

「そして、我の能力は……ありとあらゆる『中身』を創ること」

「魔術でも何でもない隠れステータス……。薄々感じていたが……やはりか」


 強斎は今までの不思議な現象を思い返していた。


 物理的にありえない現象。

 明らかにおかしいステータスの上昇。


 ミーシャ達が本気で走るとその反動で衝撃波が発生するのだが、強斎の場合のみそれはなかった。意図的に発生させない限り。

 奴隷達に大きなステータス値を振り分けると決まって気絶していた。それは、ステータスの急激な変化に体が追いつかず、一時的な昏睡状態に陥るのだ。しかし、強斎にはそれがない。


 今までそれが不思議でたまらなかった。

 しかし、ここでそれを解決できる唯一の可能性が見つかった。


「もしかしたら……俺も特殊能力持ちかもしれん」

「「だろうな」」


 同時に肯定した二人は困惑していた。


「それ程のステータス……妾は見たことないぞ……」

「これは……我が負けるのも納得するね……」

「……見えるのか?」


「妾たちを誰だと思ってる? 特殊能力の二つや三つぐらいは持ってて当たり前じゃ」

「それもそうだな」


 では何故イザナギは最初にステータスを覗かなかったのかと思ったのだが、そもそもここに来る者が少ないのだろう。

 他人のステータスを覗くという習慣がないのだ。


 そこで会話はぷっつりと切れた。

 強斎は盛大なため息をつき、イザナミに問いかける。


「なぁ、そろそろ教えてもらってもいいんじゃないか?」

「はぁ……かなわんのぉ」


 イザナミは何とかしてとある話題を回避していた。


「いいじゃろう。妾たちと魔神の関係……強斎に教えれるだけ教えよう」

イザナミとイザナギの口調が全然安定しないお……


19日にある名華祭の為に最後の追い上げじゃ!

見掛けたら声かけてくださいね(

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